センエース~経験値12000倍のチートを持つ俺が200億年修行した結果~(コミカライズ版の続きはBOOTHにて販売予定)

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83話 モナルッポの全身全霊。


 83話 モナルッポの全身全霊。

「うぉおおおおおおおおおおおおおっ!!」


 モナルッポは、意地とプライドと夢を、心にぶちこんでいく。
 魂全部で、バーチャと向き合う。

 そんなモナルッポの覚悟に、神器が応えてくれた。


『――【マイクロ・サイコジョーカー】を起動します――』


 声が聞こえた次の瞬間、
 モナルッポの精神に、

「っっ、うぐぷっぐおぇえええええええええっ!!」

 おぞましいほどの圧迫がかかる。

 頭がおかしくなりそう。
 全身の細胞すべてが狂ってしまいそうな、この途方もない地獄の中で、

「う……う、うぅううううう!! ああああああ!! 感じるぞ……リミッターの解放……俺の全部ぅうう……受け取ってくれやぁあああああっっ!!」

 全身がバラバラに解体されているかのような感覚に耐えて、モナルッポは、バーチャに突撃する。

 拳に覚悟の全部を込めて、
 ただ、全力で、バーチャの顔面に拳を叩き込む。


「――ぬぅっ!」


 その圧力に、バーチャは、確かな威圧感を感じた。
 肉がきしむ。
 骨がギリギリと音をたてる。

 裂けた肉から血が噴き出て、一部の骨がハッキリと砕けた。

(重たい……こんな虫ケラに……なぜ、ここまでの重さが……)

 異質だった。
 ここで、ようやく、バーチャは、モナルッポを認識する。
 ここまでは、ほとんど視界に入っていなかった虫けらをにらみつける。

(ふむ……もし、この『虫けらに起こった革命的な覚醒』が『初めての体験』だったなら、もう少し、動揺していたかもしれないが……ふっ……経験は偉大だな。貴様は、そこそこ異質だが、しかし、あの閃光と比べればヌルい。私は、あの閃光を知っている……だから、貴様のジャイアントキリングは絶対に認めない)

 バーチャは、そこで、はじめて武を構えた。
 そして、流れのままに、モナルッポの懐に飛び込んで、

「――凛帝打――」

 それは、一言で言えば、鉄山靠(てつざんこう)。
 踏み込んで、背中で体当たり。

 圧倒的な衝撃を、その身に受けたモナルッポは、

「どぅぁああああああっ!」

 そのまま吹っ飛ばされて、壁に激突。
 ゴフッと、大量の吐血。

 回復魔法が追い付かない。
 意識が朦朧としている。

 その様を見て、審判が両手をあげてクロスする。
 終焉の合図。

 ボロボロのモナルッポは、担架で医務室へと運ばれていく。
 その間、ずっと、モナルッポは、バーチャをにらみつけていた。
 とぎれかけの意識の中で、それでも、モナルッポは、バーチャを目に焼き付けようとしていた。


 ★


 ――目が覚めた時、
 そこには、見知らぬ天井が広がっていた。

(……気絶している間に、神器は回収されてしまったか……)

 モナルッポは、ベッドで横になったまま、
 自分の身を包んでいた『ハンデ用の装備』がなくなっているのを確認してから、

(……手ごたえはあった……)

 顔の前にもってきた自分の右手を見つめる。

(俺の拳は、あの化け物にも届く……)

 最後の最後、すべての覚悟と地獄をぶち込んだ結果、
 モナルッポは、『バーチャの底』を『ほんの少し』だけ知った。

 もちろん、『すべて』がわかったわけではない。
 バーチャ・ルカーノ・ロッキィは、とてつもなく大きい。

 しかし、全力でぶつかった結果、モナルッポは、未来を見た。
 やり方次第で、バーチャ・ルカーノ・ロッキィに勝利することも、不可能ではない。


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