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39話 クズだけがクズを理解できる。


 39話 クズだけがクズを理解できる。

「超神バーチャ・ルカーノ・ロッキィ様。あなた様は、まことに素晴らしい。聖龍王エルメスを赤子あつかいできる、その無上なる力! その尊き高みこそ、私が求めていた頂点!」

「アホばかりではなく、それなりに理解力のある者もいるようだ。貴様、名前は?」

「ザバメット・ショデヒと申します、偉大なる御方」

「ふむ……ダークナイトの進化種か。この中でも、頭一つ抜けて高い知性を持っているようだな。私を理解できるのは、結局のところ、賢者だけ。優れた英知を持つ者だけが、このバーチャ・ルカーノ・ロッキィを理解できる。……愚者はダメだ。私を理解することすらできない劣等種には生きている価値がない」

「同感でございます、神よ。『優れた力を持つ者』だけを残し、劣等種は例外なく排斥すべき。選ばれた者だけで世界を構築することだけが、生命の進化をうながす」

「真理がよく理解できている。貴様は残す価値がある」

「っっ! 私を理解していただき感謝いたします! あなた様だけ! あなた様だけが、私の価値を、正しく理解してくださいました! やはり、神! 尊き神!」

 クズ同士で共鳴していると、
 そこで、ザラキエリが、

「盛り上がっているところ、申し訳ないのですが……神様、あなたは、これから、どうしていくつもりなのですか? 皆殺しと言っていましたが、本当に、この世に存在する命をすべて、手前勝手に奪うおつもりで?」

「そのつもりだ。もちろん『使える命』は残しておく。このショデヒなどは、その筆頭だな」

「もったいない御言葉!」

 そんなやりとりを、白けた目で見ているザラキエリは、

「……私が知る限り、ショデヒは、性根が腐り切ったドクズ悪魔……そんなものを高く評価するあたり、あなたの程度が知れるというものなのですが?」

 と、もはや、『殺されること』は前提にした上で、
 『自分なりの信念』をぶつけていく。

 そんな彼女の覚悟を、
 バーチャは、

「ふっ……」

 と、鼻で笑ってから、

「貴様の、その、『程度の低いモノの捉え方』……あいつを彷彿とさせる。偽善と呼ぶことすらおこがましい、中身のないエゴのハリボテ。――興が乗った。貴様に、少しだけ時間をやる。おのが信念を論じてみろ。さあ、遠慮はするな。すでに、貴様を排除することは確定している。『こんなことを言ったら殺されるかもしれない』などとおびえる必要は皆無。事実上、貴様はすでに死んでいる。というわけで、さあ、最後に、言いたいことを全て言うがいい」

「……あんたに言いたいことなど、特にないわ。言ったところで意味などないし。ただ、一つ聞きたいのだけれど、この世に存在する命を奪い取って、あんたは何がしたい?」

「その問いに答える義理などないし、そもそも、すでに応えているのだが……まあいいだろう。かみ砕いてやる」

 『遊びに付き合う』と決めたバーチャは、
 ザラキエリの目をジっと睨み、

「私は私を完成させたい。そのために出来ることはすべてやる」

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