センエース~経験値12000倍のチートを持つ俺が200億年修行した結果~(コミカライズ版の続きはBOOTHにて販売予定)
74話 これが邪神なわけがない!
74話 これが邪神なわけがない!
「行くぞ、ごらぁああああああああああ! 最初にちゃんと言っておくがぁあああああ! 俺はそんなに強くないから、ちゃんとナメろよぉおおおおおおおお! ゴリゴリに手加減することを、激烈に推奨するぅううううううううう!」
不細工な叫びと共に、
センは、拳の連打で、ドーキガンに圧力をかけていく。
素晴らしい連携だった。
一手、一手が、非常に美しい。
ある意味で、輝いてもいる。
――しかし、天才特有の『スマートさ』は皆無。
泥臭い。
徹底的に。
いや、もちろん、センの武は『美しい』。
それは間違いない。
ただ、それは、ドブネズミやスッポンの美しさであって、
白鳥や鷹のような優美さは皆無。
そんなセンの武を目の当たりにしたドーキガンは、
(違う……少なくとも、彼は、邪悪な存在ではない……そんなわけがない)
これも、あくまでも、感覚の話。
明確な根拠など皆無に等しい。
『そう思いました、まる』というだけの、
論理性皆無な『しょっぱい感想文』に過ぎない。
(これだけ美しい武に届いた者が、邪神であるはずがないし、邪神の力を取り込んでいるなどということもありえない……)
ドーキガンは確信する。
『リグの言っていたことが嘘』で、
『ゾメガの言っていたことは真実である』ということ。
「強いですね……」
思わず、ボソっと、
ドーキガンは、そうつぶやいた。
その言葉を受け止めたセンは、
「クールな皮肉をくれるじゃねぇか。今の俺は、逆立ちしたって、あんたには勝てないってのに」
「そうですね。『今のあなた』が、どれだけ頑張っても、『今のボク』には勝てないでしょう。けど、数十年後、あるいは数年後には……おそらく、あなたはボクを超えている」
「ずいぶんと高評価をくれるねぇ」
「あなたの資質は理解しました。ここからは、あなたの『底』を知りたい。……殺す気でいきますので、限界以上に頑張って、どうにか生きのこってください」
そう言うと、ドーキガンは『強めの殺気』を放つ。
それまでは、『圧倒的上位者としての空気感』しか纏っておらず、
仮に効果音をつけるとすれば『ノホホン』が正解になっていた。
しかし、今のドーキガンが背負っている効果音は、まるで『爆音の重機』のよう。
「え、いや、ちょっと待って……本気の殺気はダメだよ……ダメダメ……いや、ほんと、待って……」
と、及び腰になるセンに、
ドーキガンは、容赦なく、
「――閃光斬」
高速で飛翔する斬撃をお見舞いする。
破格の性能を誇る、ドーキガンの崩し技。
それを目の当たりにしたセンは、
「くぬぅぉおおおっ!」
反射だけで回避する。
異常な時間をかけて磨き上げてきた戦闘に関する『勘』だけを頼りに、
ミシャから奪い取った邪悪オーラを暴走させて、
どうにか、こうにか、ギリギリのところで、
ドーキガンの閃光斬を回避した。
一応、致命傷は避けたのだが、完全には回避しきれず、飛翔する斬撃はセンの顔をかすめた。
頬が裂けて、血があふれる。
(ちょ、直撃したら、普通に死んでた……あいつ、バカか? 学生相手に、なにを、ガチで攻撃してんだ……っ)
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