俺が頼んだ能力は神達の中での普通じゃない!!

白林

負けられない戦い

 面倒なことになったなと思う。
けれど、誰かティナの為に戦うのは、なぜだか嫌ではない。

名前を呼ばれ、フィールドへ行く。
そこに立っているのはあのナルシスト君だ。
アナウンスで確かルーカスと呼ばれていた。

「なぁ、此処で辞退しない?お互いにとってメリットしかないと思うんだ」

「どういうことだ?」

「お前が辞退することによって、俺はあの子が手に入る。そしてお前は怪我をすることはない。どう?メリットしかないと思わないかい?」

ーーこいつは何を言っているのだろうか?
やばい。理解が出来ない。俺が馬鹿なのだろうか?

まず、俺が辞退すると俺があんな奴に負けたという記録が残る。しかも、戦いもしないで逃げた臆病者としての。

そして何より、俺が辞退すればティナはこいつのもの・・となる。

ティナは約束を破るようなことはきっとしない。

きっと、俺を恨むことも無く、こいつの元へ行くのだと思う。

ーーでも、そんなんじゃダメだ。

ティナが、こいつの元へ行くなんて……。

気付けば俺は差し出されたその手を叩き落としていた。

「それはごめんだ。あいつがキャラ崩壊してまで嫌っていたお前に、あいつは渡せない。それに、おれはお前なんかには、負けない」

俺がそういうと、ルーカスの顔が引き攣る。

「へぇー。君は絶対僕に敗北するよ。そしてあの子は僕のものになる。君が勝つ運命なんてない」

何処からそんな自信が湧いてくるのか、全く不思議なものだな。

そして、始まりの鐘がフィールドに響き渡った。

コメント

  • 匿名

    面白かったです!

    2
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