センエース~経験値12000倍のチートを持つ俺が200億年修行した結果~(コミカライズ版の続きはBOOTHにて販売予定)

閃幽零×祝@自作したセンエースの漫画版(12話以降)をBOOTHで販売中

9872話 世界一のサイコスター。


 9872話 世界一のサイコスター。

「1000億年頑張って……それでも……ダメだった……それでも……当たり前のように……」

 奥歯を食いしばって、
 ぶっ壊れそうな命を背負い直して、

「1001億年目をめざしてあがく……この覚悟だけは……1000兆年になろうが……1000不可思議年になろうが変わらねぇ……」

 センエースの覚悟を前にして、
 『ラスボス』は、さすがに顔を青くする。
 この時点では、まだまだ、『ラスボス』の方がはるかに強い。
 なのに、
 『ラスボス』は震えた。
 恐怖で頭がおかしくなりそうになる。


 ――センエースは、叫ぶ。


「……俺より強いと言う程度でイキっているようなゴミがぁ! 俺に勝てると思うなぁあああ! お前程度のハンパなサイコパスが、世界一のサイコスターである俺に勝てる道理なんざねぇんだよぉお!」


 獣の咆哮。
 人としてのの理性が残っているのか疑わしくなる目だった。
 長い長い旅の中で、多くを積み重ねてきたが、
 積み重ねてきた分だけ失ったものもある。
 こぼれおちたもの、壊れてしまったもの、狂ってしまったもの。

 その全てを、今一度、あらためて、かきあつめて、
 そして、





「――ヒーロー見参!!!」





 伊達じゃない覚悟を叫ぶ。
 何度でも、何度でも、何度でも、決死の想いを叫び続ける。

 数えきれないほど『それでも!』と、
 世界に対する反逆の意志を示し続ける

 『すべての命』が『救済の祈り』をささげる『最後の砦』としての役割を全うしようと――
 ――いや、ぶっちゃけた話、そんな高尚な意図は、さほどない。
 もちろん、責任感が強い男なので、ゼロではないが、
 彼にとって、本当に大事なことはそこじゃない。

 もっと、もっと、根源的なもの。
 強さに対する貪欲さ、その狂気――
 ――いや、それだって、表面的な話に過ぎない。

 複雑で奇怪な感情論。
 単一の想いだけで生きている者など存在しない。
 バラバラの『ぐちゃぐちゃになった心』を雑にかき集めて、
 バカみたいに、無様に、マヌケに、必死になって叫び続けるだけ。

 ――そうすることで、少しだけ楽になれるから。
 そんだけ。



 ――センエースは、アイテムボックスから、
 秘密の部屋で手に入れた『チートアイテム』を取り出して、天に掲げる。

 一瞬だけ、逡巡。
 このまま殺された方が楽なんじゃね?
 と、自分の中の弱い部分がささやく。

 ――そんな、ほんのわずかに芽生えた『己の弱さ』に対して、センは、

「俺が死んだら全部消える。それはイヤだ。だから、死んでろ、俺の弱さ。お前はいらねぇ。真の最強になった俺が、最悪に最強の敵をぶっ倒してトゥルーエンド! それ以外の結末は全部ゴミぃいい!」

 ワガママを叫んでブチ殺す。
 根性と貪欲さだけで『葛藤』すら殺す。

 そうやって、これまで生きてきた。
 だから、これからも、そうやって生きていく。

「むちゃくちゃ苦しい! 正直かんべんしてほしい! もういやだ! けど! それでも! それでもぉおおおおお!」

 幾億の『それでも』を積み重ねて、
 そして、


「――俺はまだ、頑張れるぅうう!!!」


 叫びに呼応して、天に掲げられた『銀の鍵』がまたたく。
 無慈悲に、厳酷に、残忍に、非道に、
 けれど、少しだけ、暖かく、
 センエースを、
 『セーブポイント』へと連れ戻す。

 『銀の鍵』は、記憶と経験を維持したまま、
 既定の日まで時間を戻してくれる超便利アイテムだが、
 『EX-GODレベル』は維持してくれない。
 ――せっかく、『500兆』まで上げたEX-GODレベルが、
 また『1』まで戻ってしまう。

 けれど、別にいい。
 また、すぐに上げてやる。
 『EX-GODレベルを500兆まで上げた経験』はなくならない。

 何度も、何度も、何度も、何度も、何度も、何度も、
 『1に戻ったEX-GODレベルを爆速で上げまくってきた経験』は、
 センエースの器に、シッカリと刻み込まれている。

 だから舞える。
 前よりももっと優雅に美しく。

 『またラスボスと再戦するまでに、より速く、より強く、鍛え上げてやる』――と、
 強く意気込んで、
 センエースは、またレベル上げの作業へと入る。


コメント

コメントを書く

「ファンタジー」の人気作品

書籍化作品