センエース~経験値12000倍のチートを持つ俺が200億年修行した結果~(コミカライズ版の続きはBOOTHにて販売予定)

閃幽零×祝@自作したセンエースの漫画版(12話以降)をBOOTHで販売中

9896話 神では超神には勝てない。


 9896話 神では超神には勝てない。

「オッケー、タナカッチ! 全部まかせますから、出来る限り、どうにかしてください!」

 ショデヒの『丸投げオートモード』を前にしたバーチャは、
 ニタリと欲にまみれた笑みを浮かべ、

「――素晴らしいぞ、ショデヒ。存在値10億ぐらいまでなら、今の貴様でも対応できそうじゃないか」

 軽やかに舞いながら、ショデヒの底を吟味していく。

 言うまでもない当然の話だが、
 今のショデヒは、どれだけの神器に頼っても、
 さすがに、超神バーチャを倒すことはできなかった。
 倒すどころか、一撃かますことも難しい。

 いいようにあしらわれておしまい。
 いくら、タナカッチが破格の性能を有していたとしても、
 それを操る者の器が小さすぎたら話にならない。

「その狂ったような神器があれば……」

 バーチャは未来を夢見る。
 最初に見た夢は、ティー・ヒャクヨンをボコボコにする未来。
 とりあえず、あの野郎は顔面を砕かないと気がすまない。

 それを終えたら、次は、センエース。
 必ずブチ殺す。
 あのカスだけは絶対に許さない。

 倒すべき二柱の神を想いつつ、
 バーチャは、

「さて、それでは、『私の神器』を返してもらおうか」

 すでに、バーチャの中だと、『タナカッチ』は完全に自分のものなので、
 奪い取るという認識から、取り戻すという認識にシフトしていた。

 このあたりの、徹底した自己中心ぶりが、
 バーチャ・ルカーノ・ロッキィの強みの一つでもある。
 いつだって、世界は、自分を中心にまわっている。
 素晴らしい思考力。
 その根底がある限り、バーチャが、本当の意味で折れることはない。

「はぁ……はぁ……」

 息を切らしているショデヒは、

「……これが超神……神を超えた神……『ただの神』のままでは……永遠に届かない……」

 真理を理解する。
 神では超神に勝てない。

 その明確な事実を把握したショデヒに対し、
 バーチャは、突貫を決め込んだ。

 問答無用の突撃で、ショデヒの右腕を刈り取ろうとした。
 言うまでもないが、欲しいのは、ショデヒの腕ではなく、
 圧倒的な性能を誇る神器――タナカッチ。

 『腕時計を奪い取るために腕ごと刈り取る』という選択を、迷いなく取るところがバーチャらしい。

 サクっと奪い取った――と、バーチャは思った。
 今の自分ならば、ショデヒに回避は許さない。

 確実に腕を奪い取ったと思った……のだが、しかし、現実は、違った。

「っっっ???!!」

 バーチャは驚愕する。
 ショデヒが、完璧なアクロバットで、バーチャの攻撃からスルリと逃げのびてみせたから。
 こんなもの、ショデヒに可能な動きではない。

「うっ!!」

 ショデヒの完璧な緊急回避――それだけでも驚愕ものなのだが、
 ショデヒは、そのままの流れで、まさかの反撃に転じてきた。

 それも、すさまじい鋭さの、指2本による刺突で、
 バーチャの左眼球を的確に狙ってきたのだ。
 これだって、ショデヒに可能なムーブではない。
 ショデヒの戦闘力で、これは流石に無理。

 ――驚愕のあまり、反応が一瞬遅れたものの、
 なんとか、ギリギリのところで、回避することに成功。
 数値差が大きく開いていなければ、確実に眼球をつぶされていた。

「っ……ぐっ!」

 ギリっと奥歯をかみしめて、ショデヒをにらみつける。
 すると、ショデヒは、スキのない構えで、次のムーブに備えていた。

(……な、なんだ? 雰囲気が変わった……明らかに、ショデヒの波動ではない……ショデヒごときに、それだけの圧力は出せない……この凶悪な戦闘力……絶対にショデヒのものではない……)

 バーチャは、『異常事態に困惑するだけの無能』で終わらない。
 すぐさま、脳をフル回転させて、現状を構成できる可能性を模索する。


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