センエース~経験値12000倍のチートを持つ俺が200億年修行した結果~(コミカライズ版の続きはBOOTHにて販売予定)

閃幽零×祝@自作したセンエースの漫画版(12話以降)をBOOTHで販売中

6話 兄さん、あとはよろしく。


 6話 兄さん、あとはよろしく。

「兄さん、二つに一つだ。俺を敵にまわすか、それとも、味方にしておくか。――俺に『貸し』をつくれるのはデカいよぉ」

 声音だけはおだやかだが、
 その瞳に刻まれた魂の色は、鋼のような狂気だった。

(ほ、本能が警告している……こいつはヤバい……っ……こいつは、レベル1じゃない。ゴミの皮をかぶった、とんでもない化け物……っ!!)

 心の理解に、体が反応する。
 反射的に、へっぴり腰になり、
 体を震わせながら、

「……わ、わかった……要求をのむ……だ、だから、その目で、ぼくを見るな……やめろ……たのむから」

「はいよ、兄さん」

 そこで、センは、眼力に込めた色を薄めて、
 ニコリと微笑み、

「ん? どうしたのかな、兄さん。すごい脂汗だけど。なにかいいことでもあったのかい?」

 と、紳士的に煽っていくセン。

「……お前は…………き、君は……いったい、どうなっているんだ? ……いったい、何をしたら、そんな……奇妙なことになる?」

「普通の人より、ちょっとだけ頑張ったんだよ。そんだけ」

「……」

「兄さん、カティ姉さんの件、ほんと、よろしくね。もし、上層部の説得に失敗したら、俺があんたを殺すよ。というか……フェイトファミリーをぶっ潰すよ」

「……っ」

「俺は、俺を全力で殺そうとした両親が嫌いなだけで、フェイトファミリー自体には、そこまで嫌悪感をもっていない。ゴミ扱いはされていたけど……ま、実際、俺はレベル1のゴミだしね」

 センは『自分の状況』と、『ファミリーの事情』を切り離してモノを考えている。
 この辺の『視点』みたいなものは、暗部の人間として生まれ、暗部の人間として生きてきたがゆえに育まれてきたシード。

「だから、余計なことをしないのであれば、これまでの俺に対する非礼・無礼・失礼の数々は見逃しておいてあげるよ。ただ、今後、一度でも、俺に対してナメくさったマネをしてくれた場合、全力で叩き潰すから、そのつもりで」

「……」

「じゃあ、兄さん、マジでよろしくね」

 そう言ってから、センは、シャブルンに背を向けると、
 カティに向けて、

「じゃあ、行こうか、カティ姉さん。まずは、冒険者組合にいって、正式に登録しよう。で、さっそく、依頼をこなして、ちゃちゃっと階級をあげちゃおう。姉さんは、今日から、『史上最高の英雄』として名をはせる。そして、俺は、そんな姉さんのサポート役として、おこぼれを頂戴するんだ。んー、最高だねっ」





 ★





 ――ここは冒険者ギルド。
 殺伐としている裏ギルドと違って、
 雰囲気は華やかで、受付嬢も美人さん。

 サクっと登録を済ませた二人に、
 受付の美人さんが、いぶかしげな目で、
 ソっと、小声で、

「あなたたち……もしかして、フェイトファミリー?」

 その問いかけに、センも、小声で、

「俺はカルマ家の秘密兵器、センエース。こっちは、デステニィ家の天才美少女、カティ。二人合わせて、新人冒険者チーム『ガットネロ』。今後とも、末永くよろしくです、ちーっす」


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