センエース~経験値12000倍のチートを持つ俺が200億年修行した結果~(コミカライズ版の続きはBOOTHにて販売予定)

閃幽零×祝@自作したセンエースの漫画版(12話以降)をBOOTHで販売中

40話 それでも……


 40話 それでも……

 3億年頑張って、存在値を200億まで引き上げた。
 それは誰にもマネできない偉業。
 それは確か――なのだが、

(明日、また1億年を積んだとしても、この調子だと、300億が精々……よくて500億……ダメだ……それじゃ、届かない……)

 だんだんと、自分の『限界』みたいなものが見えてきた。
 ずっと『100倍ずつ強くなる』なんて不可能。
 どこかで頭打ちは必ずくる。
 すでに、センは、それを感じている。

 よくて500億などと言っているが、実際のところ、あと1億年程度だと、250億を超えることも厳しいんじゃないか、というのが、彼の本音。

(……『強くなる速度』は目に見えて停滞している。スランプとかじゃねぇ。たぶん、これは、単純なる『命の壁』だ……)

 『存在値999』の時に感じていたような、
 『ここから先』にいくためには『高次のブレイクスルーが不可欠』と痛感する大きな壁。

(……この壁を超えるためには、たぶん『10億年』ぐらいはかかる……いや、10億年でも届くかどうか……)

 へたをしたら、100億年かけても届かないんじゃないだろうか、
 なんて、そんなことまで思ってしまうほど、
 『命の壁』は高くて厚い。

(レベルさえ……上がってくれれば……)

 閉塞状態に陥ったことで、センは、『自分の無能ぶり』に対して『呪詛(じゅそ)』を吐く。

(くそったれ……なんで、俺はレベルが、まったく上がらねぇんだ……)

 レベルは、『存在値の下地』である。
 神の次元に達して、存在値が爆上がりすればするほどに、『レベルの価値』はむしろ跳ね上がる。

 『レベルが上がらない』という縛りは、
 強くなればなるほど、より重たくのしかかってくる。


(無能、無能、無能……こんなクソみたいな無能に産みやがって……)


 生まれてからずっと、『レベルが上がらなくとも、他でカバーすればいい』と、つよがって生きてきたが、さすがに、我慢できなくなって、センは、あの『クソ親』に対して文句を口にした。

 『虐待された件』に関しては、完璧な復讐によって『心にフタ』をすることができたが、
 それ以外の部分は、まだまだ、むき出しのまま。

(悪いのは俺じゃねぇ……あのクソ夫婦だ……クソみたいな種で子づくりしやがって……クソがぁ……)

 3歳になるまでは、どんなに辛くても、心の中であろうと、『そんなこと』は口にしなかった。
 ずっと、ずっと、耐え忍んで、黙って、努力だけを積んできた。
 『元気に産んでくれてありがとう』と虚勢を張りながら、己の無能と向き合ってきた。

 けど、極限状態が限界にきて、センの心は崩壊する。

(どんだけ頑張っても、全然、数値が伸びねぇ……それは、至極単純な話、才能がないからだ……無能で生まれたから……才能さえあれば……資質が高ければ……くそが、くそが、くそがぁ……っ)

 ひたすら心の中で、文句を吐き散らかしてから、


(そ、それでも……)


 センは、

(それでも……『降りてやらねぇ』と……『死んでも折れてやらねぇ』と叫び続ける勇気を……)

 そんな勇気を求め続けるセン。
 最後の最後まで、『それでも』と叫び続けたいと願い続ける。

(ぶっこわれて、腐って、ゆがんで……それでもなくさなかったすべてを……あつめて……)

 みじめな弱音を飲み込んで、
 おのれの不運を飲み干して、

(最後の最後まで……あがきつづけてやる……)

 センは、涙を我慢して前を見る。

 すると、そこで、



「……大丈夫ですか、主上様……」



 アダムが声をかけてきた。


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