センエース~経験値12000倍のチートを持つ俺が200億年修行した結果~(コミカライズ版の続きはBOOTHにて販売予定)

閃幽零×祝@自作したセンエースの漫画版(12話以降)をBOOTHで販売中

55話 魔カード産業。


 55話 魔カード産業。

「素晴らしい。聖主様。これほどまで凄まじい性能の神器を、こんなにも大量に保有しておられるとは……あなた様は、まさに無上の神」

 信念に従い、長いモノにまかれるショデヒ。
 彼にとっては、手のひらをクルクルさせるのも、人生スキルの一つに過ぎない。
 そう、いつだって彼は、強い者の味方なのだ。

 そこで、それまで黙っていたガイリューが、

「ははははぁ! 凄まじい! こりゃ、すさまじいぜ! これだけの力があれば、全人類を殲滅することも不可能ではない! 聖主様ぁ! さっそく、世界に宣戦布告を出しましょうぜ! 先陣は、このガイリューにお任せを!」

 と、血の気のあらいことを叫ぶ彼に、
 Tは、

「いきなり、世界との最終決戦なんかするわけないやろ。アホか」

 と、ばっさり切り捨ててから、

「最終的には、南北全土を相手に大乱闘をかます予定やけど、その前に、やるべきことが山ほどある」

 そこで、ザラキエリが、

「やるべきコトとは、なんでしょうか?」

「生活基盤への浸潤」

「?」

「問題です。日常的に使われとるマジックアイテムの代表と言えば、なんでしょう」

 その問いに、ショデヒが、

「魔カードでしょうか?」

「はい、正解。さすが、賢い」

「……お褒めにあずかり光栄です」

「一般人でも魔法が使えるようになる魔カードは、生活を営む上でなくてはならんもの」

 魔法が中心の世界において、『魔カード産業』は、常に頂点にあるもの。
 現代におけるIT企業のように、全ての者にとって必要不可欠で、だから、当然のように、世界を牛耳っている産業。

 エルメスやショデヒなど、自力で、高位の魔法を使える者でも、
 いわゆる『生活系』に属する魔カードは普通に利用している。

 『アイテムボックスの魔法』や『水を生成する魔法』や『麦やイモなどの食物を生成する魔法』などなど。

「企業という視点でも、魔カードは必需品。というか、企業にとってこそ、絶対になくてはならんもの」

 エネルギー産業の中心は魔カードと言ってもいい。

 ほかにも、インフラ関係は基本的に魔カードが中心。
 下水関係、通信関係、交通関係、建築関係、ゴミ処理関係、医療関係、
 そして、戦争関係。

 すべての産業で、魔カードは骨格の役割を担っている。

「その魔カード産業を荒らしていく」

 そう言いながら、Tは、アイテムボックスから、
 50枚ほどのカードが束になったデッキを取りだして、
 それを、ショデヒに投げ渡す。

 受け取ったショデヒは、デッキを確認すると、

「っっ?! なっ……ランク20の魔カード?! こ、これ……全部……っ?!」

 この世界で使われている魔カードは、
 店売りされているものだと『ランク10』で最高峰。
 そのランクまでくると、高級すぎて、庶民では手が届かない。
 高級外車ぐらいの感じと言えば伝わるだろうか。

 ゴールデン・ドラゴンハイドなどの特別なアイテムを使用したり、時間をかけて丹念に丁寧に魔力を込め続けたり、そういう手間暇をかけることで、『ランク15』ぐらいまで育てることは可能。
 だが、そこまでが魔カードの限界。


コメント

コメントを書く

「ファンタジー」の人気作品

書籍化作品