センエース~経験値12000倍のチートを持つ俺が200億年修行した結果~(コミカライズ版の続きはBOOTHにて販売予定)

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46話 ヒーローというピエロ。


 46話 ヒーローというピエロ。

「正確に憶えていないが、俺の本当の存在値は、確か、5~60兆ぐらいはあったはずだ」

 などと、うそぶいているが、心中では、

(やべぇなぁ…………『相手がアダム』で『救わないといけない』という前提がある以上、『自爆の魔カード』は使えねぇ……最悪きわまる……さぁ、どうする、どうする、どうする……考えろ……考えろ……)

 極上に焦りまくっているが、アダムのために、それは表に出さないよう努めた。

 ヒーローを名乗ってしまった以上、
 『敗北をにおわせること』は絶対に許されない。
 どんな状況に置かれても、不敵に笑って『問題ない』と言い続けなければいけない。

(……しんどい仕事だな……このヒーローってブラック職業は……)

 心の中で、ファントムトークを展開していく。
 自分の言葉を、自分で笑う。
 そうやって、『自分の弱さ』に膝カックンを入れていく。

 ――己自身さえも、『ヒーロー』という『道化(ピエロ)のジョーク』で黙らせる。


(ヒーロー見参……ヒーロー見参……ヒーロー見参……ヒーロー見参……ヒーロー見参……)


 自分はヒーローじゃない。
 ヒーローなんていない。

 ――全部わかっている。
 誰よりも分かっている――だからこそ、


「ここには、俺(ヒーロー)がいる!! だから、何も終わらねぇ!」


 誰よりも高らかに、
 センは、その覚悟を謳(うた)うことができるのだ。

 ――アダムは、


「なにが、ヒーローだ、バカバカしい」


 そう言いながら、『右腕だけ』に魔力とオーラを集中させていく。

「貴様ていどのザコは右腕だけで十分だ。私という『絶対に超えられない壁』を前に、とことん絶望しつくして死ね」

 そう言いながら、右手をクイクイっとさせて、『先手はくれてやるから、かかって来いよ』のメッセージを伝えてくる。

「どちゃくそ丁寧にナメてくれるねぇ……」

 言いながら、心の中で、

(不快を通り越して、普通に、ありがてぇ……どの戦場においても、先手を取れるかどうかは、超大事だからなぁ……)

 そうつぶやきつつ、
 センは、100枚デッキになっている花札の束を召喚し、
 それを空に放り投げながら、

「――豪雨百光(ごううひゃっこう)・猪鹿蝶(いのしかちょう)――」

 そう叫ぶと、
 100枚の花札は、それぞれ、人型に変形していく。

 合計100体の神獣。
 カースソルジャー軍団。


「行くぞ、カースソルジャーどもぉ! 死ぬほど練習してきた奥義『カース・ストライクフリーダム』の恐ろしさを見せつけてやれぇ!!!」


 その号令を受けると、100体のカースソルジャーたちはいっせいに、
 アダムの周囲をウロチョロしだした。

 いっさい、攻撃などはしない。
 ただ、ひたすらに、ウロチョロ、ウロチョロと、走り回るだけ。

 その様子を、小バカにしたような顔で見ているアダムに、
 センは、喉を枯らす勢いで、

「カースソルジャーは戦闘力とステータスに関してはゴミだが、『自身に付与されている状態異常』を『範囲内にいる敵』へ『高確率でなすりつけられる』というすばらしいスキルを持つ! 『大量の状態異常系のデバフ』が積まれた状態で召喚されるようになっている大量のカースソルジャーをウロチョロさせることで、『状態異常に対する耐性が極悪に高い神』が相手でも、デバフをおしつけることが可能! ちなみに、今、カースソルジャーにかけている状態異常は『麻痺』! この暴露で、さらに、デバフをなすりつけられる可能性上昇!」


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