センエース~経験値12000倍のチートを持つ俺が200億年修行した結果~(コミカライズ版の続きはBOOTHにて販売予定)
118話 ガチムチのメンヘラストーカー。
118話 ガチムチのメンヘラストーカー。
「君との死闘は、何度も何度も経験してきた……俺は『学習能力のないバカ』じゃないんでね。君と積み重ねてきた時間は、ちゃんと、全部、血肉にしてある。俺なんかよりも、君の方が、はるかに美しい。それは間違いないけれど……でも、だからって、そう簡単に、今の俺を殺せるとは思わない方がいい」
「……あんたを簡単に殺せると思ったことは、これまでの人生で一度もないけれど。げんに、何度殺しても、こうして、当たり前のように、かつ、定期的に、よみがえってくるし。しつこく、つきまとわれて、本当に迷惑」
「ははは。そこだけ切り取ると、まるで、俺がストーカーみたいだね」
「みたいじゃなくて、私の視点では、ガチムチのメンヘラストーカーなんだけど」
「まあ、でも、実際のところ、間違いではないかな。もはや、君に対する俺の感情は、偏愛と言っても過言ではない。君にとっては迷惑極まりないだろうけれど、でも、つきあってもらうよ……俺が本当に終わるその時まで、永遠にね」
そう言いながら、蝉原は、
右手にオーラを込めて、
「――殺神覇龍拳」
『ハデなエフェクトのかかった右アッパー』をかましてくる。
凶悪な一撃だった。
とんでもない火力のグリムアーツ。
ギリギリのところで回避したテラスは、
冷や汗を流しながら、
「っっ?! あ、あんた、そんな技、使えたっけ?」
「――『苦(にが)く苦(くる)しい歴史』を積んで成長できるのは君だけの特権じゃない。俺も、色々と『死にたくなるような人生』を重ねてきた。その中で得たモノの中でも、『殺神拳』の習得は、俺を、かなり底上げしてくれたよ。あと……」
そこで、蝉原は、
「――来い、アベル」
邪悪なオーラを放つ携帯ドラゴンを呼び出すと、
そのまま、
「プライマルトランスフォーム・モードディアベル」
携帯ドラゴンとの融合形態になる。
その相貌は、虫なのか、魔獣なのかよく分からない、
なんとも奇妙で、心がザワつく姿だった。
「携帯ドラゴンを入手できたのも、かなり大きかったね。他にも、いくつか、切り札を習得してきた。単純に戦闘力も上がっているよ。……俺は大きくなった。その全部を、君には、ぜひ、見てもらいたいな」
そう言いながら、
蝉原は、有無を言わさず、特攻を決め込んだ。
バッキバキのインファイトを望まれたテラスは、
いなすために、あえて、距離を取ろうとしたが、
信じられない速度で詰め寄られて、
「……ちっ……鬱陶しい……」
仕方なく、インファイトに応じるしかなかった。
超接近戦でのゴリゴリの殴り合い。
蝉原の拳は鋭くて重たい。
もともと、戦闘センスは抜群で、
『才能』という点だけで言えば、
『閃』よりも『蝉原』の方がはるかに上。
そんな蝉原が、
『閃』に憧れて、多くを積んできた。
だから、当然、強い。
おそろしく強い。
テラスは、
「深淵閃風!!」
水面蹴りで蝉原の足を払おうとしたのだが、
「今の俺に、崩しのブッパが通るとは思わない方がいいよ」
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