センエース~経験値12000倍のチートを持つ俺が200億年修行した結果~(コミカライズ版の続きはBOOTHにて販売予定)
9話 そりゃ、悪手だろ、蟻んコ。
9話 そりゃ、悪手だろ、蟻んコ。
「呪縛ランク8」
『呪縛』の魔法でセンの動きを封じて、その隙を、リグが『接近戦でついていく』という戦法。
シンプルだが、力の差がある時は『シンプル』であればあるほど効果的。
呪縛をくらったセンは、頭の中で、
(この呪縛は、だいぶヌルいな……俺の深部に届くほど『濃い魔力』を込めたわけじゃない……『そりゃ、悪手だろ、蟻んコ』と言わざるをえない。……まあ、数値的には俺の方が、余裕で蟻んコだけど)
心の中で、自分に対してファントムトークをかましつつ、
センは、今の自分に可能な最大の力で、魔力を練り上げて、
自分を縛っている魔法にレジストをかましていく。
(……オメガバスティオン……)
魔法の波長に合わせて中和していく。
完全に消し去るのは難しいが、うすめる程度なら、出来なくもない。
オメガバスティオンを便利に使っていくセン。
「レジストされた?! そんな! ランク8の魔法をゴブリンが?! ど、どうやって?!」
困惑しているラーバ。
リグが、
「別に、呪縛がなくても、問題ねぇえ!」
荒々しく剣を振り上げて、
「剣気ランク10!」
火力を上げた上で、斬りかかってきた。
(いい腕だ……性根は、じゃっかん歪んでいるっぽいが、鍛錬は、まっすぐに積んできたみたいだな)
型がシッカリしている分だけ読みやすい。
『コースを読む洞察力』が優れている場合、『ノーコンの荒れ球』よりも、『コントロールがいい投手のアウトロー』の方が打ちやすい――みたいな感じ。
半歩分の動きで避けられる攻撃ならば、
今のセンでも、ギリギリ、対応できる。
「???!」
『そこそこ本気の一撃』を回避されたリグは、
目を丸くして、
「なんだ、このゴブリン?! どうなっている?! ラーバ、こいつは、本当に存在値10以下か?」
「サードアイで見た限りは……けど、もしかしたら、フェイクオーラを使っているのかも……」
「南大陸ってのは、本当に、キメェなぁ! こんな、意味わかんねぇキモ生物がうじゃうじゃしてんのかよ!」
リグは、警戒心を五段階ほど引き上げて、
アイテムボックスに剣をしまい込むと、
そのままの流れで弓を取り出し、
センに狙いを定める。
「ラーバ、援護しろ!」
「オッケェ! 狙撃強化ランク10!」
バフ魔法で、リグの狙撃能力を底上げしていく。
剣よりも弓の方が得意なリグは、
センの額にロックオンして、
「死ね、害虫」
と、つぶやきつつ、弓を放った。
――センには、『ほぼすべて』が見えていた。
動体視力も低下しているため、放たれた矢の軌道を目で追うことはできない。
しかし、卓越した戦闘思考力により、
ほぼ未来視のレベルで、
矢の軌道を『予測すること』が出来た。
どのタイミングで、どこを通過するのか、
それが完璧に予測できているのであれば、
見えていなくとも、掴むことは可能――
「っっ?! はぁああ?! お、俺の矢を……つ、掴んだ?! はぁああ?!」
額にあたる直前、
センは、右手で、バシッっと、矢をキャッチしてみせた。
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