センエース~経験値12000倍のチートを持つ俺が200億年修行した結果~(コミカライズ版の続きはBOOTHにて販売予定)

閃幽零×祝@自作したセンエースの漫画版(12話以降)をBOOTHで販売中

9894話 それ、ほしい。


 9894話 それ、ほしい。

 バーチャの視点での現状を、ムリにたとえるならば、
 ファ〇コンしか知らない人間が、プレイステー〇ョン5の性能を見せつけられたようなもの。

 ありえない演算処理能力を魅せつけられて普通に困惑。

「どこで手に入れたぁ! 教えろぉお! そして、よこせぇ!」

 『それさえあれば、自分はもっと輝ける』と理解したバーチャは、
 脳を沸騰させて、ショデヒに突撃。

 まるで、『ぶっこわれ人権キャラが追加された新ガチャ』を前にした『廃課金者』のような勢い。

 上位者であればあるほど『高性能なCPU』は、喉から手が出るほどほしいもの。

「凛帝打ぁあああ!」

 最強の一撃で、ショデヒを爆散させようとしたバーチャ。
 ――殺してでも奪い取る。
 そのスタイルを地で行く悪神の鏡!

 そんな、バーチャの最強の一手に、
 ショデヒの体は自動で反応する。

 驚くほどたやすく、
 ショデヒは、バーチャの凛帝打を受け流した。

 それを見て、バーチャの顔は、驚愕と憤怒で一杯になる。

 そんな彼に、ショデヒは、
 一度、ふぅと、深く深呼吸をはさんでから、
 少しだけ冷静な態度で、

「……あなたの一撃、私の目には全然見えていませんでしたが、タナカッチからすれば、大したことないものらしいですよ。悲しい話ですね、お互いに」

 そう言い捨ててから、
 両の拳を握りしめて、

「殴り合いは苦手ですが……タナカッチは、殴り合いも別に苦手ではない様子。となれば、あとは、全部お任せした方がよさそうですね」

 そう言い捨ててから、ショデヒは、姿勢を低くして、グンっと伸びのある動きで、バーチャとの距離をつめた。

 ゴリゴリのインファイト。
 互いの拳が届く距離をキープして、
 ショデヒは、魔力とオーラを込めた拳を、
 テンポよく、ボクシングのペースで、バーチャの腹部や顔面に叩き込んでいく。

「貴様のような『後衛トリッキー型』ふぜいが、『神界最強の前衛速攻』である私にインファイトを挑むなど!!」

 その憤怒が、バーチャを、ショデヒと同じ土俵に立たせる。
 ここで、『違う角度からの奇襲』など出来ない。
 それは、根底にあるプライドの問題。
 その気になれば、プライドをかなぐり捨てることもできるバーチャだが、それだって、時と場合による。

 ショデヒにインファイトを挑まれて、丁寧にいなすことなど、さすがに出来ない。
 それをしてしまえば、自分自身の武の否定になってしまう。

 だから、バーチャは、ショデヒと真っ向から殴り合った。
 相手を殺すことが目的の一手など皆無。
 ただ、ただ、どちらが上かを誇示しあうだけの殴り合い。

 命のやりとりの場で、命のやりとりを忘れる。
 『闘い』という本能に没頭する。
 どっちが『強いか』を、暴力的なほど純粋に求め合う。

 ――その果てに、


「残念ながら、私の判定勝ちでしょうね」


 数分をかけた殴り合の後に、
 無傷のショデヒが、息を切らしているバーチャに、そう言い放った。

 ギリっと、バーチャは奥歯をかみしめる。
 バーチャは現実を認めないバカではない。

 だから、ショデヒの言葉を感情だけで否定することはできない。

 認めざるをえない。
 バーチャは、後衛相手に、前衛の勝負を挑まれて判定負けした。
 これは、真正面の屈辱。
 度し難い恥。

「センエース~経験値12000倍のチートを持つ俺が200億年修行した結果~(コミカライズ版の続きはBOOTHにて販売予定)」を読んでいる人はこの作品も読んでいます

「ファンタジー」の人気作品

コメント

コメントを書く