センエース~経験値12000倍のチートを持つ俺が200億年修行した結果~(コミカライズ版の続きはBOOTHにて販売予定)

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76話 『モナルッポ』VS『ガイリュー』。


 76話 『モナルッポ』VS『ガイリュー』。

(俺がその気になれば、俺とドーキガンとゾメガをカンストさせる装備品もつくれる。なんだったら、ランク20の魔カードだってつくれる。そうだ、俺は天才なんだから)

 夢見がちな理想論で武装しはじめるモナルッポ。
 言うまでもないが、今のモナルッポは混乱している。

 突然の万能感と、実質的な絶望感で、
 頭の中がグチャグチャになっている。

 いつもは、理性の部分で抑え込んでいる『強者ゆえの傲慢さ』が、遠慮を忘れて表に出まくっている。

 ドーキガンとの会談以降、モナルッポは、『理想の王』を目指して、心技体の全てを鍛え上げてきた。
 だが、モナルッポも、所詮は、脆弱な人間の一人。

 心をグチャグチャにかき乱されれば、
 こうして、妙な無様をさらしてしまう。

「配下枠には、神器のほかに、判定に持ち込んだ時点で勝利というハンデもある。あまり好ましいファイトスタイルではないが、時間制限いっぱいまで逃げ回るという手段を用いても、最後まで武舞台に立っていれば勝利となる」

 ハンデの説明を全て終えたところで、

「新参者のポール、そして、ガイリュー将軍。両者とも、準備はよろしいですね。制限時間は15分です。それでは始めてください」

 審判がそう言った直後、
 ガイリューは、豪速で、モナルッポとの距離をつめる。
 一撃で潰そうと、右腕に大量のオーラをぶちこんで、モナルッポの顔面に叩き込もうとした。

 その動きに対し、モナルッポは、

(とてつもないパワーとスピード……しかし、今の私にはすべてが見えている。ガイリューが相手なら、楽勝も可能だが……)

 いまだ拭いきれない万能感の中でも、
 モナルッポは、ギリギリのところで、冷静さを保っていた。

 ここでガイリュー相手に楽勝して、目立ちまくることは、言うまでもなく悪手。
 正解が見えているモナルッポは、ガイリューの攻撃を、丁寧によけながら、

「拳気ランク12」

 魔法のクオリティも、そこそこに抑え、
 その上で、

「ふんぬっ!」

 モナルッポは、いくつかグリムアーツも使えるのだが、
 しかし、ここでは、あえて、ただの拳で、ガイリューの腹部を削っていく。

「ぐっ! なかなか重たい拳だ! いいぞ、ポール! 装備品の力だけではなく、お前自身の強さがあってこその拳!」

 モナルッポが手加減していることに気づかず、ガイリューは、上位者としてモナルッポに接する。

 その愚かさを、ありがたいと思いつつ、
 モナルッポは、ガイリューの攻撃を丁寧に回避していく。
 適度に手を出しつつも、
 ガイリューの底を量ることに注力する。

 ――『制限時間いっぱい』という、それらしい時間をかけて、
 ついに、モナルッポは、ガイリュー相手に判定勝利をおさめた。

「……見事だ、ポール。その、破格の神器に身を包んでいたからとはいえ、この俺を相手に、15分、生き残ってみせるとは」

 最初に、そう言ってから、

「しかし、忘れるな。これが、ルール無用の殺し合いだった場合、貴様はとっくの昔に死んでいた。お前が、正式に、俺の配下となったあかつきには、命の奪い合いについて、存分に教えてやろう」

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