センエース~経験値12000倍のチートを持つ俺が200億年修行した結果~(コミカライズ版の続きはBOOTHにて販売予定)

閃幽零×祝@自作したセンエースの漫画版(12話以降)をBOOTHで販売中

46話 「助けて」「お前が俺をボスケテ」。


 46話 「助けて」「お前が俺をボスケテ」。

「……魂の状態では、イメージがわかないか……だったら」

 悪夢バグは、そうつぶやくと、盛大に魔力を練り上げて、
 サーシャ・ラインの魂に注いでいく。

 すると、『火の玉』状態だった魂が、
 グニャリグニャリと形を変えて、
 最終的には、人型の形状に収まった。

 ほとんど元のすがたに戻ったサーシャは、
 血の涙を流しながら、
 センに向かって、

「……た、助けて……」

 と、救いの言葉を投げかける。
 少年誌に出てくるヒーローだったら、
 もはや、この時点で、他に選択肢を失い、
 彼女を救う道具に成り下がるだろう。
 ところがどっこい、ここにいる主人公は格が違った。

「お前が、俺を助けろ!」

 掟破りの『助けて返し』を決め込む、クールな主人公。
 センが『救援』に応じるのは、『抱きたい女』の時だけ。
 それ以外の声に耳を傾ける気は一切ない。

 センは、さらに続けて、

「死んでいるだけのお前と違って、こっちは、大量の害虫と悪戦苦闘してんだよ! そのぐらい、見て分かれ! こっちは忙しいんだ! 楽勝で殺しているように見えているかもしれないが、一撃一撃に魂を込めているから、どんどん疲弊していっているんだよ! そのしんどい作業を、ここから、数時間単位でやっていくんだぞ! わかるか! 今の俺は、死ぬほどしんどいんだよ! 俺の根性がハンパねぇから、どうにか出来そうってだけで、並みの人間だったら、そのあまりのしんどさに、心折れて当然って状況なんだ! だから、助けてくれや! めちゃくちゃしんどいから、回復魔法とかかけてくれや!」

 虫を殺し続けながら、
 いかに『今の自分が大変であるか』を語りつくす。

「つぅか、よぉお! てめぇ、確か10歳だろ?! こっちは3歳だぞ! てめぇ、7歳も年上だろうがぁ! なに、ガキに頼ってんだ、お姉ちゃんよぉお! 何が『助けて』だ! 人生、ナメんなよ!」

 怒声をあげる。
 ひたすらに正論を口にする。

「どうした! なんか言ってみろ! お前に、俺を助ける気はあるのか?! ――ないだろ?! 俺を助ける気ゼロのやつを、なんで、俺が助けないといけないんだ! 理屈が通ってねぇだろ! 人間関係、ナメんな!」

 暴力的な正論の嵐で、
 センは、彼女の『救援』を叩き潰す。

 そのまま、振り返ることなく、
 ひたすらに、虫ケラを殺し続けるセン。

 そのセンの様子を見た副官は、
 チィっと、綺麗な舌打ちをはさんで、

「グレートバグ・ナイトメア! こいつを『脅し』で動かすことが出来ない! もう、カスの魂にかまわず、こっちにきて一緒に応戦してくれ! このままだと、何もできずに削り切られてしまう! ほかの作戦を考えてくれ!」

「……ぐぅ……っ」

 悪夢バグは、一度、歯噛みしてから、

「……仕方がないか……」

 そうつぶやいた直後、
 センエースとの死闘に戻る。

 副官の元まで近づくと、
 悪夢バグは、

「……カンファレンスコールを撃つ……援護してくれ」

「了解!」

 返事をすると同時、
 副官は、マシンガンのような姿に変形する。
 悪夢バグは、その銃器の銃口をセンに向けて、

「ナイトメア・イビルノイズ・カンファレンスコォオルッッ!」

 詠唱しながら引き金を引いた。

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