俺が頼んだ能力は神達の中での普通じゃない!!

白林

ペーパー試験

 観客席へと戻ると真っ先にティナが俺を迎えに来てくれた。

 「悠太、おめでと……。嬉しい……」

 「ありがとう。これでひとまずは安心だな」

 試合を勝ったことで、お手伝いさんに選ばれなくても合格だし、クエストで得られる報酬は二倍だ。

これだけでも十分な成果だろう。

 あとは、誰が選ばれるかの発表を待つだけ。

そう思っているとギルスが姿を表した。
それだけ、この場が緊張感に包まれる。
しかし、ギルスの口から出たのは意外な言葉だった。

「諸君、よくぞ試験で勝ち残った!これで君達は冒険者試験には合格だ。次に選抜試験の結果だが、君達勝ち残った九人には今から簡単なペーパー試験を行ってもらう。こちらの部屋に来い」

ペーパー試験?
やばいぞ。俺はこの世界のことなんて全く知らない。

1+1とかくらいなら答えられるが、もしこの国で一番偉い人の名前答えろとか言われても無理だよ?

まず、セリカからこんな話全く聞いてないし。

教えてくれていれば対処は出来たのに。
俺は横へ視線を移動する。
そこにいるのはティナだ。
こうして俺は答えへと辿り着いた。

そうだ、分からないならこの国の人に聞けばいいじゃん!と……。

「なぁ、ティナ。この国で一番偉い人って誰だ?」

「偉い、人……?分からない……。セリカとか……?」

 うん。ですよね。ティナもつい最近まで森の中にいたもんね。分かるわけないよね。

 でも、セリカはいい線をついてるな。よく分からない力で試験に割り込みも出来たし、性格はちょっとあれだけど可能性はある。

考えてるうちに次の部屋へと辿り着いた。
広い部屋の中に机が並べられていて、机の上に鉛筆と多分だろうが問題用紙が置かれていた。

「空いてる席に座り、問題を解け。終わったものはプリントを裏返し速やかに先程の観客席へと戻れ。以上だ」

ギルスが説明を終える皆席に座り始める。
俺も適当な席へと腰を下ろすと問題を見た。

問1
あなたはパートナーと二人である二つの門の前へと立っています。
その門の一つは『 勝者の門』、もう一つには『 敗者の門』と書かれてあります。
立て札には、どちらか一人が勝者の門へ名前を刻み進め。と書かれています。
あなたならどうしますか?

 何だこの問題?この国に関する問題とかじゃないのは良かったが、勝者に敗者?パートナーか……。
俺は頭を働かせる。
もし、俺とティナが同じような立場に立たされた場合俺がどうするか。

 この、勝者については何の勝者なのかが明確に示されていない。詰まるところ、戦闘じゃなくても、じゃんけんでも、にらめっこでもなんでもいいんだ。

 自意識過剰かも知れないが多分、ティナは俺と一緒について行きたいと言うと思う。でも、勝者の門へは一人しか進めない。ならどうするか。

俺なら……。

俺は自分なりの答えを問題用紙に記入した。
そして、次の問題。

問2
貴方が尊敬する人の名前を書いてください。




……。この問題。普通ならここで第一位か二位の名前を書くのだろう。しかし、残念なことに俺は2人の名前を知らない。

仕方ない。
俺は記入欄にセリカ・・・と記入した。

そして、用紙を裏返し廊下でティナを待とうと決めた。

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