センエース~経験値12000倍のチートを持つ俺が200億年修行した結果~(コミカライズ版の続きはBOOTHにて販売予定)
9883話 救えないブタ。
9883話 救えないブタ。
(……まずいな……私のセブンスアイでも何も見えない……『とんでもない練度のフェイクオーラ』というだけだったら、さほど問題ではないが……もし、バーチャや聖主級の化け物……となると……逃げた方がいいが、もし、そのレベルだった場合、実際のところ、逃げることも難しいレベル……さて、どうしたものか……)
前者なら殺して終わり。
だが、後者なら詰んでいる。
(相手の出方次第だな……友好的にくるのであれば、それなりの態度で――)
と、未来を演算していると、
そこで、ホアノスが、
「私のセブンスアイをごまかすとは、なかなかのフェイクオーラだ。たまにいるんだよ、貴様のような、擬態だけ得意なバカが」
と、『ガチの強者である可能性』をシカトした対応をしはじめた。
そんなホアノスに、『バカを見る目』を向けるショデヒ。
止めようかどうか悩んだ――その間をぬうようにして、
ホアノスは、さらに続ける。
「多少マシな力をもっている可能性は捨てきれんが……しかし、私の相手ができるとは思えんな。なんせ、私は、この世界で最高位の力を持ち、近い将来、国の頂点に立つ男なのだから」
外国の人間に自分を大きく見せること――それも、政治家の役割の一つ。
だから、ホアノスの行動は、政治家としては、そこまで間違っていない。
――ただ、『業火の燕尾服を纏う彼』相手には悪手と言わざるをえない。
『彼』は、ホアノスの言葉に対し、
「くはは……」
アホを見下す目で冷笑してから、
「そっちの魔人は、まだまともな知性がありそうだが、こっちのブタは酷いな」
そんな彼の言葉に、
ホアノスは、一瞬で激昂した。
ホアノスは、感情のコントロールが下手な部分がある。
それを自分でも自覚しており、むしろ、その感情の暴発を巧みに利用して、ここまでのし上がってきた、という異例な経歴を持つ。
『感情の暴走』は、『荒れ球』みたいなもの。
コントロールのきかない豪速球は打者に恐怖をあたえ、踏み込み足をにぶらせる。
いわば『威嚇』。
相手の踏み込み足をにぶらせて、攻撃力を低下させる。
「貴様ぁあ! 今、私を愚弄したなぁ!」
感情を暴走させる。
冷静な状態の時では不可能な大声を出す。
ある種、リミッターを外す行為。
アドレナリンを爆発させて、実質的なパワーを底上げさせる。
その勢いのまま、ホアノスは、飛び出した。
彼を殺すために。
暴力にとって、激情は良いスパイス。
少し踏み込んだ話をすると、
ホアノスは、『顔のいい男』が嫌いだ。
『有能な男』も嫌いだ。
彼が好きなのは『自由にできる女』だけ。
極めて人間的な、本能に忠実な男。
それが、ホアノスという男。
ホアノスは、暴走に身を任せて、
オーラと魔力を注ぎ込んだ拳を、
『イケメン』の顔面に叩き込む。
二度と、イケメンという評価をもらえないよう、
グチャグチャにするつもりで、ホアノスは、彼に拳を押し付けた。
――けれど、
「一般人の中だと、そこそこ高い存在値を持ち、激昂で存在値を上げるスペシャルを持つ、か……感情によりバフがかかるスペシャルなど、さほどレアでもないし、上昇率もゴミ……魔力とオーラの練度もゴミ……精神の邪悪さだけは、そこそこ上質で、犬として使うのも悪くはないレベルだが……『ミシャンドラ』に対する害意を、『私』が放置するわけにはいかないのでね」
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