センエース~経験値12000倍のチートを持つ俺が200億年修行した結果~(コミカライズ版の続きはBOOTHにて販売予定)

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31話 田中・イス・斬九のオンステージ。めまいがするほどファンタスティポなショータイム。


 31話 田中・イス・斬九のオンステージ。めまいがするほどファンタスティポなショータイム。

(単純な殺し合いで覇権を目指そうと思ったら、武道の鍛錬が必須……けど、性格的に、そんなもんは、やってられへん……というわけで、今後の基本方針、決定。ザンクさんは、搦め手バリバリのスーパー邪道タイプを目指しましょう)

 そうそうに、『王道タイプの道』を放棄するザンク。

 空気を調節するように、
 軽く、首をゴキゴキっとならしてから、

(――さてと……ほな、そろそろ、真正面からの殴り合はやめて……ザンクさん流の闘い方をさせてもらおかな)

 ニィと黒く微笑むと、
 ザンクは、そこで、両手をクロスさせる。
 すると、目の前に、無数のエアウインドウが表示される。
 当然、フェイクオーラがかかっているので、周囲の人間には見えていない。

 どころか、その操作をしている様子すら、
 周囲の人間は感知していない。
 フェイクオーラの感度を巧みにあやつり、
 表面上は、ヘルズ覇鬼を殴り続けているように見せつつ、
 裏では、豪速の指さばきで、エアウインドウを操作していく。

(それでは、はじめようか。田中・イス・斬九のオンステージ。めまいがするほどファンタスティポなショータイムを)

 心の中で、そう宣言すると、
 ザンクは、悪魔の実験を開始する。


 ★


 モナルッポはハラハラしていた。
 もし、ザンクがヘルズ覇鬼に、殺されたら、自分も死んでしまうから。

(あいつは何を考えているんだ……俺に、この状況を整えさせ、わざわざワンダーマンに擬態してまで……どうして、ムダに命を危険にさらす……)

 ザンクの奴隷であるモナルッポは、命令されたら逆らえない。
 何をするつもりなのか聞かされないまま、
 モナルッポはザンクを送り出すしかなかった。

(あいつと話していると、脳が、こんがらがる……『頭がいい』と思うことも多いが、『異常なほど狂っているように見える時』も多々ある……)

 ザンクは、ユニークさを大事にしている。
 だから初対面だと、なかなか、彼の底を理解することはできない。
 かなり長くつきあっていても、彼を正しく理解できる者は少ない。

 『常軌を逸したマッドサイエンティストな気質』があるのも事実だし、
 本質的な部分では、他者に対する興味はかなり薄い。
 熱血系を鼻で笑う気はないのだが、『ああはなりたくない』と言うのが本音。
 人情・倫理・道徳をないがしろにしているわけではないが、
 そこに縛られてしまう『不自由な生き方』はしたくないと思っている。

 ――『遊走性のユニークさ』を振りかざしながら、『数奇(すき)をこらした実験』で『命の深部』をチラ見しつつ、精神的にも肉体的にも『自由』であることを強く望む、風流な天才。

 そんなザンクの雅な実験が始まる。

 黒く微笑みながら、ザンクは、盤上に、悪魔の一手を放った。

「――ん?」

 最初に違和感を覚えたのは、
 ヘルズ覇鬼の召喚主であるカバノン。

(召喚権が切断された?! なぜだっ?!)

 何が起こったのか、理解するのがむずかしかった。
 分かったことは一つだけ。
 ヘルズ覇鬼の召喚権を失った――それだけ。


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