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9878話 腹をさぐりあう蛇二匹。


 9878話 腹をさぐりあう蛇二匹。

「……領土の割譲に応じていただけるのであれば、ホアノス議員に対して優先的に魔カードをお譲りするという条件だけではなく、ホアノス議員が、国家主席になれるよう、バックアップすることもお約束させていただきます」

「……私個人と同盟をくむと?」

「はい。聖龍王国は、トーン共和国とではなく、あなた個人と同盟を結びたいと考えております」

「なぜ、そこまで、私を評価する?」

(理由は単純。貴様が一番欲深いバカだから……多少、頭はまわるようだが、『先の先』までは見えていない。せいぜい、5手か10手ほどの読みが精々。その程度では、話にならない時代になってきたのだ。……貴様には、是が非でも、トーンを瓦解させるためのトリガーになってもらう)

 心の中で、黒いことをつぶやきつつも、
 表だと、ショデヒは、ニコニコしながら、

「あなたが、カバノン国家主席よりも、はるかに優秀だと、私は確信しているからです。あなたは、私が出会ってきた人間の中で、もっとも優秀。少なくとも、カバノン国家主席よりも上です。カバノン国家主席は、選挙でうまく立ち回っただけの小物。トーン共和国において、真に上に立つべき傑物は、あなたを置いて他におりません」

「……よくわかっているじゃないか」

 などと、『おべっかを素直に受け取るバカ』を演じつつ、
 心の中では、

(……私の方が、カバノンよりも扱いやすいと見たか? いや……さすがに、そこまで低く見られてはいないだろう。カバノンは警戒心が強い。単純に、あいつとは交渉ができないとみて、馴染みのある私をたてようとしている……そんなところか)

 『蛇』の特徴の一つに、『褒め言葉を正しく受け取らない』というのがある。
 自分が、他者を、本気で褒めたことがないため、
 他人も、『誰かを本気で褒めることなどないだろう』と考える。

 ――腹芸をする上では、とても堅牢なスキルと言えるが、
 しかし、その生き方は、存外、息苦しい。
 だが、その生き方をやめることはできない。
 それが、蛇の業。
 かなしい性(さが)。

 ショデヒは、続けて、

「あなたがトーンの王になるべきであると、私は切に思います。あなたが王になるためのサポートはおまかせください。全力で、あと押しさせていただきます」

「今は、カバノンに任せているが、いずれ、私は自力でもトップに立つ。聖龍王国のサポートを必要とするほど切羽詰まってはいない。今回、ミルス王国の件で、カバノンは、一つ、大きな失態を犯しているしな……」

 愚かしくも『壊れたヘルズ覇鬼』を召喚して、ミルスの王子であるレバーデインを殺しかけたという失態。
 大事には至らなかったが、国際交流の場での失態は、国家主席としての株に大きくかかわる。

 勇者の助力もあり、どうにか、丸く収めたため、
 『暴落した』とまではいわないが、
 しかし、明確な攻撃材料にはなる。

 カバノンは、絶対的な権力を持つトップではない。
 いくらでも、引きずり下ろす方法はある。

「ミルス王国の件で、カバノン国家主席は、確かに、マイナスの評価を受けましたが……しかし、結局のところは大事に至らなかったということで、逆に、『高評価』をつける者もいますよ」


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