センエース~経験値12000倍のチートを持つ俺が200億年修行した結果~(コミカライズ版の続きはBOOTHにて販売予定)

閃幽零×祝@自作したセンエースの漫画版(12話以降)をBOOTHで販売中

49話 最後の砦。


 49話 最後の砦。

 『開きそうな気配』はあるのだ。
 神になれそうな気配はある。
 ただ、

(……出そうで出ないクシャミじゃねぇんだからよぉっ! ……さっさと、開いてくれよ、俺の可能性ぇ!)

 なかなか開かない。
 まさに、出そうで出ないクシャミのようにもどかしい。

 この『開きそうな気配』は、実のところ、
 『1億7000万年目』の時からずっとあった。
 けれど、本当に、なっかなか開いてくれなくて、
 永遠に、センをやきもきさせてきた。


「貴様の絶望で遊ぶのも飽きた。それじゃあ、そろそろ死のうか」


 そう言いながら、アダムは『右手に込めているオーラ』を強めた。

 その瞬間、センの背筋がゾクリと冷たくなる。
 『濃厚な死』の気配が充満していく。



(……死ぬ……終わる……)



 ――センは貪欲だった。
 この恐怖、この絶望すら糧にして、自分を、『さらなる領域』に届かせようとしている。
 ――だが、

(これだけの状況に陥っても、まだ開かないのか……っ)


「異次元砲」


 無慈悲に、アダムは、極大魔法で、センを蒸発させようとした。
 『存在値1兆』の一撃を、まともに防ぐ方法など皆無。
 防ごうと思えば、


「ちぃいっっ! ――ぅ、うぉおおおおおっ!」


 センは両手に魔力とオーラを全て集めて、
 脳がぶっ壊れるほど集中、
 その上で、





「――オメガバスティオンっっ!!!」





 と、呪文を唱えた。

 すると、
 アダムの放った異次元砲が、
 センの体をさらっていく直前で、

 ピシュゥ……ッ

 と、何かが弾けるような音だけを残して、
 完璧に消え去ってしまった。

 その光景を見たアダムは、いぶかしげな顔で、

「……は? なにした?」

 アダムの疑問をシカトして、
 センは、



「……はぁ、はぁ、はぁ……」



 とにかく酸素を大量に取り込もうと大忙し。

(で、できた……3億年間、一回も成功しなかったのに……この土壇場で、はじめて成功した……よかった……必死に練習してきてよかった……助かった……)

 図書館の禁忌書物に書いてあった秘儀の一つ。
 オメガバスティオン。
 波長的な何かを合わせることで、相手の技を消せるというチート技。
 すさまじい技なのは事実だが、

(……け、けど……これ……しんどすぎるな……何回も出来るもんじゃねぇ……)

「何をしたと聞いているんだ。答えろ、センエース。暴露のアリア・ギアスを積むチャンスをやる」

「……俺が頼る『最後の砦』……『オメガバスティオン』。簡単に言えば『イマジン〇レイカー(あらゆる異能を無効化する能力)』の劣化版みたいなもんだ。銃弾や拳なんかの物理攻撃も無効化することが可能だから、ある意味で強化版ともいえるが……」

 『1000億年間、毎日、壁にぶつかりつづけたら、一回ぐらいは壁をすり抜ける』。
 それに近い低確率で『相手の技を無効化する』というのが、
 センエースが頼った『最後の砦』――オメガバスティオンである。

「漫画や小説だと、無条件でバンバン使えるヤツもいるってのに、俺の場合は、超低確率を引き当てないといけない。なんでも無効化できるというチートだから、まあ、そのぐらいの縛りは必要だろうとは思うが、ぶっちゃけ、使い勝手が悪すぎる」

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