センエース~経験値12000倍のチートを持つ俺が200億年修行した結果~(コミカライズ版の続きはBOOTHにて販売予定)
58話 腐れ外道のオンパレード。
58話 腐れ外道のオンパレード。
「わかったな、カザミ。……おっと、もうこんな時間か。まだまだ言い足りないが、今日のところはこの辺にしておいてやる。これから、ラベンチャ議員の護衛任務があるんでなぁ。あの人、普段、テロリストは許さないとか、偉そうなことを言っているくせに、殺人鬼は怖いらしい。おかしな話だよな。ま、こっちは金さえ払ってくれればなんでもいいんだが」
などと言い捨ててから、ウィーノは、この場から去っていった。
その背中を見つめながら、紙野は、
「ラベンチャって、どういう議員だ?」
そう尋ねると、カザミが、
「表向きには耳障りのいい事ばかり言っているが、裏では汚職の天才とまで言われている腐れ外道だな」
そうつぶやいたのを聞いて、紙野は、
『自分の声がジェイズの面々以外に届かないようになる魔法』を使った上で、
「そんな腐れ議員の犬をやっているカスに品格の話をされるとは……質のいいジョークだな。……しっかし、この国の議員、腐れ外道が多すぎないか? これまでに、俺、数十人単位で上級国民を殺してきたが、全員、人格破綻者だったぞ」
その発言に対して、カザミが、平坦な声で、
「なんでも許される地位にいるから、壊れるんじゃね? 知らんけど」
どうでもよさそうにそう言った。
カザミは、上級国民の非人道的な行動に対して、特に何も思っていない。
そんなカザミとは対照的――とまでは言わないが、
マイの方は、普通に不快感をあらわにしながら、
「腐っているのが、一人か二人なら、その特定のカスだけ排除して、まともな国家にしようと努力するかもしれませんが、上に立つ者が、ほぼ全員腐っているので、もう、誰もどうしようもない――だから、みんな、わかっているけど、諦めている。そういう状況ですね」
マイは『極めて一般的な感性』の持ち主なので、
外道の鬼畜行為に対して、ちゃんと不快感を抱くが、
『自分が何をしたところで、何も変わらない』という事も理解しているので、
特に何か行動を起こすことはない。
――と、そこで、
イチジョーが戻ってきて、
「だいたいの情報は集まったけど……これから、どうする?」
紙野にそう尋ねた。
「……」
紙野は、数秒だけ考えてから、
「とりあえず、まずは、ラベンチャってやつがどこにいるか教えてくれる?」
「? なぜ、ラベンチャ議員限定なんだ?」
「ちょっと、色々あってね」
「……よく分からないが……まあいい」
そうつぶやくと、イチジョーは、紙野の命令に従い、
ラベンチャの住所を伝える。
「オーケー。じゃあ、お前らはお前らで、テキトーに、殺(や)れそうな上級国民を殺してきてくれ。バレないように、気をつけて。あと、ちゃんと拷問しろよ。とことん絶望させてから殺してくるんだ」
★
ラベンチャの屋敷は、金でシッカリと磨かれていた。
自己顕示欲と、承認欲求を具現化させたような下品な家。
闇夜に紛れ、屋敷に潜入した紙野は、
サクっと、ラベンチャの居場所を特定。
ラベンチャは、腹の出ているスキンヘッドのオッサンだった。
50代ぐらいで、老いが見え始めているが、まだまだ精力は旺盛といった顔つき。
身に着けているものは高級品ばかりだが、センスが悪すぎて下品さしか感じない。
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