センエース~経験値12000倍のチートを持つ俺が200億年修行した結果~(コミカライズ版の続きはBOOTHにて販売予定)

閃幽零×祝@自作したセンエースの漫画版(12話以降)をBOOTHで販売中

24話 プラス。


 24話 プラス。

 すべてを受け止めたザンクは、
 自分の中に芽生えた新たなる可能性を使って、
 もっと、もっと、高く飛ぶために頭を回転させる。

「……アホほど開いていく……センテラス……お前の可能性は、ほんまにエグいな」

 実際のところ、『ザンク自身の資質』は、そこまで高くない。
 けれど、『器』としての適性は非常に高かった。

 ザンクの中で、センテラスが加速していく。

「お前ほどの女に認めてもらえた……だから、ザンクさんは前に進める」

 純粋な話だった。
 『トウシと同等』と言ってもらえたことが、ただただ、うれしかった。
 『もともと膨らんでいた感情』に水をもらった。
 だから、急成長して暴走した。

 ――もはや、言うまでもなく、ザンクは、トウシに対して、ずっと、劣等感を感じていた。
 劣等感だけではなく、悔恨や屈辱など、あまたのマイナス感情に包まれてきた。
 自分と同じ頭脳労働系の天才でありながら、自分を置き去りにしていく超天才に対して、『なぜ俺ではなくお前なんだ』と、どうしようもない嫉妬を抱き続けた。
 そんな複雑な感情を、ギリギリのところで受け流しながら、今日までずっと、つたない道化を演じつつ、惨めに生きてきた。

 『気にしていませんよ感』を演出しながら『クソダセェ嘘』で自分を守りながら――けれど、『本音』の部分では、いつだって、『トウシより下であること』に――『ナンバー2以下で在り続けること』に、強い劣等感をいだいて生きてきた。


 ――テラスは、その劣等感を殺してくれた。


 『トウシに対する劣等感』は、きっと、今後も、ことあるごとに、まるでゾンビのようによみがえっては、ザンクを苦しめるのだろうけれど……けれど、『それでもいい』と思えるぐらい、ザンクの中で、テラスの言葉が『支え』になった。

 絶対的な精神的支柱。
 それがあれば、決して折れることはない、
 そう確信できる、甘くて強い錯覚。

「これは、もはや『依存』の領域……おそらく、今後、ザンクさんは、センテラスがおらんと生きていけんのやろう……けど、『その方がええ』と、心が叫んどる……気持ちの悪いスイーツ脳……けれど、だからこそ、ザンクさんは先に行ける」

 ザンクの可能性が、
 テラスの可能性をこじ開けていく。

 これで限界だと思っていた壁を、悠々と超えていく。


「……『プラス』……プライマル……」


 こみあげてくる全てを、
 ザンクは叫ぶ。


「――プラチナァァアアアアアアアアアアア! スペシャルゥウウウウウウウウウウウウウウ!!」


 輝いていく。
 プライマル・プラチナスペシャルの向こう側。

 ザンクがたどり着いた世界。
 プラス・プライマル・プラチナスペシャル。


 ――『天照坐皇大御鏡(あまてらしますすめおおかがみ)』。


 それは、まるで、『朧月夜の散歩』のように、
 泡沫(うたかた)を慈(いつく)しみながら、
 雅(みやび)な憂(うれ)いを、清涼にもてなしている。

 月光が薄い雲を切り裂いて、夜の海に、陽炎のような道をつくりだす。
 楚々(そそ)とした東雲(しののめ)に揺れる玉響(たまゆら)が、
 蓮華(れんげ)の上に座(ざ)す太陽とともに、魂魄の隷属を求めていた。


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