センエース~経験値12000倍のチートを持つ俺が200億年修行した結果~(コミカライズ版の続きはBOOTHにて販売予定)

閃幽零×祝@自作したセンエースの漫画版(12話以降)をBOOTHで販売中

116話 禁止魔カード、使用許可要請。


 116話 禁止魔カード、使用許可要請。

(……ノドがつまる……体が熱い……血の音が聞こえる……)

 ザンクは、産まれて初めての経験に困惑する。
 熱い恐怖と、重たい不快感と、そして、意味不明な高揚感。

 理解できない感情の海に溺れていると、
 サイアジが、

「ちっ……『カオス』か……できれば、『レゾナンス』が欲しかったんだが……まあいい」

 ボソっと、そうつぶやいてから、
 アイテムボックスから、2枚の魔カードを取り出す。

 そして、

「禁止魔カード、使用許可要請」

 ――二枚とも、許可する――

 許可が下りることは最初から分かっていたという顔で、
 サイアジは、まず、一枚を天に掲げる。

「――『おしくらまんじゅう』――」

 と、口にしながら、禁止魔カードをビリっと破り捨てる。

 すると、
 サイアジの姿が変貌していく。
 ほとんど一瞬で『極悪な顔つきをしたバキバキのヤンキー』になったサイアジは、
 テラスを見ると、

「……ははは。女の子になっているのか。可愛いじゃないか」

 などと、チョケたことを口にする。

 そんなサイアジの顔を見たテラスは、

「……蝉原……?」

「嬉しいねぇ。君が俺の名前を知ってくれている。それだけで、俺の心は限界まで昂(たかぶ)る。君と積み重ねる時間が増えるたび、俺の心を占める君の総量が、指数関数的に増えていく」

 などと、そんなことを言いながら、
 『蝉原(せみはら) 勇吾(ゆうご)』は、
 濃密でトゲトゲしい邪悪なオーラを充満させていき、

「俺の視点では、お上品なレゾナンスよりも、荒々しいカオスの方が好きだ。今の君は、飛びきり輝いている。閃くん……君は、いつも、最高に美しい」

 膨れ上がっていく。
 爆発的に。
 常軌を逸した次元へと。

「……いつだって、君は、俺の心を独り占めにしている」

「高性能な男に、そこまで言われて、悪い気はしないけれど……流石に、相手があんたじゃ、口説かれてもゲロしか出ない。あんたが、ドイカレヤンキークソ野郎ではなく、バキバキの美少女とかだったら、素直に喜べたんだけどねぇ」

 などと、ファントムトークで場をにごす彼女に、

「ふむ。では、こういうのはどうかな?」

 そう言いながら、蝉原は、自分の胸に手をあてて、
 何か、ブツブツと唱えだす。

 数秒ほど、何かをつぶやいたのちに、
 グググっと、蝉原の体が変貌していく。
 ギュっと一回り縮まって、
 けれど、胸だけはグっと張りだした。

 ほんの数秒で、蝉原は、巨乳の美少女へと変化してしまった。

「これなら、喜んでもらえるのかな?」

 などと、ファンキーなことを言われたテラスは、

「……ま、まあね」

 などと、必死に動揺を隠しつつ、

「ただ、できれば、ヤンキー系じゃなく、清楚でおしとやかなスタイルにしてくれた方がよかったかな」


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