センエース~経験値12000倍のチートを持つ俺が200億年修行した結果~(コミカライズ版の続きはBOOTHにて販売予定)
7話 田中ザンク、死す。
7話 田中ザンク、死す。
「吠えてんのとちゃう。プレゼンしてんねん。ビジネスの場では、黙っとるやつの方が弱者やねんで。そらそうやろ。どんだけ、ええ商品やったとしても、その良さを理解してもらえんかったら、契約なんかしてもらえんのやから。ザンクさんは、非常に優れた商品や。これは、うまいこと扱ったほうがええ。利用せんままに殺すとかもってのほか――」
「ほんとうによく吠える犬だ……ただのゴミではなく、クソやかましいゴミを召喚するとは……まったく」
レバーデインの殺気はとどまることを知らない。
身内の恥を、どうしても切り捨てたい模様。
ザンクに向いている、レバーデインの掌(てのひら)に、
ギュンギュンと、魔力が集まっていく。
それを見たザンクは、額に汗を浮かべ、
「ちょ、ちょっと待ってくれや! いや、マジの殺気やん! うそやろ?! いや、ザンクさんを殺すとかありえへんてぇ! ザンクさんほど優秀な天才なんかそうそうおらんねんぞ! それに、ザンクさんは、マジで、あんたらに迷惑をかける気とか一切ないねんで?! むしろ、その逆で、だいぶ協力的な感じなんやぞ?! 絶対に生かした方がええ! このザンクさんが言うんやから間違いない!」
必死にプレゼンするが、しかし、残念ながら、
レバーデインごときに、『ザンクの価値』を理解することはできない。
「カスの協力を必要とするほど、ミルスの王族は、落ちぶれちゃいない。ナメるのもたいがいにしろ、虫けら」
『何を言っても、レバーデインの気をかえることはできない』と理解したザンクは、
「ちっ」
と、アホを見下す目をしつつ、舌打ちして、
「――ちょ、もう、わかった、わかった! 出ていけいうなら、いますぐ出ていくから! ザンクさんほどの天才を利用せんとか頭悪すぎやけど、もうええわ! 出ていく、出ていく! せやから、殺すとか、そんなアホなマネは勘弁してくれや。ザンクさんは、まだ、死にたぁないねん。別にやりたいこととかないけど、でも、死ぬんは保留にしておきたいお年頃やねん」
「現状、お前は存在するだけで迷惑なんだよ。召喚というものは、コスト性になっており、一度に召喚できる者の数と質には限りがある。お前を召喚し続けていると、それだけで、モナルッポのメモリを無駄に圧迫してしまうんだ。ただでさえ無能なモナルッポの少ないメモリを、使いモノにならない貴様で埋めてしまう……そんな無様な話が認められるか。なにより、弟の『馬鹿さ加減』の『象徴』ともいえる貴様を生かしておくなど考えられん。明日の大研究会には、各国の首脳級が集まる。そんな彼らに、身内の恥をさらすことはできん」
そう言い捨てると、
レバーデインは、攻撃系の魔法で、ザンクを殺そうとした。
それを察知したザンクは、
(うわ、あかん、あいつ、マジで俺を殺す気や……っ! うそやろ! アホすぎる! ちっ!)
その場から、脱兎のごとく逃げ出した。
頭の中で、必死に、生き残る方法を演算する。
頑張って、生き残るための道を探そうとしたザンク。
だが、さすがに、状況が悪すぎた。
相手は、ミルス王国が誇る最高クラスの強者レバーデイン。
モナルッポと比べれば劣るが、その比較は『相手が悪すぎる』だけで、
レバーデインは、ミルス王国の歴史上、間違いなく、最高格の実力者。
だから、当然、逃げられない。
ザンクは、間違いなく田中家の因子を持つ超天才なので、もう少し時間があれば、『レバーデインに殺されずに済む何か』を見つけ出すこともできるだろう。
しかし、この一瞬で、それを成すのは、さすがに無理があった。
「――ぐふっ……」
『魔法の槍』で頭部を貫かれたザンクは、
そのまま、即死してしまった。
非常にあっけない最後だった。
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