人気高校生バンド───花鳥風月

望月千景

最悪の出会い(2)

(どうしよう。何か挨拶しなきゃ!)

俺が口を開こうとする前に、口を開いた一ノ瀬。

「ちっ、どこ見てんだボケ。お前のせいで遅刻したじゃねぇかよ。」

「⋯⋯⋯ぇ」

今、なんて言った⋯?

俺が黙っていると、一ノ瀬は不機嫌そうに口を開いた。

「聞こえなかったか?
お前のせいで遅刻したと言ったんだ。
俺がわざわざ、どけと言ってやったのにお前がノロマでどかなかったからな。グズが」

俺は再度耳を疑った。
俺の知っている一ノ瀬颯斗とはかけ離れてたからだ。

俺の知っている一ノ瀬颯斗は優しくて、ファン一人一人のことを考えていて、なんでも出来てかっこよくて⋯。

俺の頭が混乱する。

昨日はよく眠れなかった。
もしかしたら俺は疲れているのかもしれない。

そうだ。これは幻聴だ。
憧れの人にやっと会えたから嬉しくて気持ちが高揚して幻聴が聞こえるんだ。
そうだ。そうに違いない。

俺は無理矢理幻聴だと信じ込む。
だが、すぐにまた一ノ瀬の口から俺に対しての罵倒の言葉が聞こえる。

「何さっきからアホ面かましてんだ。
さっさと、一ノ瀬様ごめんなさい。って土下座して謝れよ。」

楽しそうな嘲笑した笑みで俺を見下す一ノ瀬。

⋯ああ、これは幻聴じゃない。
そう思った俺は、一ノ瀬に対して憧れの気持ちが一気に冷める。

一ノ瀬に対して憧れの気持ちがすっかり冷めてしまった俺は反抗して声を荒らげる。

「は?土下座?嫌だね
あんたがぶつかってきたんだからあんたが俺に対して土下座するのが筋なんじゃない?」

「⋯んだと、てめぇ!!」

一ノ瀬が俺を睨む。
すごい眼光だ。
俺は膝が怯みそうになるのをぐっと堪える。

「最近の新入生は生意気だな。
歳上に対する礼儀がなってねぇ。
俺が教えてやるよ。」

そう言って一ノ瀬はゆっくりと俺に近づいてくる。

ゆっくりと近づいてくる一ノ瀬に俺は咄嗟に身構えた。
そんな俺の様子を見て、一ノ瀬はくくくっと笑いながら俺に近づいてくる。

何をされるか予想もつかない俺は、1歩後ずさりじっと一ノ瀬の様子を観察していると⋯

「おい、お前ら。遅刻者だな?
校門を開けてやるから、すぐに職員室に来るように!」

学校の玄関から俺たち2人に叫ぶ声が聞こえたので俺は振り返ってみる。

体育教師だろうか。
ジャージ姿のガタイのいい男が立っていた。

一ノ瀬は、その男の姿を見るなりまた不機嫌そうな顔になった。

「ちっ、面倒くさい。⋯お前のせいだからな。」

一ノ瀬が口を開くのと同時に校門が音を立てて開いた。

俺は一ノ瀬の言葉を無視して背を向け、玄関に向かおうとすると、一ノ瀬に思いっきり足を踏まれた。

「痛っ!!」

俺は踏まれた足を擦りながら、思いっきり一ノ瀬を睨んだ。

しかし一ノ瀬は、怯むどころか俺の方を見てまたくくくっと笑いながら玄関へと入っていった。

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