センエース~経験値12000倍のチートを持つ俺が200億年修行した結果~(コミカライズ版の続きはBOOTHにて販売予定)

閃幽零×祝@自作したセンエースの漫画版(12話以降)をBOOTHで販売中

81話 まだだよ、ゾメガ・オルゴレアム。俺の真価は、まだ、ここじゃない。


 81話 まだだよ、ゾメガ・オルゴレアム。俺の真価は、まだ、ここじゃない。

「だらぁあああああああああああああああああああっっ!!」

 ゾメガは、今日、はじめて本気を出す。
 魂魄を燃やして、センに、全力の特攻を決め込む。

 とんでもない速度で突撃してきたゾメガのムーブに対し、
 センは、



「――全然見えねぇけど、なんか分かるぞ、ぼけぇ!」



 などと、ふざけたことを叫びながら、
 腰を落として、左手を前に出す。
 ほとんど力を込めずに、スっと、
 まるで、慣れ親しんだ音ゲーに反射で対応するかのように、

「ぬっ」

 ゾメガは、ズラされた。
 何をズラされたのか、理解するよりも前に、

「深淵閃風」

 足元を崩される。
 『軸足の中心を削られた』という感覚だけが残る。

 『数値の差』が大きいので、すっ転ばされたりはしないが、
 しかし、確かな『痺れ』を叩き込まれて、
 コンマ数秒ほど、力を入れるのが難しくなった。

 しびれが回復するまでのコンマ数秒、
 そのわずかな時間を置き去りにして、
 センエースは、次の一手に着手する。

「神速閃拳」

 慣れ親しんだコンボ。
 何度も、何度も、何度も、何度も、何度も、何度も繰り返してきた連携。

 魂に刻まれている。
 世界の記憶に滲んでいる。
 コレだけは消えない。
 どれだけ弱体化をくらったとしても、
 『積み重ねてきたメモリ』が完全になくなることは、ありえない。

「すばらしい連携じゃな」

 ゾメガは、『激しいプライド』を持って対応する。
 『はるかなる高み』から言葉を投げかける。
 絶対的な数値の差にあぐらをかいている。

 その傲慢を、センはあざ笑う。

「――まだだよ、ゾメガ・オルゴレアム。俺の真価は、まだ、ここじゃない」

 圧縮された時間の中で、
 二人は高次の会話をかわす。

 魔法を使っているわけではない。
 ただの暴力的な集中力。
 互いの感覚時間が引き延ばされる。

 『死に際のスローモーション』が『二度見』するほどのバグったテンポ。

 思考が加速する。
 お互いの全部を、脳の全部で処理することができた。

 闘いの中で、一段階上の次元にいたる両者。
 ゾメガは気づいていない。
 自分が『引き上げられている』ということに。

 センエースは舞う。
 集中力が『ゾーン』に到る。
 精神の最高領域。

「もう一段階、加速するぞ、ゾメガ。ついてこられるか?」

 センの存在値は低い。
 間違いなく弱い。

 なのに、すさまじい圧力だった。
 ゾメガは圧倒される。
 闘いの中で、闘いを忘れる。
 知的好奇心ですらかなわない何かが、ゾメガの中を突き抜ける。

(……この感情はなんじゃ……なぜ、余は、ここまで、心が震えている……っ)

 『理解を拒絶している』というわけでもないのに、
 しかし、ゾメガの知性は、どうしても『答え』に到らない。

 まるで、
 ――答えなどいらない。
 と、魂が叫んでいるよう。

 そんなものは、いらない。
 言葉の答えでは満たされない。

(……余の心を満たす『すべて』は、もう、目の前にある……っ)

 これは理解ではない。
 なんなのか分からない。
 ただ、魂が、やかましく叫んでいる。


「――エニグマ・ミーティア――」


 気づけば、ゾメガ・オルゴレアムは、
 自然と、当たり前のように、当然のように、
 自身が誇る最強の必殺技を放とうとしていた。

 莫大な火力を誇る最強の攻撃魔法『フルパレードゼタキャノン』を大量に召喚して一斉掃射する超広域究極殺戮魔法。



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