センエース~経験値12000倍のチートを持つ俺が200億年修行した結果~(コミカライズ版の続きはBOOTHにて販売予定)

閃幽零×祝@自作したセンエースの漫画版(12話以降)をBOOTHで販売中

35話 終わった……私の人生……


 35話 終わった……私の人生……

(このままでは、ひきずりおろされる……死ぬ気でつかみ取った、国家主席の地位を……奪われる……ありえない! そんなこと!)

 これまでに積み上げてきた苦労を思い出し、
 カバノンは、魂を燃やした。

 限界を超えて、魔力とオーラをひねりあげる。
 これまでの人生で、ここまで、自分自身と向き合ったのは初めてかもしれない。

「ヘルズ覇鬼ぃいい! 命令を聞けぇええ! 貴様は、私の召喚獣だろぉおお!」

 その事実を、周囲に再認識させることは、カバノンにとってマイナスである。
 そんなことは分かっているのだが、しかし、叫ばずにはいられなかった。
 もはや、机上の計算は立たない。
 ただ、本能の焦りに突き動かされている。

 ――必死になって、全力を出すカバノン。
 これまでの人生で最高の一撃を放った。
 間違いなく、最高の一撃だった。

 ……しかし、ヘルズ覇鬼は止まらない。
 先ほどの一撃はすさまじかったので、
 そこそこのダメージは通ったのだが、
 しかし、そのダメージも、すぐに回復してしまう。

 壊れたヘルズ覇鬼の生命力はレベルが違った。


(ほ、ほぼ無傷?! 壊れたことで、そこまで、存在値が底上げされているのか……い、いかん……無理だ……こうなると……対処のしようがない……っ)


 カバノンは絶望する。
 心が折れた瞬間。
 頭がいいからこそ、イヤになるほど正確に見えてしまう未来予想図。
 絶望的な未来を変えようと足掻いてみたが、どれだけ頑張っても不可能だと悟り、心がバキバキに砕けてしまった。

(終わった、私の人生……)

 オーラで隆起していた肉体がしぼむ。
 魔力が霧散していく。
 誰の目にも明らかなほど、カバノンは未来を諦めていた。

 その様を尻目に、ザンクは、

(あーらら……カバはん、完全に折れてもうたねぇ。おのれの人生がかかっとるんやから、もっと頑張ったらええのに)

 などとカバノンの高速諦観に対して感想を漏らしつつ、
 心の中で、

(ザンクさんやったら、折れずに、立ち向かえるやろうか……)

 などと、そんなことを、ふと考える。

(流石にカバはんよりは粘るやろうけど、もし、カバはん程度の知性と力しか持ってなかったら……まあ途中で諦めるやろうなぁ。流石に相手が悪すぎるからなぁ)

 などとザンクが呑気に、現場を俯瞰していると、
 そこでレバーデインの生命力が尽きてしまった。

 ここまで、どうにかヘルズ覇鬼の攻撃に耐えていたが、
 ついに、体力の限界がきてしまい、

「ぷげっ――」

 グシャっと圧殺されてしまった。
 ヘルズ覇鬼の『膨大なオーラのこもった右腕』に、顔面を掴まれて、そのまま、地面に、豪快にたたきつけられた。
 肉が丁寧なミンチとなり、骨がバキバキに砕かれ、脳が弾け飛んだ。

 誰もがレバーデインの死を確信した。
 なんせ、頭部が完全に潰されてしまったのだから。
 死なない方がおかしい。

 実の弟であるモナルッポは、
 渋い顔で、

(さ、最悪だ……レバーデインは聖龍王国との戦争で必要なコマだったのに……レバーデイン級の強者は少ないんだぞ……くそ……っ)


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