センエース~経験値12000倍のチートを持つ俺が200億年修行した結果~(コミカライズ版の続きはBOOTHにて販売予定)

閃幽零×祝@自作したセンエースの漫画版(12話以降)をBOOTHで販売中

60話 昔、ヒザに受けた古傷が痛む。

 60話 昔、ヒザに受けた古傷が痛む。

「ここからの作業が大事かつ大変だな……さて、どうする、T・104くん」

「基盤となる部分は、ある程度、やるつもりでおるんやけど……セン、その辺も、全部、お前に任せた方がええか? どうやら、ワシがおらんでも、全部できるみたいやし」

 そこで、センは、ドンと胸を張って、

「当たり前だ。プロジェクトリーダーである俺に全権がある。だから、ここからは俺に任せろ。あとは全部俺が――」

 と、そこまで言った時点で、センは、うずくまり、

「うっ! ぐっ!」

「……どしたん?」

「昔、ヒザにうけた古傷が痛む……くっ……残念だが、『お前に任せるしかない』らしい……くそぉ……出来るのに……俺がその気になれば、楽勝なのに……ちくしょう……無念だ……」

「……あ、そう」

 何か言いたそうな顔をしているTさんだったが、
 あえて、何も言わず、進化指定アプリを用いて、世界に生命の革命を起こしていく。

 細かい調整を施しながら、T・104は、知的生命体の創造に勤しむ。

「まずは、目の進化やな……」

 眼球、光彩、網膜、そして、脳内で映像化するための神経組織。
 最も大事な機能であるため、その作成は非常に困難。

 ――ただ、

「……ま、こんなもんやろ」

 ほぼ、『秒』で、目の進化を終わらせた、T・104。

「あとは……脊骨なんかの、生命を支える骨格のデザイン・モデリング……半規管なんかの肉体を制御するセンサーの設定……あと、分裂・代謝などの基礎性能が高いタンパク質の設計やな。さすがに、やることが多くてだるいな……セン、分担作業にした方が効率ええねんけど、どうする?」

「ヒザがぁあ! くそぉお! ヒザめぇええ! ……くっ……っ!」

「……わかった、わかった」

 だるそうにそう言うと、T・104は、
 『知的生命体』の誕生に必要な作業を、サクサクとこなしていく。

 『秒』で終わらせることはできなかったが、
 ほんの数時間程度で、

「よし……脊椎動物が誕生。初期のころは、血色素のヘム間相互作用がクソすぎるんと、アミノ酸配列異常が多すぎて、アカンかなぁ思うたけど、どうにか、完璧に調整できた」

「細かいミスが目立つな、Tくん。そういうところだぞ」

「すんまへんなぁ。ところで、あと500万年ほど時間加速したいんやけど、よろしか?」

「まて、ここは、501万年にしたらどうだろうか? 俺の細かい高度な計算によると、そっちの方が、なんだかんだでアレな気がする」

「……好きにせぇや」



 ★



 バクテリアが誕生してから、ほんの500万年ほどで、
 生命は、新しい時代に突入した。

 その結果、

 ――『ニューラルネットワークエンジン補助アプリがアンロックされました』

 T・104が渇望していたアプリが解放された。

「Tさん、新しいアプリが解放されたぞ。これで、アレがアレできるな。やったぜ」

「おお、やっときたか。それがなかったら、さすがにダルすぎるからな。一々、脳のシステムをパッケージなしの手動とか、やってられへん」

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