センエース~経験値12000倍のチートを持つ俺が200億年修行した結果~(コミカライズ版の続きはBOOTHにて販売予定)

閃幽零×祝@自作したセンエースの漫画版(12話以降)をBOOTHで販売中

9898話 かませ犬以上でも、かませ犬以下でもない。


 9898話 かませ犬以上でも、かませ犬以下でもない。

「……は、ははは……ゴミがぁ……」

 吐き捨てた直後、バーチャは、疾走する。

 問答無用の殺戮を開始しようと、『ショデヒ(クロート)』に襲い掛かる。
 豪速の特攻。素のショデヒでは全く対処できないスピード。しかし、クロートの制御下にある今、バーチャの速度は、『そこそこ』の領域にとどまる。

「バーチャ……貴様は、才能があって、メンタルが強く、勤勉で、努力家だが……」

 『ショデヒ(クロート)』は、半笑いで、

「強者と磨き合った『回数』が、さすがに少なすぎる」

 サクっと、カウンターを決め込んでいく。
 鼻をつぶされたバーチャは、一瞬、視界がブラックアウト。
 しかし、すぐに、精神力で、持ちなおすと、ほとんど反射の勢いで、『ショデヒ(クロート)』に殴り掛かる。

 その強烈な連打をヌルヌルと回避しながら、
 『ショデヒ(クロート)』は、

「……貴様は、環境が悪すぎた。私の周りには、私と同等かそれ以上の化け物がうじゃうじゃいた。そして、上を見れば、尊き神が、いつだって、私を導いてくれた」

「凛打ぁあああ! 凛王打ぁあああ!」

 バーチャは、『ショデヒ(クロート)』の話など聞いてはいない。
 必死になって、どうにか、突破口を見つけ出そうとあがいている。
 ジャブに超必をかぶせる勢いの鬼連打。

 しかし、届かない。
 『ショデヒ(クロート)』とバーチャの間には、戦闘力の差がありすぎた。

「――零閃拳――」

 『ショデヒ(クロート)』の一撃は、練度がまったく足りていない拳。
 けれど、相手がバーチャなら十分だった。





「うぶおごぇえええっっっ!!!!!」





 大量の吐血。
 当然のように気絶。
 引くほどアッサリとした結末!
 サクっと一撃で意識をもっていかれたバーチャ。
 実に見事な『かませ犬』っぷり!
 かませ犬以上でも、かませ犬以下でもない男!
 それが、バーチャ・ルカーノ・ロッキィ!


「……さて……それじゃあ、本番と行こうか……」


 そうつぶやいてから、
 『ショデヒ(クロート)』は、
 『本命』の元へと歩みを進める。


 ★


 バーチャが突破されたことは、
 Tも理解できていた。

 あれだけ強大な反応に気づかない方がおかしい。
 Tは、すぐさま、『ショデヒ(クロート)』に対抗するための準備をはじめた。
 ――いや、『すでに終えている準備』を『整えた』と言った方が正しい。

 『いずれは、【ヌル(真・神帝)】の刺客がくる』
 ……と確信していたから、最初から準備だけはしておいた。

 ただ、こんなにも早いとは思っていなかった。
 Tは、

(……できれば、『エルメスだけで対処したい』んやけど……難しいかもしれんなぁ……せめて、ザラキエリは温存したいんやけど……)

 心の中で、つぶやきつつ、
 周囲をチラ見するT。
 今、彼の周囲には、聖龍王国の上位勢がそろっている。

 実のところ、彼・彼女らが、Tの切り札。
 『ヌル(真・神帝)』の刺客が来た時のために用意しておいた対抗策。

(……きたな……)

 そう感知したと同時、
 『ショデヒ(クロート)』が、Tの目の前に瞬間移動してきた。

 眼前の『ショデヒ(クロート)』を冷静に見つめながら、
 Tは、心底から鬱陶しそうな表情を浮かべ、

「……『ヌル(真・神帝)』の刺客やな。……驚いたで。時期的には、まだ、介入できんはずなんやけど……」

 そう問いかけると、
 『ショデヒ(クロート)』は、

「お前の知らないところで、革命が起きたんだよ。蝉原勇吾が究極超神化8のカケラを回収した。――蝉原……性根は腐っているが、さすがの仕事ぶり。禁止魔カードを使ったとしても、『極めて短い時間』しか、この世界に顕現できなかったというのに、見事、完璧に仕事をはたしてみせた。ちなみに言っておくと、この暴露のアリア・ギアスも前借りした上での強引な介入。つまりは、かなり『ギリギリ』だったということ」

コメント

コメントを書く

「ファンタジー」の人気作品

書籍化作品