センエース~経験値12000倍のチートを持つ俺が200億年修行した結果~(コミカライズ版の続きはBOOTHにて販売予定)

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25話 『天照坐皇大御鏡(あまてらしますすめおおかがみ)』。


 25話 『天照坐皇大御鏡(あまてらしますすめおおかがみ)』。


 ――『天照坐皇大御鏡(あまてらしますすめおおかがみ)』。

 それは、まるで、朧月夜の散歩のように、
 泡沫(うたかた)を慈(いつく)しみながら、雅な憂いをもてなしている。



「……究極……」



 ザンクは、



「……超神化……」



 自分の中に目覚めた何かを抱きしめて、
 かみしめるように、



「――『8』――」



 果て無き世界の向こう側。
 指一本分だけ届いた世界。
 ここは、まだ山のふもと。

 ザンクの全身が、黒銀の結晶に包まれる。
 『7』よりも深いコントラストが、
 ザンクの命を礼賛(らいさん)している。

 ザンクは、ボソっと、

「……これを、究極超神化8と呼ぶのは、はなはだ、おこがましいレベルの……簡易版の簡易版やな……」

 自分の状態を冷静に分析しながら、
 続けて、ボソボソと、

「――『8』は、今のザンクさんでは、到底、扱いきれん世界……」

 真摯に、謙虚に、ザンクは、『今』と向き合う。

 全部を理解した上で、
 その上で、
 ザンクは、



「……ヒーロー見参……」



 とびっきりの覚悟を口にした。
 それは、決して、安っぽいモノマネなんかじゃない。
 『本気で背負う』と決意した者の、世界に対する宣戦布告。

 ザンクは、目線に力を込めて、
 蝉原を強くにらみつける。


「俺は、閃光を纏う冒涜――その強大な器に寄生する金糸雀(かなりあ)。『この上なく尊き女神』に焦がれた、正当なる銀河の支配者、田中・イス・斬九」


 うすら寒い自虐をこめつつも、しかし、堂々と、
 ザンクは、まっすぐに、名乗りをあげる。

 その宣言を受けて、蝉原も、覚悟を決めたようで、

「……やれやれ」

 一度、『間を繋ぐだけ』の『空っぽな感動詞』を口にしてから、
 真摯な目で、ザンクを見据えて、

「俺は、閃光を纏う冒涜――その強大な器に寄生する天魔。『この上なく尊き神の王』を煩わせた時計仕掛けのオレンジ、蝉原勇吾」

 しっかりと、名乗りをあげた。

 己が何者であるかを名乗り合った両者。

 数秒の沈黙が流れた。
 互いに、互いを探り合う。
 オーラがピリピリと空気に触れてざわめく。

 ――蝉原は、

「……『プラス・プライマル・プラチナスペシャル』に……『究極超神化8』か……君にそれだけの器があったとは、本当に驚きだよ」

「ザンクさんの力ちゃうけどなぁ。99%は、テラスの可能性。ザンクさんは、テラスを開花させる手助けの一端を担ったにすぎん」

「謙虚だねぇ」

「ただの事実や。慎(つつ)ましやかに控えとるわけやない」

 特に意味のない言葉が揺れて、
 互いの間にある空気がわずかに緊張した。

 張り詰めた糸に、ピンッと静かな響きが伝わっていく。



 ――両者、一斉に動いた。



 極悪な存在値と、異次元の戦闘力。

 両者とも、『命の向こう側』をブン回しながら、
 お互いを殺そうと躍起になる。

 殺戮に没頭する二人の時間が、涼やかに流れる。
 気づけば、血だらけ、傷だらけになっている両者。

 お互いの一撃が、あまりにも重たすぎて、
 コスモゾーンの法則が、一々、介入せざるをえない。


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