センエース~経験値12000倍のチートを持つ俺が200億年修行した結果~(コミカライズ版の続きはBOOTHにて販売予定)
12話 ランダム召喚の最果て。
12話 ランダム召喚の最果て。
グルグルと、散々、考えた結果、
(可能性があるとすれば……あとは、ランダム召喚ぐらいか……俺の欠損部位を媒体にして、今の俺に召喚できる『限界以上の召喚獣』を呼ぶ……)
センは、『ギャンブル』を選択した。
『可能性に賭ける』のと『奇跡にすがる』のは、根本の心構えが全然違う。
『マーケティングを徹底して店を出すA』と『宝くじを買うB』、このAB両者は、どちらも、大雑把に言えばギャンブラーである。
店が成功するかどうかは、結局のところは運でしかない。
どれだけ完璧な準備を整えても、つぶれるときはつぶれる。
運が良ければ大金を得て、運が悪ければ損をする。
そういう意味では、どちらもただのギャンブルなのだが、心構えは全く違うし、確率的な意味でも全く異なる。
センは前者。
召喚術に関しては、途方もない時間をかけて磨き上げてきた。
実績と経験と知識がある。
技術系は軒並み失ってしまったが、ギャンブル召喚に関して言えば、
そこまで、『過剰な技能』は必要とされない。
だから……
(理論上の最高値を叩きだすために積んできた時間は、俺の魂に刻み込まれている……いっそ、ここで、人生史上最高の召喚を決めてやるよ……っ)
心にガツンと気合を入れると、
センは、『切り飛ばされた自分の腕』を回収した上で、
目の前の虚空に、『光る文字』を書き込んでいく。
『かなり簡略化された神字』なので、時間にして、2秒前後。
そのかなり怪しい行動を、リグとラーバは、強く警戒してくれた。
おかげで、スキが生まれた。
彼らにとっての最適解は、『とにかく、センが何かする前に叩き潰すこと』だったのだが、しかし、警戒心に飲まれた二人は選択を誤る。
自分たちの行動がミスっている――と気づくよりも早く、
センは、行動を終わらせてしまった。
(たのむ……エグいの来てくれ……)
『ただの奇跡』ではなく、『確率の低い成功』を求めて、センは最後まであがく。
これまで、ランダム召喚自体は、何度も、何度も、やってきている。
死ぬほど練習した。
何度も繰り返した。
強大なドラゴンや、屈強な鬼、まがまがしい悪魔など、
山ほど、凶悪なモンスターを召喚してきた。
(……頼むっ!!)
懇願しながら、センは、『異次元の魔』を現世に呼び込む。
『できれば、カースソルジャーきてくれないかなぁ』などと、あわい夢をみながら。
……その結果、
空が、急に、どんよりと暗くなった。
突如、厚くて黒い雲に覆われる。
「な、なんだ……っ」
リグとラーバの警戒心が爆裂に上がっていく。
召喚系の技能に詳しくない二人は、現状の不可解さに対し、動揺が止まらない。
召喚系の技能に詳しいセンも、この状況には動揺が止まらなかった。
(へ? ……なに、これ……どういう状況?)
こんなことは、今までになかった。
ここまで『異様』と言うか……こんなにも『禍々しい空気感に包まれた』のは召喚人生においてはじめて。
この場にいる三名全員が、しっかりと困惑していると、
空中に、いびつなジオメトリが刻まれた。
それは、まるで幾何学に対する挑戦のようだった。
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