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26話 限界を超えて恥をかき散らかすモナルッポ様。


 26話 限界を超えて恥をかき散らかすモナルッポ様。

(こんなのが王族とは、国民が可哀そうね……ああ、まあ、でも、大事な仕事は、優秀な兄がすべて担っていて、弟は、兄の邪魔だけはしないように遊んでいるらしいから、民としては、問題はないのかな)

 そこで、サーナは、チラっと、レバーデインに視線を向ける。

(弟はカスだけれど、この兄は非常に優秀……もちろん、私の方が上だけれど、油断はならない相手……レバーデインが正式に王となれば、ミルス王国は、これまで以上に大きくなる……下手したら、トーン共和国を抜いて、序列3位になったり……いや、それは、さすがにないかな……)

 サーナがそんなことを考えている向こうで、
 トーンのカバノンは、

(バカなのは知っていたが、まさか、ここまで酷いとは……これでは、けしかけた私までバカみたいではないか……っ……ぐっ……)

 モナルッポが恥をかくだけなら、なんの問題もなかったが、
 モナルッポが恥をかきすぎたせいで、
 カバノンまで、恥をかく羽目になってしまった。

 プライドの高いカバノンは、ギリっと奥歯をかみしめて、

「モナルッポ王子、おめでとうございます。いやぁ、実に凛々しい召喚獣だ。これほどの中級モンスターは、王族でなければ召喚できないでしょう」

 と、『小気味のいいジョーク』を含んだ『嫌味』で、
 この場のとっ散らかった空気を整えようと試みた。

 あえて、一旦、『度のこした失礼発言』を口にすることで、
 この場における、カバノンの『すべての言動』をジョークでまとめようとした。

 モナルッポの無様さも含めて、すべてを、一つの『ちょっとしたシャレ』ですませようとしたカバノン。
 その心意気を、正確に読み取った、各国の代表は、
 『乗るしかない、このビッグウェーブに』とばかりに、
 どうにか、ジョークですませようと、身をのりだした、
 ――が、その直前に、モナルッポが、

「いやぁ、どうも、どうも。ま、これでも王族ですから。はっはっは」

 と、まさかの高笑いを決めこんできやがった。

 結果、カバノンは、顔をヒクつかせ、
 周囲の面々も、『おいおい、マジかよ』みたいな顔でこおりつく。

 レバーデインは、『この世の終わり』みたいな顔で、天を仰ぎ、

(なんで……私の弟は……こ、こんなにも……バカなんだ……)

 と、放心状態になっていた。

 すでに、空気は死んでいるのだが、
 しかし、モナルッポは、まだ空気を殺すのをやめない。
 空気は、何度でも死ぬ。


「そうだ。せっかくだし、みなさんの召喚獣と俺の召喚獣、どっちが強いか、競わせてみませんか? どうです、面白そうなゲームでしょう? それで、もし、私の召喚獣が勝ったら、みなさん、私のお願いをなんでも一つ聞いてくれません?」


 ニコニコ顔で、そんなことを言うモナルッポ。

 もはや、こいつを上品に止めることはできない、
 と正確に認識したカバノンは、

「それは、非常に面白そうな提案ですねぇ。ちなみに、そのゲームで私が勝った場合、王子が、私のお願いを聞いてくださるのですか?」

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