この世界なら僕は変われるかもしれない。
第1話
「………ん」
 山田健斗は目を覚ました。
 健斗は、意識は朦朧としながらも起き上がり、周囲を見回した。
 そこで健斗の眠気は一瞬で吹き飛んだ。
 「……ここは、どこなんだ?」
 健斗がいたのは森の中、太陽の光が差し込んでいる芝生の上で眠っていた。
 「僕は一体何を…」
 健斗は困惑しながらも、記憶を辿ってみるが、今の現状に繋がらない。自殺をしたはずの健斗が、生きていて、しかも森の中で寝ていたのだ。
 「もしかしてあの光が…」
 学校の屋上から飛び降りた直後、健斗は暗闇の中にいた。そして謎の光の中に入っていった。
 「だとしても、ここはどこなんだろう…。日本なのかな」
 健斗は立ち上がり、あたりを歩くことした。ここがどこなのか…。まずはそこを知らないといけない。
 歩きながら空を見上げると、森の木々の隙間から青空が見えた。雲一つない快晴だ。心地よい風も吹き、空気もおいしい。とてもリラックスできる。
 ここなら嫌なことも忘れられる…。そんな気がした。
 しばらく歩いている内に、木々の隙間から差し込む光の量も少なくなった。どうやら、森の奥の方に進んでしまったようだ。
 健斗は怖くなった。木立がさらに密生して、もうどこからも日は差し込んでこなくなった。心地よかった風も、木々を揺らして大きな音をたてている。
 「…引き返そう」
 健斗は元来た方向を向き、歩き出そうとしたーー
 ヴォォォン ︎ ︎
 獣のような鳴き声がし、健斗の足が止まった。
 「…な、なんだよ今の」
 (犬?それとも狼?いや、こんな鳴き声聞いたことがない…)
 足音がこちらに近づいてくる。それは徐々に大きくなっていく…。健斗は底知れぬ恐怖で一歩も動けない。
 そして、それは薄暗い森の中で姿を現した。体長は2メートルほどで、全身白い毛に覆われている。見た目は狼に近いが、狼と決定的に違うのは、頭から30センチ以上もあるツノが生えている。ツノは銀色に輝いていて、まるで鉄のようだった。あれで刺されたらひとたまりもないだろう。
 「あ……あぁ……」
 健斗は恐怖で声が出ない。目の前にはツノが生えている2メートルの怪物。そしてその怪物は、健斗を睨んでいて、今にも襲いかかりそうだった。
 「……い、いやだ、やめてくれ…」
 健斗はなんとか声を振り絞った。逃げようとしたが、足が動かない。 
 ーーーあぁ、あの時と同じだ
 『……い、いやだ、やめてください…』
 健斗は必死な声で男達に訴えた。
 『あぁ?うるせぇんだよ ︎』
 ドゴッ
 男は健斗の腹を殴った。他の男達はニヤニヤしながらそれを見ている。
 
 『がはっ………』
 健斗は痛みでうずくまった。
 ー痛い、怖い、逃げなきゃ…。でも足が動かない。声もうまく出せない。どうして僕がこんな目に遭わないといけないんだ…
 男達はその後も健斗を殴り続けた。薄れていく意識の中で、男達が笑っているのを覚えている。
 ーーーあの時も何も出来なかったな…
 健斗は動くことが出来ず、尻もちをついた。
 獣がゆっくりと近づいてくる。
 ーあぁ、僕は殺されるのか。まぁ、いいか。もともと死ぬつもりだったんだ…。結局、ここがどこだか分からなかったけど、もうそんなことはどうでもいいや。
 健斗は目を閉じた。
 獣は健斗にむかって走り、ツノを健斗の身体に刺したーー
 ガキィン ︎
ツノは健斗の身体に当たったが、健斗に痛みはない。恐る恐る健斗は目を開いた。
 「……なっ ︎」
 健斗の身体は光に覆われていた。まるで健斗の身体を守っているかのようであった。獣のツノも身体に直接当たっておらず、光がそれを受け止めていた。
 「…ど、どうなっているんだ」
 健斗は自分の身に何が起こっているのか、まったく分からない。
 
 獣は驚き、健斗と距離を少しとった。どうやら警戒しているようだ。
 (今が逃げるチャンスかもしれない…)
 健斗は逃げようとする。が、足が動かない。恐怖で腰を抜かしていた。
 獣は動かない健斗を見て、もう一度襲いにかかってきた。
 ーもうダメだっ ︎
 健斗はギュッと目を閉じた。
『アイスボール ︎』
どこからか声が聞こえた。そして、その直後に目の前でカチィィンという音が響いた。目をゆっくり開けると、そこには凍っている獣がいた。
 「…こ、これは」
 
 「やぁ、大丈夫かい?」
 
 声の方を振り向くと、そこには10代後半だろうか、若い男が立っていた。
 山田健斗は目を覚ました。
 健斗は、意識は朦朧としながらも起き上がり、周囲を見回した。
 そこで健斗の眠気は一瞬で吹き飛んだ。
 「……ここは、どこなんだ?」
 健斗がいたのは森の中、太陽の光が差し込んでいる芝生の上で眠っていた。
 「僕は一体何を…」
 健斗は困惑しながらも、記憶を辿ってみるが、今の現状に繋がらない。自殺をしたはずの健斗が、生きていて、しかも森の中で寝ていたのだ。
 「もしかしてあの光が…」
 学校の屋上から飛び降りた直後、健斗は暗闇の中にいた。そして謎の光の中に入っていった。
 「だとしても、ここはどこなんだろう…。日本なのかな」
 健斗は立ち上がり、あたりを歩くことした。ここがどこなのか…。まずはそこを知らないといけない。
 歩きながら空を見上げると、森の木々の隙間から青空が見えた。雲一つない快晴だ。心地よい風も吹き、空気もおいしい。とてもリラックスできる。
 ここなら嫌なことも忘れられる…。そんな気がした。
 しばらく歩いている内に、木々の隙間から差し込む光の量も少なくなった。どうやら、森の奥の方に進んでしまったようだ。
 健斗は怖くなった。木立がさらに密生して、もうどこからも日は差し込んでこなくなった。心地よかった風も、木々を揺らして大きな音をたてている。
 「…引き返そう」
 健斗は元来た方向を向き、歩き出そうとしたーー
 ヴォォォン ︎ ︎
 獣のような鳴き声がし、健斗の足が止まった。
 「…な、なんだよ今の」
 (犬?それとも狼?いや、こんな鳴き声聞いたことがない…)
 足音がこちらに近づいてくる。それは徐々に大きくなっていく…。健斗は底知れぬ恐怖で一歩も動けない。
 そして、それは薄暗い森の中で姿を現した。体長は2メートルほどで、全身白い毛に覆われている。見た目は狼に近いが、狼と決定的に違うのは、頭から30センチ以上もあるツノが生えている。ツノは銀色に輝いていて、まるで鉄のようだった。あれで刺されたらひとたまりもないだろう。
 「あ……あぁ……」
 健斗は恐怖で声が出ない。目の前にはツノが生えている2メートルの怪物。そしてその怪物は、健斗を睨んでいて、今にも襲いかかりそうだった。
 「……い、いやだ、やめてくれ…」
 健斗はなんとか声を振り絞った。逃げようとしたが、足が動かない。 
 ーーーあぁ、あの時と同じだ
 『……い、いやだ、やめてください…』
 健斗は必死な声で男達に訴えた。
 『あぁ?うるせぇんだよ ︎』
 ドゴッ
 男は健斗の腹を殴った。他の男達はニヤニヤしながらそれを見ている。
 
 『がはっ………』
 健斗は痛みでうずくまった。
 ー痛い、怖い、逃げなきゃ…。でも足が動かない。声もうまく出せない。どうして僕がこんな目に遭わないといけないんだ…
 男達はその後も健斗を殴り続けた。薄れていく意識の中で、男達が笑っているのを覚えている。
 ーーーあの時も何も出来なかったな…
 健斗は動くことが出来ず、尻もちをついた。
 獣がゆっくりと近づいてくる。
 ーあぁ、僕は殺されるのか。まぁ、いいか。もともと死ぬつもりだったんだ…。結局、ここがどこだか分からなかったけど、もうそんなことはどうでもいいや。
 健斗は目を閉じた。
 獣は健斗にむかって走り、ツノを健斗の身体に刺したーー
 ガキィン ︎
ツノは健斗の身体に当たったが、健斗に痛みはない。恐る恐る健斗は目を開いた。
 「……なっ ︎」
 健斗の身体は光に覆われていた。まるで健斗の身体を守っているかのようであった。獣のツノも身体に直接当たっておらず、光がそれを受け止めていた。
 「…ど、どうなっているんだ」
 健斗は自分の身に何が起こっているのか、まったく分からない。
 
 獣は驚き、健斗と距離を少しとった。どうやら警戒しているようだ。
 (今が逃げるチャンスかもしれない…)
 健斗は逃げようとする。が、足が動かない。恐怖で腰を抜かしていた。
 獣は動かない健斗を見て、もう一度襲いにかかってきた。
 ーもうダメだっ ︎
 健斗はギュッと目を閉じた。
『アイスボール ︎』
どこからか声が聞こえた。そして、その直後に目の前でカチィィンという音が響いた。目をゆっくり開けると、そこには凍っている獣がいた。
 「…こ、これは」
 
 「やぁ、大丈夫かい?」
 
 声の方を振り向くと、そこには10代後半だろうか、若い男が立っていた。
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コメント
姉川京
次回はどうなるのか楽しみです!
これからもお互い頑張りましょうね♪
あともし宜しければ僕の作品もよろしくお願いします!