BADEND in 茜祭

六首と六難

生徒会。始動。

花粉とPM2,5とWiFiが飛び交う4月。

殆どの高校にある桜並木は美しく花を咲かせ、入学式になったら新入生に華を添えるだろう。

しかし、ここ、茜坂あかねざか高校では違う。

正門前には長い坂があり、そこには他の高校のような桜並木では無く、また、地面であるアスファルトもない。

そこには1面の緑の絨毯が広がっているのだ。

これは「茜」という花が植わっており、夏から秋頃になると、満開に咲き誇り、それはそれは綺麗な赤い絨毯を作り出す。

その風景は美しく、中々見れるものでは無いと話題だが、残念ながら入学式シーズンではただの草である。

無論、校長の式辞で、「正門前の桜並木が満開に咲き誇り〜」みたいな定型文も存在しない。

そんな茜坂高校ではつい先日、二・三年生による始業式が行われていた…

「やったー!また同じクラスだね!!」

後ろから聞き慣れた声がした。

紛れもない。声の主は如月未桜きさらぎみゅうであった。

「同じクラスだねもなにも、3年間一緒でしょ?」

茜祭高校は1年次は適当だが、2年次からクラスがそれぞれ、難関大学志望クラス(理系)(文系)、国公立大学志望クラス(理系)(文系)の4つに別れており、基本的には2,3年次のクラスのメンバーは変わらない。

「えへへ〜、まぁ、そうだけどさー。一緒なのがわかるとやっぱり嬉しいじゃんか〜〜」

「何よそれ〜、変なの〜。まぁ、いいわ。教室まで一緒に行きましょ」

そうやって2階にある自分達の所属することになる2-4へと向かって行った。

「担任矢野ちゃんでしょ〜?あの先生でよかったよね〜」

「そうね〜。隣とか大木らしいしね〜ホントついてたわ〜」

矢野ちゃんこと矢野正義やのまさよし先生はまだ24と若く生徒への理解度も高くて評判のいい先生である。

一方、大木こと大木田漠おおきだばく先生はヘビースモーカーで煙草の匂いが激しいわ話は長いわで非常に評判のよろしくない先生である。

クラスに着くと、既に半分程度の生徒が登校しており、仲良く雑談を繰り広げていた。

「おはよ〜」

「おはよ!」

と、挨拶を一通りしたところで席につく。

後ろの席の人はあまり親交の無い男子だった。

誰だっけなー。とか、考えてたら目が合ってしまった。

「あっ、おはよう。確か…天野色華あまのいろはさんだったよね?」

「あ、うん!よく覚えてたねー。私なんて全然君の名前が出てこないのにさ〜」

「人の名前を覚えるのが得意でね。勝手に覚えちゃうんだ。あ、僕の名前は天内天内優馬あまないゆうま。だよ。1年間よろしくね。」

中性的な顔立ちの彼はそう言って微笑みかけてきた。

「うん、よろしくね〜」

そう答え微笑み返す。

優しい人で良かったな〜

なんて考えてたらチャイムが鳴り、担任の矢野ちゃんが教室に入ってきた。

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