俺が頼んだ能力は神達の中での普通じゃない!!

白林

ティナの闘い③

 霧が晴れると、そこには何もなかったかのように、ティナが立っていた。

「なん……で。」
相手が明らかに動揺する。

当たり前だろう。

杖を持っていなく、呪文と言える呪文を唱えなかったティナが平然と立っていたのだから。



 実はセリカの話には続きがある。

『空気中には"マナ"って呼ばれる精霊がいるんだけど、普通は皆、一部のマナにしか好かれないんだよね。
だから、杖を持たないで「火よつけ」って言っても、私達を、助けてあげたいっていう精霊が少ししかいないから、本当に小さい火しかつかないんだよ。』

セリカはそっと指先に火をつけた。

『でも、それを杖を使うことによって、精霊を集める呪文を唱え、無造作に精霊を吸い込み魔法を発動させる。
つまり強制的に魔法を発動させるってこと。』

セリカの指に灯っていた火はそっと揺れて消えた。

『まぁ、言い換えれば只の【お助け道具】かな。』

『お助け道具ってことは杖を使わなくても強力な魔法を使えることもあるのか?』

『まぁ、何事にも例外はあってね。
ほぼ全ての精霊に愛されている人は少し呼び掛けるだけで大量の精霊が集まってくるの。
それも精霊が自らその人を"助けたい"って思って集まってくるから、杖を使うよりも強力な魔法が使える。
そういう人は【マーラ】って呼ばれてるの。
でも、そういう人は大抵杖に使われてるクリスタルに嫌われてて杖に触れないんだよ。』



 つまり、ティナはマナに愛されている"マーラ"だったのだ。

「まさか……。油断してたわ。でも、勝つのは……私よ!!」

相手は手に持っていたバスケットから何かをとり出し、かじった。

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