センエース~経験値12000倍のチートを持つ俺が200億年修行した結果~(コミカライズ版の続きはBOOTHにて販売予定)
47話 言葉と行動が異なる悪手の中の悪手。
47話 言葉と行動が異なる悪手の中の悪手。
副官は、マシンガンのような姿に変形する。
悪夢バグは、その銃器の銃口をセンに向けて、
「ナイトメア・イビルノイズ・カンファレンスコォオルッッ!」
詠唱しながら引き金を引いた。
すると、
センの周囲に、500を超える『BB弾サイズの黒い球』が出現し、
ジカジカっと、音をたてながら発光した。
歪な発光から、コンマ数秒後。
その黒い球から、
とんでもない魔力量と速度を誇るブラックレーザーが放出された。
黒い光のカーテンに包まれるセン。
その技の性質を、センは、
(発射速度にラグがあるな……『安地を残さないと最大威力を出せないアリア・ギアス』が組まれていると見た……回避は余裕……だが――)
黒いレーザーの狙いはセンのみなのだが、
射線が長く、センの背後にも届いている。
このまま避ければ、後ろでボケっとしている魂どもにあたってしまう。
(……ちっ……)
コンマ数秒の中で、
センは無数の思考に溺れた。
普段は、あまり回転しない頭脳だが、
こんな時だけ、なぜか、極端な速度で回転する。
ただ、この問題だけは、いくら考えても答えが出なかった。
結果的に、センは『セン的に最低最悪の悪手』を放つことになる。
「がっはあああああああっっ!!」
バックステップで位置を調整した上で、
センは、黒いレーザーの直撃を受け止める。
えげつない火力で、センのHPをゴリゴリと削っていく。
「う……ぐへっ……」
その場に膝から崩れ落ちるセン。
そんなセンの姿を見て、悪夢バグは、
「……言っていることと、やっていることが違い過ぎないか?」
と、呆れ交じりに、そうつぶやく。
「はぁ……? なに言ってんだ、てめぇ……」
激痛に耐えながら、センは、
悪夢バグをにらみつけて、
「ワケの分からん事言ってんじゃねぇぞ……それより、今の攻撃はよかったな。避けるのがだいぶ難しい技だ。ほぼ必中でありながら、火力も高い弾幕技。素晴らしい。褒めてつかわす」
そこで、悪夢バグは、
「……こっちからけしかけておいてなんだが……『貴様を助ける気のない者』を、なぜ助ける必要がある?」
「……そんな必要性は一ミリもねぇ」
「では、なぜ――」
「うるせぇええええええ!」
センは、一度、感情に委任した大声を炸裂させてから、
「ごちゃごちゃ言ってねぇで、俺を殺すことに没頭しろよ。お前ごときが片手間で処理できるほど、俺は小さくねぇんだからよぉ」
「感情と心と魂がバラバラになっている……それぞれの、本音と本音と本音がぶつかりあって、自分でもワケが分からなくなっている状態だな」
悪夢バグは、冷静に、センを分析すると、
「ぜひ、その不安定な状態を保っていてもらおうか」
そう言いながら、センとの距離をつめた。
無数の虫ケラたちを援護にまわし、
悪夢バグが前衛、副官が中距離を担当することで、
センエースに特大の圧力をかけていく。
センエースならば、対処できる絶望だった。
強くなりすぎた今のセンならば、悪夢バグチームを封殺することも可能だった。
けれど、悪夢バグが時折、後ろでボケっとしている魂たちを狙ってきて、
その対処を強いられるため、センの消耗が、だんだん大きくなってきた。
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