choice02~球体の楽園~
プロローグ①
……2011年…秋……
秋の少し肌寒い中、オフィス街にあるオシャレな喫茶店があった。
喫茶店にはオープンテラスがあるが、誰も座っていない…肌寒いので昼間にもかかわらず誰も座っていないのは、そのためだ。
店内のクラシカルな空気に身を包みながら、月島葵は一人で、アイスカフェラテを飲んでいる。
葵のかもし出す、インテリ感とその綺麗なルックスが、店内の空気と実に合う。
女性店員とOL客が、葵に見とれている。
「ふむ…やはりコーヒー6の牛乳4の割合でシロップ3つが…一番いい…」
クラシカルな店内に、クラシカルな音楽を堪能しながら、お気に入りのアイスカフェラテを口にする。
「相変わらずの甘党だな…」
店内とアイスカフェラテを堪能する葵に、一人の男性が話しかけてきた。 
話しかけてきた男性は葵の向かい側に座った。
「お久しぶりです、歩さん…」
歩と呼ばれる男性は、渡辺歩…医師免許を持った、戦場カメラマンだ。
葵とは今年の夏に知り合った。
彼も葵とは違うタイプだが、いい男で…華奢な体つきに見えるが、実は筋肉質で肌が黒いので、いい意味で男くささがある。
歩は店員にホットコーヒーを注文した。
「で…歩さん…いつ帰国されたのですか?…」
「3日前だよ…変わらず元気にやってるかい?」
葵は癖のある髪を人差し指で、クルクル回しながら言った。
「特に変化はありません…退屈なものです…」
髪をクルクル回すのは葵の癖だ。
注文したホットコーヒーがきたので、歩は砂糖とミルクを入れ、かき混ぜながら言った。
「平和でいいんじゃない…俺は戦場カメラマンだから…」
「そうでしたね…失礼しました…」
「いや、気にする事ないよ…ところで美夢ちゃんも元気かい?」
美夢とは藤崎美夢、葵の幼馴染みで、一緒の大学に通っている。
「相変わらずですよ…」
歩はどこかほっとした表情で言った。
「そっか…元気がなりよりさ…」
葵が切り出した。
「で…わざわざ帰国してすぐに、僕を呼び出したのは?…」
「君の顔を見たかった。ではダメかい?…」
「まさか……」
歩は少し表情を硬くして言った。
「九条が倒れた…」
その言葉に葵の顔も硬くなった。
「九条さんが?…なぜ?…まさか…」
「現在…昏睡状態らしい…。原因は不明だ…」
九条司…。衆議院議員、九条外務大臣の次男で、有名な青年実業家…。
歩と同じく夏の事件で知り合った。
葵は聞いた。
「で、今は?」
「有紀がいる大学病院で入院している…いくかい?」
「僕が行かないとでも?…」
「まさか…ただの病気なら、君は来ないだろうが…、九条は昏睡状態だ、君が来ないわけない…」
葵は立ち上がった。
「行きましょう…」
喫茶店を出てタクシーを拾った二人は、 九条が入院している、東鷹医大へ向かった。
若者やビジネスマンで賑わう街を、ふたりを乗せたタクシーは疾走する。
15分ほどで目的地に到着した。
タクシーを降りた二人は、受け付けに向かう…。
受付の女性に、歩は言った。
「九条司の病室は?」
受付の女性はしばらく、リストらしき物を確認して言った。
「九条様への面会は断るようにと、言われていまして…」
予想通りの答えだった。
九条は有名な実業家で、現大臣の息子だ…素性のわからない、葵と歩を簡単に通すわけがなかった。
「困ったなぁ…」
すると、こちらに一人の男性が向かってきた。
「渡辺様に…月島様…来てくださったのですか…」
歩はその男性に言った。
「山村さん…」
二人に話しかけてきたのは、九条の秘書、山村だった。
山村は今年の夏…葵達が乗り込んだクルーザーの船長だった人物だ。
夏と変わらず、物腰が低く…やさしい表情をしている。
「お久しぶりです…お二人とも」
山村はそう言うと、受付の女性に言った。
「このお二人は九条社長のご友人ですので、私が…」
受付に説明すると、山村は葵と歩を、九条の病室に案内する…。
道中、山村が言った。
「マスコミ対策のため、VIPルームを利用しています…」
歩が言った。
「わかります…あいつ有名人だから…。
それにしても、俺はこの病院出身なのにさぁ…素性不明って、失礼じゃない?」
「それはお前の見た目が怪しいからだ…」
愚痴を言う歩を制するように、その言葉は飛んできた…。
振り向いて声の主を確認すると…。
「有紀さん…」
葵が有紀と呼ぶ女性…。片岡有紀、この病院の内科医で、歩の元同僚だ。
夏の旅にも、歩と参加した。
頭脳明晰な美人女医だ。
有紀は葵に優しく話しかけてきた。
「久しぶりだな、葵…。美夢は元気か?」
「有紀さんこそ、お変わりなく…。美夢も会いたがってましたよ…」
「ふっ…そうか…二人とも元気なら、それでいい…」
有紀は相変わらずクールだ。
すると歩が言った。
「あの~、有紀…俺も久しぶりじゃない?…」
有紀はいきなり冷たい視線で歩に言った。
「お前の事など、どうでもいい…てっきりどこかで、の垂れ死んでるかと思ったが…生きていたのか…」
この二人のやり取りも相変わらずである。
「なぁ、葵君…ひどくねっ?」
「それよりも今は九条さんです」
葵にまで気にされていない歩は、少し気の毒だか、それほどにこの二人のやり取りは…お約束ともいえる。
有紀が言った。
「私も動向しよう…主治医だしな…」
有紀も加えて4人は病室に入った。
葵と歩は病室の豪華さに驚いた。
歩が言った。
「成金かよぉ…」
歩がそう言うのもわかる…豪華すぎて、病室と言うより……、これではホテルのスウィートルームだ。
葵はベッドに横たわる九条を見た。
眠っている…歩の言うように、昏睡状態だろう…。
有紀が言った。
「九条氏が…ここに搬送されたのは、2日前の夜10時…そこにいる山村氏からこちらに連絡がきてな、極秘に緊急入院させた」
山村が言った。
「夏の事がありましたので、騒ぎを大きくするわけにもいかず…片岡先生に直接相談しました…」
葵が言った。
「マスコミ対策ですか…この件に限らず九条さんほどの有名人は、トラブルに合う可能性は、一般人と比べると高いですから…。ベストな判断でしょう…」
歩が言った。
「で容態は?…」
有紀が言った。
「うむ…心音、脈拍、呼吸は正常…。MRIで検査もしたが…異常無しだ…」
葵が言った。
「同じですか…あの時の僕たちと…」
「そうだ…まったくな…」
歩が言った。
「外で話そう…山村さん、九条を頼みます…」
「わかりました…受付には言っておきますので、いつでもいらして下さい…」
山村を残し3人は病室をあとにした。
病院内の喫茶店で3人は話す事にした。
ネーブルに着いた3人は、各自飲み物を注文し、話の続きをした。
有紀が言った。
「葵…どう思う?…」
「まだ何とも…九条さんが発見された時の状況は?」
「自分の会社の仕事部屋で発見されたらしい…机にうつ伏せになってな…」
「机…ですか…」
葵は髪をクルクルし出した…。
何かを考え込んでいる。
歩が有紀に言った。
「山村さんにあの事は?」
「話していない…山村氏にあの時の記憶は無いんだ、余計な事は伝えないほうがいい…」
「そうだな…まっ、話しても信じてもらえないか…」
すると葵がいきなり言葉を発した。
「会社…仕事部屋…パソコン…」
有紀が言った。
「どうした?葵…」
「有紀さん…九条さんは仕事をしていたんですか?仕事部屋にいたんでしょ?」
「ああ…山村氏の話によると、パソコンを使って業務をしていたようだ…」
葵は広角を軽く上げて言った。
「それです…」
歩が言った。
「何が?…」
「パソコンですよ…『鍵』は、パソコンです…」
有紀が言った。
「まさか…そうなのか?…」
「確証はありません、だが…九条さんの昏睡の原因が『あれ』なら…」
歩も何かに気付いたように言った。
「でも…どうやって?」
葵はまたも広角を上げた。
「ひとつ…方法はあります……」
有紀が言った。
「なんだ?その方法は…」
「コンピュータウィルスです…」
歩が言った。
「コンピュータウィルス?」
「あの『白い光』がでる、コンピュータウィルスを九条さんのパソコンに送れば…」
有紀が言った。
「そうか…出来ない事は無い…」
歩が言った。
「『ヤツ』の仕業だと…」
「原因がそれだとしたら…おそらく『アマツカ』の仕業でしょう…」
有紀が言った。
「動き出したのか…」
葵が言った。
「少し調べる必要があります…他に同じ症状の患者がいるかを…」 
有紀が言った。
「それは私が引き受けよう…」
「いいのですか?」
「医学で何とも出来ないんだ…その可能性は頭に入れておく必要がある…」
「感謝します…」
「気にする事ではない…記憶が残っている以上こうなる事はわかったいた…」
歩も言った。
「俺は前も言ったけど…協力するよ。いや、俺は…やらなければならない…」
葵は言った。
「今度こそ…アマツカの秘密を暴いてみせます…」
そらからしばし、3人で喫茶店で話をし、葵と歩は病院を出る事にした。
秋の少し肌寒い中、オフィス街にあるオシャレな喫茶店があった。
喫茶店にはオープンテラスがあるが、誰も座っていない…肌寒いので昼間にもかかわらず誰も座っていないのは、そのためだ。
店内のクラシカルな空気に身を包みながら、月島葵は一人で、アイスカフェラテを飲んでいる。
葵のかもし出す、インテリ感とその綺麗なルックスが、店内の空気と実に合う。
女性店員とOL客が、葵に見とれている。
「ふむ…やはりコーヒー6の牛乳4の割合でシロップ3つが…一番いい…」
クラシカルな店内に、クラシカルな音楽を堪能しながら、お気に入りのアイスカフェラテを口にする。
「相変わらずの甘党だな…」
店内とアイスカフェラテを堪能する葵に、一人の男性が話しかけてきた。 
話しかけてきた男性は葵の向かい側に座った。
「お久しぶりです、歩さん…」
歩と呼ばれる男性は、渡辺歩…医師免許を持った、戦場カメラマンだ。
葵とは今年の夏に知り合った。
彼も葵とは違うタイプだが、いい男で…華奢な体つきに見えるが、実は筋肉質で肌が黒いので、いい意味で男くささがある。
歩は店員にホットコーヒーを注文した。
「で…歩さん…いつ帰国されたのですか?…」
「3日前だよ…変わらず元気にやってるかい?」
葵は癖のある髪を人差し指で、クルクル回しながら言った。
「特に変化はありません…退屈なものです…」
髪をクルクル回すのは葵の癖だ。
注文したホットコーヒーがきたので、歩は砂糖とミルクを入れ、かき混ぜながら言った。
「平和でいいんじゃない…俺は戦場カメラマンだから…」
「そうでしたね…失礼しました…」
「いや、気にする事ないよ…ところで美夢ちゃんも元気かい?」
美夢とは藤崎美夢、葵の幼馴染みで、一緒の大学に通っている。
「相変わらずですよ…」
歩はどこかほっとした表情で言った。
「そっか…元気がなりよりさ…」
葵が切り出した。
「で…わざわざ帰国してすぐに、僕を呼び出したのは?…」
「君の顔を見たかった。ではダメかい?…」
「まさか……」
歩は少し表情を硬くして言った。
「九条が倒れた…」
その言葉に葵の顔も硬くなった。
「九条さんが?…なぜ?…まさか…」
「現在…昏睡状態らしい…。原因は不明だ…」
九条司…。衆議院議員、九条外務大臣の次男で、有名な青年実業家…。
歩と同じく夏の事件で知り合った。
葵は聞いた。
「で、今は?」
「有紀がいる大学病院で入院している…いくかい?」
「僕が行かないとでも?…」
「まさか…ただの病気なら、君は来ないだろうが…、九条は昏睡状態だ、君が来ないわけない…」
葵は立ち上がった。
「行きましょう…」
喫茶店を出てタクシーを拾った二人は、 九条が入院している、東鷹医大へ向かった。
若者やビジネスマンで賑わう街を、ふたりを乗せたタクシーは疾走する。
15分ほどで目的地に到着した。
タクシーを降りた二人は、受け付けに向かう…。
受付の女性に、歩は言った。
「九条司の病室は?」
受付の女性はしばらく、リストらしき物を確認して言った。
「九条様への面会は断るようにと、言われていまして…」
予想通りの答えだった。
九条は有名な実業家で、現大臣の息子だ…素性のわからない、葵と歩を簡単に通すわけがなかった。
「困ったなぁ…」
すると、こちらに一人の男性が向かってきた。
「渡辺様に…月島様…来てくださったのですか…」
歩はその男性に言った。
「山村さん…」
二人に話しかけてきたのは、九条の秘書、山村だった。
山村は今年の夏…葵達が乗り込んだクルーザーの船長だった人物だ。
夏と変わらず、物腰が低く…やさしい表情をしている。
「お久しぶりです…お二人とも」
山村はそう言うと、受付の女性に言った。
「このお二人は九条社長のご友人ですので、私が…」
受付に説明すると、山村は葵と歩を、九条の病室に案内する…。
道中、山村が言った。
「マスコミ対策のため、VIPルームを利用しています…」
歩が言った。
「わかります…あいつ有名人だから…。
それにしても、俺はこの病院出身なのにさぁ…素性不明って、失礼じゃない?」
「それはお前の見た目が怪しいからだ…」
愚痴を言う歩を制するように、その言葉は飛んできた…。
振り向いて声の主を確認すると…。
「有紀さん…」
葵が有紀と呼ぶ女性…。片岡有紀、この病院の内科医で、歩の元同僚だ。
夏の旅にも、歩と参加した。
頭脳明晰な美人女医だ。
有紀は葵に優しく話しかけてきた。
「久しぶりだな、葵…。美夢は元気か?」
「有紀さんこそ、お変わりなく…。美夢も会いたがってましたよ…」
「ふっ…そうか…二人とも元気なら、それでいい…」
有紀は相変わらずクールだ。
すると歩が言った。
「あの~、有紀…俺も久しぶりじゃない?…」
有紀はいきなり冷たい視線で歩に言った。
「お前の事など、どうでもいい…てっきりどこかで、の垂れ死んでるかと思ったが…生きていたのか…」
この二人のやり取りも相変わらずである。
「なぁ、葵君…ひどくねっ?」
「それよりも今は九条さんです」
葵にまで気にされていない歩は、少し気の毒だか、それほどにこの二人のやり取りは…お約束ともいえる。
有紀が言った。
「私も動向しよう…主治医だしな…」
有紀も加えて4人は病室に入った。
葵と歩は病室の豪華さに驚いた。
歩が言った。
「成金かよぉ…」
歩がそう言うのもわかる…豪華すぎて、病室と言うより……、これではホテルのスウィートルームだ。
葵はベッドに横たわる九条を見た。
眠っている…歩の言うように、昏睡状態だろう…。
有紀が言った。
「九条氏が…ここに搬送されたのは、2日前の夜10時…そこにいる山村氏からこちらに連絡がきてな、極秘に緊急入院させた」
山村が言った。
「夏の事がありましたので、騒ぎを大きくするわけにもいかず…片岡先生に直接相談しました…」
葵が言った。
「マスコミ対策ですか…この件に限らず九条さんほどの有名人は、トラブルに合う可能性は、一般人と比べると高いですから…。ベストな判断でしょう…」
歩が言った。
「で容態は?…」
有紀が言った。
「うむ…心音、脈拍、呼吸は正常…。MRIで検査もしたが…異常無しだ…」
葵が言った。
「同じですか…あの時の僕たちと…」
「そうだ…まったくな…」
歩が言った。
「外で話そう…山村さん、九条を頼みます…」
「わかりました…受付には言っておきますので、いつでもいらして下さい…」
山村を残し3人は病室をあとにした。
病院内の喫茶店で3人は話す事にした。
ネーブルに着いた3人は、各自飲み物を注文し、話の続きをした。
有紀が言った。
「葵…どう思う?…」
「まだ何とも…九条さんが発見された時の状況は?」
「自分の会社の仕事部屋で発見されたらしい…机にうつ伏せになってな…」
「机…ですか…」
葵は髪をクルクルし出した…。
何かを考え込んでいる。
歩が有紀に言った。
「山村さんにあの事は?」
「話していない…山村氏にあの時の記憶は無いんだ、余計な事は伝えないほうがいい…」
「そうだな…まっ、話しても信じてもらえないか…」
すると葵がいきなり言葉を発した。
「会社…仕事部屋…パソコン…」
有紀が言った。
「どうした?葵…」
「有紀さん…九条さんは仕事をしていたんですか?仕事部屋にいたんでしょ?」
「ああ…山村氏の話によると、パソコンを使って業務をしていたようだ…」
葵は広角を軽く上げて言った。
「それです…」
歩が言った。
「何が?…」
「パソコンですよ…『鍵』は、パソコンです…」
有紀が言った。
「まさか…そうなのか?…」
「確証はありません、だが…九条さんの昏睡の原因が『あれ』なら…」
歩も何かに気付いたように言った。
「でも…どうやって?」
葵はまたも広角を上げた。
「ひとつ…方法はあります……」
有紀が言った。
「なんだ?その方法は…」
「コンピュータウィルスです…」
歩が言った。
「コンピュータウィルス?」
「あの『白い光』がでる、コンピュータウィルスを九条さんのパソコンに送れば…」
有紀が言った。
「そうか…出来ない事は無い…」
歩が言った。
「『ヤツ』の仕業だと…」
「原因がそれだとしたら…おそらく『アマツカ』の仕業でしょう…」
有紀が言った。
「動き出したのか…」
葵が言った。
「少し調べる必要があります…他に同じ症状の患者がいるかを…」 
有紀が言った。
「それは私が引き受けよう…」
「いいのですか?」
「医学で何とも出来ないんだ…その可能性は頭に入れておく必要がある…」
「感謝します…」
「気にする事ではない…記憶が残っている以上こうなる事はわかったいた…」
歩も言った。
「俺は前も言ったけど…協力するよ。いや、俺は…やらなければならない…」
葵は言った。
「今度こそ…アマツカの秘密を暴いてみせます…」
そらからしばし、3人で喫茶店で話をし、葵と歩は病院を出る事にした。
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