センエース~経験値12000倍のチートを持つ俺が200億年修行した結果~(コミカライズ版の続きはBOOTHにて販売予定)

閃幽零×祝@自作したセンエースの漫画版(12話以降)をBOOTHで販売中

9話 そりゃ、悪手だろ、蟻んコ。


 9話 そりゃ、悪手だろ、蟻んコ。

「呪縛ランク8」

 『呪縛』の魔法でセンの動きを封じて、その隙を、リグが『接近戦でついていく』という戦法。
 シンプルだが、力の差がある時は『シンプル』であればあるほど効果的。

 呪縛をくらったセンは、頭の中で、

(この呪縛は、だいぶヌルいな……俺の深部に届くほど『濃い魔力』を込めたわけじゃない……『そりゃ、悪手だろ、蟻んコ』と言わざるをえない。……まあ、数値的には俺の方が、余裕で蟻んコだけど)

 心の中で、自分に対してファントムトークをかましつつ、
 センは、今の自分に可能な最大の力で、魔力を練り上げて、
 自分を縛っている魔法にレジストをかましていく。

(……オメガバスティオン……)

 魔法の波長に合わせて中和していく。
 完全に消し去るのは難しいが、うすめる程度なら、出来なくもない。
 オメガバスティオンを便利に使っていくセン。

「レジストされた?! そんな! ランク8の魔法をゴブリンが?! ど、どうやって?!」

 困惑しているラーバ。
 リグが、

「別に、呪縛がなくても、問題ねぇえ!」

 荒々しく剣を振り上げて、

「剣気ランク10!」

 火力を上げた上で、斬りかかってきた。

(いい腕だ……性根は、じゃっかん歪んでいるっぽいが、鍛錬は、まっすぐに積んできたみたいだな)

 型がシッカリしている分だけ読みやすい。
 『コースを読む洞察力』が優れている場合、『ノーコンの荒れ球』よりも、『コントロールがいい投手のアウトロー』の方が打ちやすい――みたいな感じ。

 半歩分の動きで避けられる攻撃ならば、
 今のセンでも、ギリギリ、対応できる。

「???!」

 『そこそこ本気の一撃』を回避されたリグは、
 目を丸くして、

「なんだ、このゴブリン?! どうなっている?! ラーバ、こいつは、本当に存在値10以下か?」

「サードアイで見た限りは……けど、もしかしたら、フェイクオーラを使っているのかも……」

「南大陸ってのは、本当に、キメェなぁ! こんな、意味わかんねぇキモ生物がうじゃうじゃしてんのかよ!」

 リグは、警戒心を五段階ほど引き上げて、
 アイテムボックスに剣をしまい込むと、
 そのままの流れで弓を取り出し、
 センに狙いを定める。

「ラーバ、援護しろ!」
「オッケェ! 狙撃強化ランク10!」

 バフ魔法で、リグの狙撃能力を底上げしていく。
 剣よりも弓の方が得意なリグは、
 センの額にロックオンして、

「死ね、害虫」

 と、つぶやきつつ、弓を放った。

 ――センには、『ほぼすべて』が見えていた。
 動体視力も低下しているため、放たれた矢の軌道を目で追うことはできない。
 しかし、卓越した戦闘思考力により、
 ほぼ未来視のレベルで、
 矢の軌道を『予測すること』が出来た。

 どのタイミングで、どこを通過するのか、
 それが完璧に予測できているのであれば、
 見えていなくとも、掴むことは可能――

「っっ?! はぁああ?! お、俺の矢を……つ、掴んだ?! はぁああ?!」

 額にあたる直前、
 センは、右手で、バシッっと、矢をキャッチしてみせた。

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