センエース~経験値12000倍のチートを持つ俺が200億年修行した結果~(コミカライズ版の続きはBOOTHにて販売予定)

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14話 かませ犬とは思えない、無駄に洗練されたチンピラ集団。

 
 14話 かませ犬とは思えない、無駄に洗練されたチンピラ集団。

 チンピラに絡まれた紙野は、冷静に、

「トコ、あいつらの存在値は?」

「……どいつもこいつも200以上。なかなか強い」

「200以上が全部で6人かぁ……か、勝てる?」

「楽勝」

 そう言いながら、トコは、『毒系』の魔法で、
 目の前にいる6人を殺そうとした――が、

「?!」

 魔法が発動しない。
 『龍毒』の魔法を使えば、脳筋6人ぐらい、楽勝で殲滅できる――そう思っていたのだが、

「――脳震掌(のうしんしょう)――」

 チンピラの一人が、グリムアーツを使って、ダメージを与えることなく、トコの脳を揺らした。
 顎先のピンポイントに掌底をかすらせることで脳震盪を起こす繊細な技。

 意識はギリギリ残っているのだが、体が動かなくなるトコ。

 トコの動きが止まったのを確認すると同時、
 『チンピラその2』が、トコの体を『頑丈なナワ』で簀巻(すま)きにする。

 『チンピラその3』は、トコを傷つけないよう、ソっとかつぎあげる。

 『チンピラその4・5』は、
 紙野に睨みをきかせて牽制。

 パーフェクトな連携。
 完全に拘束されたトコと、何もできない紙野。

 そんな二人に、
 チンピラリーダーが、

「メスガキ……存在値で言えば、お前の方が上だ。まともに殺し合えば、やられるのは俺たちの方だろう」

 そう言いながら、『簀巻きにされて担がれているトコ』に近づいて、

「だったら、まともにやりあうわけがないだろう? 『自分の力を過信している、そこそこの強さをもっているハンパな強者』は、ただの雑魚よりも扱いやすい……いや、それは、さすがにいいすぎかな。さすがに、ただの雑魚より、ハンパな強者の方が鬱陶しいな。ま、どうでもいいが。くく」

 鼻で笑って小バカにしつつ、
 ズボンのポケットの中から、
 『魔石』を取り出して、

「近くにいる『存在値400以下の者』が使う魔法を無力化するアイテムだ。敵味方関係なく発動してしまうから、万能の壊れアイテムってほどでもないし、魔王や勇者のような、本物の強者相手には使えないが……俺達みたいな脳筋集団が、『そこそこの魔法使い』を相手に使う分には破格の性能を誇る」

 そう言いながら、チンピラリーダーは、
 まるで、骨董品の鑑定士のように、
 トコの顔をじっくりと観察してから、

「いやぁ、しかし、素晴らしく出来がいいロリだ……俺は本当に運がいい。これだけの上玉なら、どれだけ高値でふっかけても、ホアノスなら必ず買う。取引相手に恵まれ、賞品にも恵まれる……非常に素晴らしい」

 そんな、チンピラリーダーの言葉を聞きながら、
 トコは、心の中で、

(最悪……)

 渋い顔をしつつ、舌を打つ。

(……まあいいか。『切り札』ならある。最強で無敵で、誰も絶対に対応できない、究極の切り札。どこかで、拘束が溶ける瞬間は必ずくるから、その時、クズどもを、まとめて消してやる)

 トコは、身内に対しては『口が悪いが優しい』という性質を持つ女の子だが、
 『敵』に対しては容赦がないという側面も持つ超一級のハードファイター。

 ちなみに、トコが心の中で思ったことに間違いはなく、トコの切り札は、事実、次元が違う。

 ランク333の魔カード。
 この魔カード、『トコの存在値』と数字が近いので、
 混同・誤解を招いてしまうかもしれないが、
 『魔法のランク』と『存在値』では、数字の扱い方が全然違う。

 『存在値1000』の化け物でも、
 使える魔法のランクは『25』ぐらいが精々。

 つまり、トコがもっている切り札は、
 『存在値1000級の魔法』の『10倍』以上の数値を持つチートということ。



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