センエース~経験値12000倍のチートを持つ俺が200億年修行した結果~(コミカライズ版の続きはBOOTHにて販売予定)
5話 エンディングだぞ、泣けよ。
5話 エンディングだぞ、泣けよ。
(死ね、死ね、死ね! 俺を殺そうとしたヤツに慈悲などなぁい!)
センはワガママに生きているだけの凡人。
だから、殺されそうになれば、当然、殺し返す。
「ギ……ギ……」
小虫の外殻は、まあまあ硬く、
なかなか死に切らなかったが、
何度も、何度も、踏みつけた結果、
ついに、ようやく、どうにか、殺しきることに成功した。
(勝ったぁ! ついに俺は、バグに勝った! 長く苦しい戦いを、俺は乗り越えた!)
センは、天に向かって、両腕を突き出す。
渾身のガッツポーズを決め込んで、
(これで、世界は救われた! 俺の仕事は、完全に終わった! さあ、T・104、もういいだろう? 俺を戻してくれ!)
と、心の中で、帰還要請を出すセン。
しかし、当然、T・104は応えない。
なぜなら、言うまでもなく、何も終わってなどいないから。
あと、もっと言えば、T・104の狙いは他にあるから。
(クソが……やっぱり、戻れねぇか……まあ、わかってはいたが……)
などとつぶやきつつ、
センは、木にもたれかかった状態で、座り込み、
(……今の虫が『噂のバグ』だったのか、それともただの小虫モンスターだったのか知らんけど……とりあえず、倒したという事実には変わりない……なのに、レベルが上がった様子は一切ない……経験値12000倍のスペシャルがついているのであれば、どんな雑魚だったとしても、ある程度、レベルは上がるはず……だが、変化は一切ない……)
センエースのレベルは上がらない。
どんなにあがいても『2』に上がることはない。
(こっちでも、俺は、マジで、ずっとレベル1なのか……エグすぎん? こんなもん、どうしろってんだよ……さっきぐらいの小虫ならともかく、『ガチのバグ』に出てこられたら、俺が100億人いたって、鼻息でさよならだぞ)
バグの怖さをよく知っているセンは、
天を仰いで、深いタメ息をつく。
(……なげくのはもういいから、真剣に考えてみよう。どのぐらい鍛えたら、俺は、ガチのバグを殺せる? 幸いなことに、戦闘思考力は消えていないし、知識も丸々残っているから、今の俺は『本当に何もできないレベル1』ってわけではない……)
小虫との闘いで、分かったことがいくつかあった。
それは、『知識がベースとなる強さ』に関しては、もちろん、『普通に残っている』ということ。
100億年以上を積んできた、その『記憶』はちゃんと残っている。
体を俊敏に動かす能力はなくなっても、体を効率的に動かす知識は失っていない。
オーラとマナをコントロールする訓練を積んできたという『経験の記憶』は残っている。
知識と経験と記憶をベースにすれば、『効率』を求めることができる。
つまり、最初にやった時よりも、短時間で再現することが可能だということ。
――ゴブリンの体に慣れさえすれば、あとは、加速度的に強くなれる……はず。
(オーラやマナに関する神髄は、ある程度、つかめてきているんだ……完全理解は不可能でも、100億年かけて理解してきたことは、今の俺の中でも、血肉になっている。体の動かし方や、オメガバスティオンに関しても……俺の中には、ちゃんと残っている。鍛錬の時間さえ確保できれば、どれも、再現は可能……だと……思うんだが……)
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