センエース~経験値12000倍のチートを持つ俺が200億年修行した結果~(コミカライズ版の続きはBOOTHにて販売予定)
66話 ショデヒの狙い。
66話 ショデヒの狙い。
(す、すさまじいスペックの機動魔法……これを自力で会得しようと思えば、天才である俺が数十年を積む必要がある……それを、誰でも使える魔カードに落とし込むとは……神をも畏れぬ大胆な諸行……)
破壊と殺戮の象徴、マシンゴーレム。
機体名は黒曜。
黒曜は、なかなか上位の機体だが、上には上がいる。
D級、玉響(たまゆら)「スピードだけはそこそこの低級機体」。
C級、星屑(ほしくず)「オールラウンダーの中級機体」。
B級、龍鬼(りゅうき)「耐久と火力がなかなかの上級機体」。
A級、黒曜(こくよう)「火力重視のハイスペックマシン」。
S級、煉獄(れんごく)「魔法性能に優れた魔力型ハイスペックマシン」。
SS級、神威(かむい)「全性能が破格の超ハイスペックマシン」。
このように階段を上がっていき、
神威の階段の頂点に立ち、
そこに立ちふさがる『限界の壁』を超え、
真に『神の領域』に至ったマシンゴーレムを、
――エグゾギアと呼ぶ。
「はっはぁあああああっっ! なんだ、これぇ! すげぇえええ! 俺、つぇえええええ!!」
モナルッポは、膨大な力に振り回される愚者を演じつつ、
黒曜のスペックを丁寧に確かめながら、
ファイア・オールスピリットと戦闘を開始する。
「ははははは! 死ね、死ね、死ねぇええ!」
黒曜に振り回されるバカ王子。
そんな彼を見ながら、
ショデヒは、心の中で、
(……こいつは、本当にバカだな……よくもまあ、これだけ、派手に、己の無様さを晒せるものだと、感心してしまうレベル……)
と、モナルッポのことを、徹底的に見下していた。
それは、ショデヒだけではなく、長年、時を同じくしてきた家族ですらそう思っている。
モナルッポを知る者は、基本的に、モナルッポに対して同じ感想を抱く。
『バカ王子のブランディング』を徹底してきたモナルッポの印象操作にスキはない。
「終わりだぁああああ!!」
モナルッポは、派手に叫びながら、
ファイア・オールスピリットを殴殺する。
「ふははははっ! 俺、最強! 俺こそが神! 俺は、やはり、王になれる器だった! 兄貴よりも俺の方が上ぇええ! ひゃははははははっ!」
『存在値500の召喚獣をあっさりとやっつけたことを喜ぶ』という演技をしてから、
モナルッポは、ショデヒに、
「おい、これ、買うぞ! あるだけもってこい! 金は、なんとか用意する!」
「かしこまりました」
★
ショデヒが帰ったあとで、
モナルッポは、
「……購入できたのは全部で7枚……すべて、900万で、合計6300万……次回以降も、この値段で取引をするという……この異常な安さを貫くというのが事実であれば……」
頭をまわす。
回そうとしなくとも勝手にまわる。
「おそらく、俺だけではなく、他国にもバラまいているな……」
モナルッポは、ショデヒの思惑を読み取ろうとする。
ランク20の魔カードを他国の王子に売る理由。
そこから、聖龍王国の狙いを推測する。
「この魔カードの量産体制が、ブラフではなく、本当に整っているのだとしたら……聖龍王国は、世界と渡り合うことも可能」
ランク20の魔カードには、それだけの価値がある。
「だが、簡単ではない。聖龍王国は、人的資源に限界がある。質は高いが量が少ない……いくら、ランク20の魔カードを量産できると言っても、それを使う兵隊の数が少ないから、世界全体と争えば、押し込まれてしまう可能性の方が高い。この世界には、ドーキガンとゾメガ……そして、この俺という強者がいるからな」
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