センエース~経験値12000倍のチートを持つ俺が200億年修行した結果~(コミカライズ版の続きはBOOTHにて販売予定)

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35話 超神。


 35話 超神。

(ちっ……記憶に妙な制限がかかっている……あいまいにしか思い出せない……鬱陶しい……なんだ、これは……)

 心の中で、ボソボソと、

(まあいい……それよりも……ここは、どこだ……こんなコードの世界は知らんぞ……どこかの神が新しく創った世界か? ……いや、新興の世界にしては、命の循環率が、妙に高い……)

 そう言いながら、周囲に目をくばる。
 この中で最も強大な存在である『エルメス』の『力』をプロパティアイで正確に看破して、

(……存在値700……取り巻きは、400~500……下っ端連中ですら300前後……平均値が凄まじく高いな……第二・第三アルファ級の世界……いや、それ以上か……なんだ、この世界……)

 と、そこで、ピーンと、頭の上で、電球が光る、

(まさか……原初の世界? 『神ですら届かない世界』という噂の……)

 『原初の世界』は、『神の世界』でのおとぎ話。
 『すべての世界の元になった世界が、認知の領域外に隠されているらしい』という都市伝説。

(そこらの神であれば、ここに到達することは不可能だろう……しかし、私のように『選ばれた存在』であれば……原初の世界に辿り着く事もありえなくはないだろう)

 彼は、自分の事を『特別な存在である』と考えている。
 事実、彼の資質と才能には、非凡なものがある。

 ――と、そこで、
 負けん気の強いガイリューが、

「貴様、何者だ! 名を名乗れ!」

 と、気圧されないよう、腹の底から声をだした。

 その呼びかけを受けた『彼』は、

「下等生物が……誰に口をきいている」

 ピリリと空気が痙攣した。
 冷たい時間が流れる。

 『彼』の『尋常ではない圧力』を受けて、
 この場にいる全員の背筋が凍った。

「私は超神だぞ」

 そう言いながら、ゆっくりと、玉座の階段を下りていく。

「神を超えた神だ。頭が高い。はいつくばって、私を見上げろ」

 その発言に対し、
 アホのガイリューは、
 『威圧感に負けてたまるか』という『意地だけ』で口を開く。

「何が神だ! ひょろい人間にしか見えんぞ!」

「はははっ」

 ――『彼』は、ガイリューの言葉を、鼻で笑ってから、

「完璧に最適化された私の肉体を見た感想がソレか? 見る目のなさが天元突破しているようだな。貴様の発言は、『完璧なクオリティでカットされた至高の宝石』に対し、『岩より小さい』と言い捨てたようなもの。おろかしさも、そこまでいけばたいしたものだと感嘆できる。もはや『知性がある』とは認められないレベルだな」

 かなり強めのあおりをうけたガイリューは、
 完全にキレた顔で、

「……て、てめぇは……聖龍王陛下の剣である俺をバカにした……その罪を……教えてやる」

 ほとんど反射のような速度で変身するガイリュー。
 膨れ上がった肉体に、オーラでさらにブーストをかけていく。

「死ねぇええええっ!」

 豪速で距離を詰めて、力こそパワーだと言わんばかりに、
 膨張した自分自身を、『彼』へと叩き込もうとする。

 ――こうして、ガイリューが一番槍を務めるのは、聖龍王軍ではいつものこと。
 それに、エルメスとしても、謎の敵に対しては、パワータイプをぶつけて様子をうかがいたかったので、ガイリューの暴走を、あえて黙って見逃した。

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