センエース~経験値12000倍のチートを持つ俺が200億年修行した結果~(コミカライズ版の続きはBOOTHにて販売予定)

閃幽零×祝@自作したセンエースの漫画版(12話以降)をBOOTHで販売中

64話 転んだだけ。


 64話 転んだだけ。

『こ、ここまで異常なのか……貴様は狂っている……』

「言われなくても知っている。だから、黙って、俺の中でおとなしくしていろ」

 そう命令してから、
 センは、アダムに回復魔法をかけて、
 完全に元の状態に戻すと、
 次に、

「……さて……」

 シューリの蘇生に入る。

 『事前に創っておいた器(淡く輝いている、ソフトボールくらいの球)』を取り出して、その奥に、回収した『シューリのコアオーラ』を収めた。

 ブーーーンと、次元が震えるような音がして、『耀きを放つ器』が、
 『美しい女性の姿』へと変わっていく。


「ん……」


 肉体を取り戻し、目を覚ましたシューリは、


「もしかして……蘇生……させたんでちゅか?」


 途切れ途切れに、

「セン、あんた……なんでもありでちゅね……」

 などと、そんなことを言う彼女を、
 センは、ギュウっと強く抱きしめて、

「……守ってあげられなかった……それどころか、また守られた……すまない……ありがとう……」

 そう言って謝罪すると、
 シューリは、プイっとソッポを向いて、

「転んだだけでちゅよ。あんたを助ける気はありまちぇんでちた」

 アダムの異次元砲で死にかけた時、
 センをかばって死んだことを、
 『転んだだけ』と言い切る、大胆なシューリ。

「……いや、さすがに、それは無理があるだろ」

 と、シューリの豪快過ぎるボケに切り込んでいる途中で、

「う……うーん……」

 アダムが目を覚ました。
 センは、シューリから離れ、
 アダムに近づくと、
 彼女の頭を撫でながら、

「大丈夫か?」

 そう声をかけると、
 アダムは、重たい体をどうにか動かして、
 片膝をつく、臣下の姿勢をとって、

「感謝します……主上様……本当に……本当に……そして、もうしわけありませんでした。己の業に飲まれてしまい……あなた様を……傷つけてしまった……」

 多くの想いを込めて、
 あふれんばかりの涙を流しながら、その言葉を口にした。
 それを受けて、センは、
 精一杯の笑顔を浮かべて、

「……転んだだけだよ。お前を助ける気はなかった。だから、気にするな」

 と、大胆なお茶目をかぶせていった。





 ★





 アダムもシューリも完璧に救いだし、
 100%の大団円に浸っていた時のことだった。
 センの脳内に、いつもの声が響いた。


『――みごとだ、センエース。究極完全体アダム・クリムゾンを倒すとは』


(まあ、それほどでもあるけどね。俺以外には、まー、できんかっただろうね)

 と、全力で調子に乗るセンに、

『お前ならば、次の強敵も倒せるだろう』

(ん? ……つぎ?)

『一週間後に、存在値500兆の敵が出現する』

(……ごひゃく……っ)

 しんどそうに顔をゆがめるセン。
 ただ、

(いや、まあ、でも、一週間あって、500兆なら、どうにかなるか。70億年あれば、もう一回、開くことも不可能じゃ――)

 だいぶしんどいが、不可能ではないな――と、頭の中で計算していると、
 そこで、また爆弾が投下される。



『ちなみに、今回の敵は1体ではない。全部で、10000体だ』



(……はい?)




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