センエース~経験値12000倍のチートを持つ俺が200億年修行した結果~(コミカライズ版の続きはBOOTHにて販売予定)

閃幽零×祝@自作したセンエースの漫画版(12話以降)をBOOTHで販売中

最終回 理論上最高の召喚。


 最終回 理論上最高の召喚。

「――さぁ、きてくれ。頼むから……人類の希望となる化け物……頼む……頼む!」

 願いを込めて、モナルッポは、人類史上最高のランダム召喚に挑む。
 ――願いの中、歪なジオメトリが、空間に描かれる。

 『異質な幾何学』だと思った。
 これまで、モナルッポは、幾度となく、召喚魔法を使ってきたが、
 『ここまで奇妙な空気感』は初めてだった。

(さすがは、ランク28のランダム召喚……期待させてくれるじゃねぇか……)

 純粋なワクワク感も沸き上がる。

 『世界を想う王』としての期待値だけではなく、
 『一人の男』としてのロマンチックゲージも爆上がりする。

(……もし、『上振(うわぶ)れ』してくれた場合、召喚される者の存在値は破格になること間違いない)

 ランク28のランダム召喚。
 その中で、もし、大当たりを引いたら、いったい、どうなるのか。

(できれば……そう、できれば……『単騎で、バーチャを足止めできるタンク系の召喚獣』であってほしい)

 もし、その願いが叶えば、
 『聖主』とやらが実在していたとしても、
 勝機は見えてくる。

 ――可能性の扉が開く。

(フィジカルに優れた、忠誠心の高い者……上位のドラゴンや鬼などが理想……どうか、どうか、どうか……っ!)

 ジオメトリの立体性が加速していく。
 ほのかに淡く光る。
 ゆっくりと、回転しはじめる。
 孵化(ふか)する直前の卵みたいに、
 ピシピシと、ジオメトリにヒビが入る。

(さぁ……来いっ!)

 天に祈る。
 神と呼ばれる高次生命がもし存在するのであれば、
 どうか、応えて欲しいと懇願しながら。

 その結果、
 ジオメトリから、





(……ん? なんや、ここ……どこや?)





 ――『人間』が召喚された。
 魔人でも進化種でもない。
 人間っぽいモンスターでもなんでもなく、
 完全に、ただの人間だった。

 大柄でも小柄でもなく、中肉中背。
 鍛えられているわけでも、ヒョロガリすぎるわけでもない、スタンダードなスタイル。
 黒髪で黒目で黄色人種。
 別に、珍しくもない、風貌。
 オーラも、魔力も、微弱にしか感じない。

 一見すると、間違いなく、ただの一般人。


(……ぇ?)


 あまりの出来事に、モナルッポは呆然としてしまう。
 そんなわけがない――と、すぐさま、セブンスアイで、
 召喚された『彼』を鑑定する。
 その結果、

「に、人間……間違いなく……しかも……存在値20程度の……弱い……人間……な、何で……ランク28の召喚だぞ……史上最高の……空前絶後の……前人未踏の召喚だったのに……どうして……なんで……」

 つい、ガクリと、地に膝をついてしまう。

 そんなモナルッポの視線の先で、
 ただの人間である『彼』は、周囲を観察しながら、

(……また、妙なことになったなぁ……これ、もしかして、あれか? 異世界転移的なアレか? アニメとかでは見たことあったけど、まさか、自分の身に、これが、起こるとは思ってなかったなぁ。引くわぁ)

 と、心の中でそうつぶやきつつ、軽く引きましたとさ。

 ――めでたし、めでたし。


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