choice02~球体の楽園~
独占欲の果てに…①
葵、有紀、五月の3人は屋敷を出て、湖へ向かった。
するとすぐに異変に気付いた。
予想通り陸の遺体は、歩が用意したビニールシートを残し、キレイに消えていた。
葵は言った。
「やはり…消えていますね…」
五月は目を丸くして言った。
「これが……、リセットのルール…」
五月の反応を見て有紀が言った。
「五月の反応が普通だ…驚くのもムリは無い…。遺体が消えたのだから…」
葵は険しい表情で、髪をクルクルさせている。
それを見て有紀が言った。
「どうした?そんなに考え込んで…」
葵は唐突に言った。
「陸さんは……、本当に正午以降に殺害されたのでしょうか…」
五月が言った。
「急に何を…」
葵は続けた。
「僕は根本的に間違っていたのかも…」
有紀は興味津々で聞いた。
「どういう事だ?」
葵は自分の考えを言った。
「リセットのルールを逆手にとって…『死亡したのは正午以降』と、思い込ませたのでは?」
今度は五月が興味津々で聞いた。 
「つまり?…」
葵は説明した。
「陸さんは正午前に刺され、正午を過ぎた時に生き絶えた…。つまりこれなら、正午前に犯行を行うことは可能です…」
有紀が言った。
「犯人は時間を逆算して犯行を行ったと?…」
葵は言った。
「そう考えると、つじつまが合ってきます」
葵は続けた。
「犯人は11時30分頃に、陸さんを湖に呼び出し…陸さんの腹部と胸部を、それぞれ刺して逃走した」
有紀が言った。
「その時間なら屋敷を密かに抜け出すのも可能だな…」
五月が言った。
「じゃあ、12人目は?…部屋には人がいた痕跡があったよ…」
葵は言った。
「それが、そもそも引っ掛かります…。確かに使った形跡はありますが、生活感は全くありませんでした…」
有紀が言った。
「まさか……」
葵は言った。
「一つの仮説ですが、12人目は……最初から居なかった…」
五月はよくわからないと、いった感じでだ。
「もう訳が…」
葵は言った。
「犯人は…空き部屋を利用して、僕たちに『12人目』という、架空のじんぶつを植え付けた…」
葵の衝撃的な架設に、五月は呆然とした。
……同刻…屋敷……
葵ら3人が屋敷を出て行った後、歩ら…屋敷に残ったメンバーは、陸の部屋を調べる相談をしていた。
歩が言った。
「とりあえず、俺…見に行くよ…」
すると愛が言った。
「私も行きます…一人じゃ危険です」
歩は少し考えた。
歩はマリアを連れていくつもりだった。
マリアを置いていく訳にはいかない理由があった。
葵にマリアから目を離すなと、頼まれた手前…マリアを食堂に残して行くわけにはいかない。
歩は言った。
「じゃあ、マリアちゃんも行こう…。いいかな?愛ちゃん…」
歩の提案に愛は少し考えたが、受け入れる事にした。
「わかりました…、じゃあ、3人で行きましょう…」
結局、陸の部屋には…歩、愛、マリアの3人で行く事になり…、赤塚と亜美は食堂に残る事になった。
歩は言った。
「じゃあ、赤塚さん…、亜美ちゃんを頼みます…」
赤塚は不安を圧し殺した表情で言った。
「わかりました…、扉を締め切って閉じ籠りますので……戻ってきたら何か合図を…」
歩は少し考えて言った。
「う~ん、そうですね…じゃあ、ノックを3.3.7拍子でするんで…」
赤塚は納得するしかなかった。
「わかりました…くれぐれも、気を付けて…」
そうして、3人は食堂を出て陸の部屋に向かった。
陸の部屋に到着した3人は辺りを警戒しつつ、部屋に入る心の準備をする。
歩がドアノブに手をかけて言った。
「……開けるよ?…」
愛は黙って頷いたが、マリアは無反応だった。
歩は扉を開けた。
歩はある程度予想していたので、驚きは少なかったが…愛は目を見開いて驚いている。
マリアは相変わらず無反応だった。
愛は言った。
「聞いてはいたけど……いざ目にすると、やっぱり驚きます…」
陸の部屋には何も残されていなかった。
歩が言った。
「これがリセットのルールさ……、いつ体験しても、胸糞が悪いよ…。この世界では、死んでしまったら…生きていた証が消滅するんだ…」
歩は険しい表情をしている。
愛は意味深にその表情を見つめている。
歩は言った。
「とにかく部屋を調べてみる、愛ちゃんはマリアちゃんと、ドアを閉めて入口付近で待っていて…」
歩はそう言うと、部屋を調べ始めた。
歩は隅々まで部屋を調べたが、陸の持ち物などは残っていない。
洗面所を調べ終わった時だった。
ドンッと、入口の方で音がした。
歩は反射的に音に反応し、入口を確認した。
歩は自分の目を疑った。
「愛ちゃん?……何を…」
歩の目に写った光景は、愛がマリアの背後から手を首に回し、包丁を当てている。
歩は全身に緊張感が走った。
「愛ちゃん…なんのまねだ?」
愛は涙を流しながら、うすら笑みを浮かべている。
「もう……嫌よ…」
愛が一連の事件の犯人で無いことは、ほとんど一緒にいた、歩はわかっている。
「いったいどうしたんだ?」
「わかってるでしょ?…私の気持ちを…」
「だからって…」
歩は少し動いた。しかし、愛はそれを制するように叫んだ。
「動かないでっ!…この娘を殺すわよっ!」
歩は両手を上げて言った。
「何が…望みなんだ?」
愛は興奮ぎみに言った。
「私は……、もとの世界になんて…帰りたくないっ!…。私は、あなたとこの世界で…、あなたと一緒に生きたいの…」
愛はかなり興奮している。へたに刺激をすると、マリアが危ない。
「わかったよ…、とにかくマリアちゃんは離してやってよ…」
「この娘を離したら…あなたは、私を……」
歩は愛の警戒を解くために、笑顔で言った。
「君に危害は加えない…約束する。それにマリアちゃんは俺たちの事情に関係ないだろ?」
歩にそう言われると、愛はマリアを離した。
しかし、愛はマリアの変わりに、包丁を自分の喉元に向けて構えた。
歩はマリアに言った。
「マリアちゃん…悪いけど、先に食堂に戻ってくれないか…、俺、愛ちゃんと話があるから…」
マリアは黙って頷いた。
歩は笑顔で言った。
「走って戻るんだよ…食堂のノックは3.3.7拍子で、赤塚さんが開けてくれる…」
マリアは再び黙って頷いて部屋を出ていった。
マリアが外に出たのを確認して、愛は部屋の鍵を閉めた。
歩は言った。
「いつまでそうしているんだい?」
愛は黙っている。
歩は言った。
「もとの世界に帰っても…、俺たちはまた会える…」
愛は激昂した。
「ダメなのよっ!私は…帰れないっ!帰ったら…」
「どういう事だい?」
「私は…、帰ったら……」
愛の涙は止まらない。
そして、叫んだ。
「私は…、帰ったら、死ぬのよっ!」
愛の突然の告白に、歩は言葉が見つからず…ただ立ち尽くすしかなかった。
……芸術館……
一方、湖をあとにした3人は、芸術館に来ていた。
「必ずここに秘密があるはずです…」
そう言って葵は絵や彫刻を調べている。
有紀が言った。
「先程の話だか…12人目が存在しないとなれば…」
葵が答えた。
「おのずと犯人は絞られてきます」
五月が言った。
「だ、誰なの?」
葵が答えた。
「祥子さん、赤塚さん、亜美さん、マリアさんの4人です」
有紀が言った。
「それでもまだ4人か…」
葵は絵画を手にとり、丹念に調べている。
すると手に取った絵画を調べていると、何かを見つけた。
「これは?…絵が欠けている…」
葵は絵画を裏返した。
「額が外れた痕跡がある…」
葵は絵を置いて、髪をクルクル回し始めた。
有紀が言った。
「どうしたんだ?葵…」
葵は有紀の声が聞こえていないのか、置いた絵を見つめて、髪をクルクル回している。
今度は五月が言った。
「ちょっと、月島葵っ!…聞いて…」
五月の言葉を遮るように葵が言った。
「そういう事か…」
有紀が言った。
「何かわかったか?」
葵は一人でぶつぶつ言っている。
「これを使えば…」
そして、葵は有紀に聞いた。
「有紀さん僕たちがこの世界に来るまでの間、誰が食事係りを?」
「特に……決まってはいなかったが…」
葵は二人に言った。
「屋敷に戻りましょう…皆が危ない…」
葵は屋敷に向かって走りだした。
有紀と五月は訳がわからないまま、葵を追うしかなかった。
するとすぐに異変に気付いた。
予想通り陸の遺体は、歩が用意したビニールシートを残し、キレイに消えていた。
葵は言った。
「やはり…消えていますね…」
五月は目を丸くして言った。
「これが……、リセットのルール…」
五月の反応を見て有紀が言った。
「五月の反応が普通だ…驚くのもムリは無い…。遺体が消えたのだから…」
葵は険しい表情で、髪をクルクルさせている。
それを見て有紀が言った。
「どうした?そんなに考え込んで…」
葵は唐突に言った。
「陸さんは……、本当に正午以降に殺害されたのでしょうか…」
五月が言った。
「急に何を…」
葵は続けた。
「僕は根本的に間違っていたのかも…」
有紀は興味津々で聞いた。
「どういう事だ?」
葵は自分の考えを言った。
「リセットのルールを逆手にとって…『死亡したのは正午以降』と、思い込ませたのでは?」
今度は五月が興味津々で聞いた。 
「つまり?…」
葵は説明した。
「陸さんは正午前に刺され、正午を過ぎた時に生き絶えた…。つまりこれなら、正午前に犯行を行うことは可能です…」
有紀が言った。
「犯人は時間を逆算して犯行を行ったと?…」
葵は言った。
「そう考えると、つじつまが合ってきます」
葵は続けた。
「犯人は11時30分頃に、陸さんを湖に呼び出し…陸さんの腹部と胸部を、それぞれ刺して逃走した」
有紀が言った。
「その時間なら屋敷を密かに抜け出すのも可能だな…」
五月が言った。
「じゃあ、12人目は?…部屋には人がいた痕跡があったよ…」
葵は言った。
「それが、そもそも引っ掛かります…。確かに使った形跡はありますが、生活感は全くありませんでした…」
有紀が言った。
「まさか……」
葵は言った。
「一つの仮説ですが、12人目は……最初から居なかった…」
五月はよくわからないと、いった感じでだ。
「もう訳が…」
葵は言った。
「犯人は…空き部屋を利用して、僕たちに『12人目』という、架空のじんぶつを植え付けた…」
葵の衝撃的な架設に、五月は呆然とした。
……同刻…屋敷……
葵ら3人が屋敷を出て行った後、歩ら…屋敷に残ったメンバーは、陸の部屋を調べる相談をしていた。
歩が言った。
「とりあえず、俺…見に行くよ…」
すると愛が言った。
「私も行きます…一人じゃ危険です」
歩は少し考えた。
歩はマリアを連れていくつもりだった。
マリアを置いていく訳にはいかない理由があった。
葵にマリアから目を離すなと、頼まれた手前…マリアを食堂に残して行くわけにはいかない。
歩は言った。
「じゃあ、マリアちゃんも行こう…。いいかな?愛ちゃん…」
歩の提案に愛は少し考えたが、受け入れる事にした。
「わかりました…、じゃあ、3人で行きましょう…」
結局、陸の部屋には…歩、愛、マリアの3人で行く事になり…、赤塚と亜美は食堂に残る事になった。
歩は言った。
「じゃあ、赤塚さん…、亜美ちゃんを頼みます…」
赤塚は不安を圧し殺した表情で言った。
「わかりました…、扉を締め切って閉じ籠りますので……戻ってきたら何か合図を…」
歩は少し考えて言った。
「う~ん、そうですね…じゃあ、ノックを3.3.7拍子でするんで…」
赤塚は納得するしかなかった。
「わかりました…くれぐれも、気を付けて…」
そうして、3人は食堂を出て陸の部屋に向かった。
陸の部屋に到着した3人は辺りを警戒しつつ、部屋に入る心の準備をする。
歩がドアノブに手をかけて言った。
「……開けるよ?…」
愛は黙って頷いたが、マリアは無反応だった。
歩は扉を開けた。
歩はある程度予想していたので、驚きは少なかったが…愛は目を見開いて驚いている。
マリアは相変わらず無反応だった。
愛は言った。
「聞いてはいたけど……いざ目にすると、やっぱり驚きます…」
陸の部屋には何も残されていなかった。
歩が言った。
「これがリセットのルールさ……、いつ体験しても、胸糞が悪いよ…。この世界では、死んでしまったら…生きていた証が消滅するんだ…」
歩は険しい表情をしている。
愛は意味深にその表情を見つめている。
歩は言った。
「とにかく部屋を調べてみる、愛ちゃんはマリアちゃんと、ドアを閉めて入口付近で待っていて…」
歩はそう言うと、部屋を調べ始めた。
歩は隅々まで部屋を調べたが、陸の持ち物などは残っていない。
洗面所を調べ終わった時だった。
ドンッと、入口の方で音がした。
歩は反射的に音に反応し、入口を確認した。
歩は自分の目を疑った。
「愛ちゃん?……何を…」
歩の目に写った光景は、愛がマリアの背後から手を首に回し、包丁を当てている。
歩は全身に緊張感が走った。
「愛ちゃん…なんのまねだ?」
愛は涙を流しながら、うすら笑みを浮かべている。
「もう……嫌よ…」
愛が一連の事件の犯人で無いことは、ほとんど一緒にいた、歩はわかっている。
「いったいどうしたんだ?」
「わかってるでしょ?…私の気持ちを…」
「だからって…」
歩は少し動いた。しかし、愛はそれを制するように叫んだ。
「動かないでっ!…この娘を殺すわよっ!」
歩は両手を上げて言った。
「何が…望みなんだ?」
愛は興奮ぎみに言った。
「私は……、もとの世界になんて…帰りたくないっ!…。私は、あなたとこの世界で…、あなたと一緒に生きたいの…」
愛はかなり興奮している。へたに刺激をすると、マリアが危ない。
「わかったよ…、とにかくマリアちゃんは離してやってよ…」
「この娘を離したら…あなたは、私を……」
歩は愛の警戒を解くために、笑顔で言った。
「君に危害は加えない…約束する。それにマリアちゃんは俺たちの事情に関係ないだろ?」
歩にそう言われると、愛はマリアを離した。
しかし、愛はマリアの変わりに、包丁を自分の喉元に向けて構えた。
歩はマリアに言った。
「マリアちゃん…悪いけど、先に食堂に戻ってくれないか…、俺、愛ちゃんと話があるから…」
マリアは黙って頷いた。
歩は笑顔で言った。
「走って戻るんだよ…食堂のノックは3.3.7拍子で、赤塚さんが開けてくれる…」
マリアは再び黙って頷いて部屋を出ていった。
マリアが外に出たのを確認して、愛は部屋の鍵を閉めた。
歩は言った。
「いつまでそうしているんだい?」
愛は黙っている。
歩は言った。
「もとの世界に帰っても…、俺たちはまた会える…」
愛は激昂した。
「ダメなのよっ!私は…帰れないっ!帰ったら…」
「どういう事だい?」
「私は…、帰ったら……」
愛の涙は止まらない。
そして、叫んだ。
「私は…、帰ったら、死ぬのよっ!」
愛の突然の告白に、歩は言葉が見つからず…ただ立ち尽くすしかなかった。
……芸術館……
一方、湖をあとにした3人は、芸術館に来ていた。
「必ずここに秘密があるはずです…」
そう言って葵は絵や彫刻を調べている。
有紀が言った。
「先程の話だか…12人目が存在しないとなれば…」
葵が答えた。
「おのずと犯人は絞られてきます」
五月が言った。
「だ、誰なの?」
葵が答えた。
「祥子さん、赤塚さん、亜美さん、マリアさんの4人です」
有紀が言った。
「それでもまだ4人か…」
葵は絵画を手にとり、丹念に調べている。
すると手に取った絵画を調べていると、何かを見つけた。
「これは?…絵が欠けている…」
葵は絵画を裏返した。
「額が外れた痕跡がある…」
葵は絵を置いて、髪をクルクル回し始めた。
有紀が言った。
「どうしたんだ?葵…」
葵は有紀の声が聞こえていないのか、置いた絵を見つめて、髪をクルクル回している。
今度は五月が言った。
「ちょっと、月島葵っ!…聞いて…」
五月の言葉を遮るように葵が言った。
「そういう事か…」
有紀が言った。
「何かわかったか?」
葵は一人でぶつぶつ言っている。
「これを使えば…」
そして、葵は有紀に聞いた。
「有紀さん僕たちがこの世界に来るまでの間、誰が食事係りを?」
「特に……決まってはいなかったが…」
葵は二人に言った。
「屋敷に戻りましょう…皆が危ない…」
葵は屋敷に向かって走りだした。
有紀と五月は訳がわからないまま、葵を追うしかなかった。
「推理」の人気作品
書籍化作品
-
-
4112
-
-
3087
-
-
93
-
-
70810
-
-
49989
-
-
381
-
-
93
-
-
127
-
-
310
コメント