センエース~経験値12000倍のチートを持つ俺が200億年修行した結果~(コミカライズ版の続きはBOOTHにて販売予定)

閃幽零×祝@自作したセンエースの漫画版(12話以降)をBOOTHで販売中

4話 ことはすべてエレガントに運んでほしいんだけど。


 4話 ことはすべてエレガントに運んでほしいんだけど。

「ギギギィ!」

 ダメージは入ったが微量のようで、
 バグは、まったく怯むことなく、むしろ、果敢に攻撃をしかけてきた。

 蚊のように、不規則な飛行をしながら、
 センとの距離をつめて、『針がついているシッポ』で突撃。

「ギャっ!(ぐぉおお! 痛ぇえええ!!)」

 バグの攻撃が、右腕に直撃。
 よけようと体をひねったのが、反応速度がゴミすぎて、
 普通にダメージを受けてしまうセン。

(クソ痛ぇな、ド畜生……今の一撃だけで、けっこう、HPを持っていかれたぞ……『ちょっとハリで刺されただけ』だってのに……弱すぎるって、今の俺……)

 小虫は、『次の一手』に移っていた。
 センの頭上から、脳天めがけて落下してくる。

(うぉ……っ!)

 今度は、どうにか回避することに成功した。
 前ローリングでダイナミック回避。

(重たい体だな、ちくしょう……)

 オーラで肉体にブーストをかけたいところなのだが、
 マナコントロールと同じで、
 『頭の中でイメージした力』をまったく捻出できない。

(……才能とか肉体強度は、最悪、このままでも別にいいんだが、せめて、鍛錬する時間だけは欲しいな……)

 センには、『努力できる器はある』という強い自負がある。
 だからこそ、『足りない時間』を、強く求めてしまう。

 そんなことを考えている間も、小虫は、センを殺そうと、機敏に空を飛んでいる。

「雷撃ランク1!」

 また魔法を使うセン。
 バカの一つ覚えだが、しかし、現状のセンには、これ以外、まともな攻撃手段がない。

(せめて剣があれば……)

 『剣』も『こんぼう』も持っていない、
 実に漢らしい裸一貫。
 それが今のセンエースの姿である。

(まあ、剣があっても、まともに扱える気がしないが……)

 ナイトメアソウルゲートで、死ぬほど剣を振ってきたが、
 今のセンは、その積み重ねを、ほぼ完全に失っている。
 仮に、今、ここに剣があったとしても、剣の重さに振り回されるだけだろう。

「雷撃ランク1! 雷撃ランク1!」

 しょっぱい魔力を、どうにか捻出して、
 どうにかこうにか、マナに乗せつつ、
 魔法を小虫にぶつけていくセン。

(な、なんて、ダサい闘いなんだ……エレガントさのかけらもない……)

 『ゴミみたいな魔力』で生成した『ゴミみたいな魔法』を、がむしゃらにぶっ放していくだけというブザマな姿。

 ただ、それでも、小虫には、そこそこ効いているようで、

「ギガッ……ッ!」

 何度目かの直撃で、ついに、小虫は、地に落ちた。

(よっしゃぁあ!! とどめじゃ、ごらぁああ!)

 アドレナリン全開のセンは、
 『地に落ちた小虫』の元まで全力で駆け寄り、
 思いっきりジャンプしてからの、

(どっせぇい!!)

 豪快な踏みつけ。
 技術もパワーもない今のセンにとっては、
 パンチするよりも、自重と重力に任せて踏みつける方が、よっぽど火力が出る。

(死ね、死ね、死ね! 俺を殺そうとしたヤツに慈悲などなぁい!)

 センは善人でも聖人でもない。
 ただ、ワガママに生きているだけの凡人。
 だから、殺されそうになれば、当然、殺し返す。

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