choice01

ノベルバユーザー329392



 ……七日目…午前九時……


 久しぶりに安眠できた感じが、体の疲れを確かに癒してくれた。
 太陽がないこの島でも朝の光がある…そんな光を感じて目覚めた美夢は、葵の方を見た。
 「まだ寝てる……でも気持ち良さそう…」
 美夢の言うように葵は実に、快適に寝ている……何かに開放されたように…熟睡している。
 「もう少し………寝かしとくか……」
 そう言うと美夢は、顔を洗うべく洗面所に向かい、朝のメイクなどの支度を済ませた。
 そして自分が飲むアイスティーと、葵の好きなアイスカフェラテを用意した。
 「そろそろかな……」
 美夢がそう呟くと、葵がベッドからノソノソ起きてきた。
 美夢が葵に言った。
 「おはよっ……」
 寝ぼけ眼の葵も美夢に言った。
 「おはよう………何時だ?」
 「もう9時30分だよ。はいっ……」
 そう言うと美夢は葵にアイスカフェラテを渡した。葵はそれを受けとると、一口飲んだ。
 「……美味いな……」
 一口飲んだ葵に美夢は言った。
 「さっ、顔……洗ってきなっ…」
 美夢言われた葵は洗面所へ向かった。幼馴染みの日常だ。
 顔を洗い、洗面所から戻った葵は再びアイスカフェラテをのみ始めた。
 美夢が言った。
 「ねぇ……いつ帰れるの?…」
 葵は言った。
 「たぶん……今日かな……」
 美夢は驚いた。
 「葵っ!あんた、帰りかたわかったの?…」
 「たぶん……でも歩さんに確認しないとな…」
 「歩さん……昨日辛そうだった。大丈夫かな?」
 「大丈夫……歩さんは強い。さぁパーティールームに行こう……皆も、もう行ってるだろう……」
 二人はパーティールームに向かった。
 太陽がない島だったが……久々に爽やかな朝を、確かに美夢には実感できた。
 パーティールームに到着すると、皆揃っていた。
 九条が葵と美夢に言った。
 「おはよう……眠れたかい?」
 葵が答えた。
 「ええ……久しぶりに熟睡しました。皆さんは?」
 有紀が言った。
 「私はいつも通り、適度な睡眠だ…手紙だった歩はあまり眠れなかったようだが……眠れと言ったのに、まったく…」
 歩が言った。
 「仕方ないだろ………俺にだって、考える事があるんだよ」
 九条が言った。
 「まぁまぁ、片岡さん……」
 歩の昨日の話を聞いて、歩の心情を察した九条がフォローした。
 容子が葵と美夢に言った。
 「おはよう二人とも……朝ごはん用意するねっ……トーストでいいかな?」
 美夢が言った。
 「容子さん……私も手伝いますよ」
 そう言うと、二人は仲良く厨房へ行った。
 二人が厨房へ向かったのを確認し、九条が葵に言った。
 「人数も半分になってしまったね」
 「ええ……初日が嘘のようです」
 九条は少し遠慮がちに言った。
 「葵君……聞いていいかな?」
 「どうしました?」
 「堂島夫婦と山村さん、それに順平君だが……君なら彼らを死なせずに救えたんじゃないか?」
 葵は少し考えて言った。
 「確かに三人は難しかったですが……順平君を救う事は、できました」
 九条は怪訝な表情で言った。
 「では……何故?」
 「殺人の記憶を持ったまま現実に戻ったら……彼は、一生その自責に捕らわれ……下手すれば自殺しかねない……」
 「それってどういう意味だい?」
 葵は髪をクルクル回しながら言った。
 「海外でこんな事例がありました……映画館の一室で、その部屋にいたおよそ30人が…突然昏睡状態になり……」
 九条が目を見開いて言った。
 「それって……」
 葵は続けた。
 「だがしかし……一ヶ月後、突然全員目を覚ましたそうです」
 いつの間にか歩と有紀も聞き入っている。
 葵は続けた。
 「目を覚ました30人は『スクリーンから放たれた白い光に包まれた』ところまでしか、覚えていなかったそうです……」
 葵はさらに続けた。
 「僕はあのアマツカという人物と、対峙した時思いました……海外の今言った事例……いやそれ以外の集団昏睡事件も、アマツカによるものではないかと……」
 有紀が言った。
 「原因不明の集団昏睡は国内外問わず、事例がある……事件性はないようだが……」
 葵が言った。
 「そこで僕は、仮説をまたもや立てました…」
 歩が言った。
 「仮説とは?」
 「ここで死んだ人間は……現実世界に戻ると、その間の記憶が無くなるんじゃないかと……」
 九条が言った。
 「て、事は……アマツカは……その30人を全員殺害したのか!?」
 「アマツカは言いました…『来るべき時の資金稼ぎ』と……だとすれば、様々なパターンのゲームを、『アマツカのユーザー』達に提供していると思れます……」
 歩が言った。
 「だから……あえて順平君を死なせた……彼の……未来を守るために……」
 葵は言った。
 「それは買いかぶり過ぎです。彼から殺人の記憶を消したかったのは事実ですが、彼の未来まで保証はできません…」  
 有紀が言った。
 「いや、お前は守ったさ……順平の未来を…」
 九条が言った。
 「そうだね……無事に帰っても、彼を殺人罪で立件できないからね……これで良かったのかもしれない……」
 歩が言った。
 「殺された人も……ここでの記憶が消えてしまう。でも……生き残った俺たちは鮮明に記憶に残ってるんだろな…」
 九条が言った。
 「しかし、何故記憶が消えて無くなるんだろうか?…」
 葵が言った。
 「この島で僕たちが動けるのは、脳波のおかげです手紙だった…つまりこの島で殺されるという事は、脳波に危害を与えた事になり…」
 有紀が言った。
 「外傷性健忘がいしょうせいけんぼうか……」 
 歩が言った。
 「頭部の外傷がきっかけで、一時的な記憶喪失を起こす症状か……」
 葵が言った。
 「それと似たような事でしょう……」
 九条が言った。
 「なるほどね……とにかく脱出しなければ、わからないか……」
 葵が言った。
 「脱出できればの話ですが……」
 有紀が言った。
 「暗号が解けてないのか?」
 「いえ、暗号は解きました……合っているとは思うのですが……ヘタに試して面倒な事になると厄介です。アマツカの事ですどんな仕掛けがあるか……」
 歩が呟いた。
 「答え合わせか……」
 「歩さんには酷かもしれませんが……」
 先日のアマツカの言動から、この島からの脱出には『歩が関係している』事はじゅうぶんに考えられた。
 九条が言った。
 「葵君……君の答えを聞かせてくれ…」
 その時ちょうど美夢と容子が、皆の朝食を持って、戻ってきた。
 葵が言った。
 「では皆が揃ったので……始めますか…」


 「謎解きを…」

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