センエース~経験値12000倍のチートを持つ俺が200億年修行した結果~(コミカライズ版の続きはBOOTHにて販売予定)

閃幽零×祝@自作したセンエースの漫画版(12話以降)をBOOTHで販売中

3話 虐待の復讐を果たすセンエース。


 3話 虐待の復讐を果たすセンエース。

 センの言葉に震えていたのは父だけではなく、母も。
 だから、

「せ、セン……私は、あなたを、ここまで育ててあげたのよ! あなた、いつも言っていたわよね! 元気に産んでくれてありがとうって! ね!」

「そう言って、親孝行しようとした俺に、お前は何をした?」

 そう言ってギラっとにらみつける。

「ひっ」

 センの威圧感は尋常ではなかった。
 とてもレベル1とは思えない脅威のオーラ。

「1億年もあれば、この怒りも風化するだろうと思っていたが、まったく、そんなことはなかったぜ」

 ゲートに入る前の記憶は保管され、
 ゲートを出た直後にインストールされるので、
 中で何億年たとうが、入る前の感情や想いを失うことはない。

 ただ、その前提がなかったとしても、
 センは、『この怒りを忘れることはなかっただろう』と認識している。

「実の親に愛されないだけでも相当なものだが、その上、俺は、理不尽な理由で殺されそうになった――その痛みが、てめぇらに分かるか?」

 怒りで『センのオーラ』がどんどん濃度を増していく。

 『理解できない力』を『際限なく増幅させていくセン』に恐怖を覚えるクズ夫婦。
 その膨大な恐怖心から、
 父であるバースディは、

「う、うわぁあああっ!」

 両手に『すべての魔力』を込めて、『センの顔面』に叩き込もうとした。
 頭蓋骨を砕き、脳を吹っ飛ばそうとしたのだ。
 レベル1が相手ならば、確実にオーバーキルの一撃。

 しかし、センは、
 そんなバースディの拳を、まるで太極拳のような、円運動の流れで受け流し、

「死ねよ、クソ野郎」

 ギュルンッ!
 と、『豪快な円運動の連鎖』で、
 父の体を地面へとたたきつける。


「ぐっはぁあああああああっっ!」


 白目をむいて吐血するバースディ。

 続けて、センは、母を睨みつけ、
 ゆっくりと、近づいていく。

「ひっ! ひぃいっ! よるな、化け物! 雷撃ランク9!!」

 そう言いながら、雷の魔法を放ってきた。
 『ランク9』は、『レベル150』程度の魔法使いが使う魔法。
 カルマ家に属する者は、みな、存在値が高い。

 ――ちなみに『一般人のレベル』は30~100ぐらい。
 『100』を超えていると、かなり強い方に分類される。
 世界最強である皇帝のレベルが『500』前後。

 そんな中、センの『存在値(総合評価)』は、というと、
 およそ――『17万』。





「雷撃ランク25」





 センは、あえて、『同じ魔法』を、『超高次ランク』で、かつ、『相殺する程度の威力』にとどめつつ放つ。

 バチバチとした雷撃が、互いの間にある空間でぶつかりあい、そして消えた。

「ら、ランク25ぉおおおお?! はぁああああ?!」

 世界最強の『皇帝』でも『ランク20前後の魔法』が限度。
 ランク25の魔法などありえない領域。

「れ、レベル1で……なんで……そんな……」

「俺が、ナイトメアソウルゲートで磨いてきたのは、オーラのコントロールだけじゃねぇ。マナコントロールも必死になって磨いてきた。極限まで循環率を高めれば、俺の微妙な魔力でも高位の魔法を放つことは可能なんだよ」

「す、す、すごいわ、セン……あ、あなたは、自慢の子よ……だ、だから、ね……そんな怖い顔しないで……かわいい顔が台無しだわ」

 必死になってすり寄ろうとしてくる母に対し、
 センは、限界まで冷めた声で、

「てめぇは最低の親だ。恥でしかない。生きている価値がない。ここで死ね」

「ひ、ひぃいい!」

 センの威圧感に心折れた母は、
 センに背中を向けて逃げ出そうとした。

 その背中にセンは、

「雷光弾ランク25」

 雷を纏ったマグナム弾のような魔法を放った。
 その強烈な火力は、

「ひぎぃっ!」

 一撃で、母の腹部に風穴をあけた。

「ぁ……あ……っ――」

 バタリと倒れこみ、失神してしまった母に、
 センは、

「じゃあな、クソババァ。双牙雷術ランク――」

 トドメを刺そうとしたのだが、



「……」



 力なく倒れて、血を流す母の姿を見て、



「……」



 数秒だけ考えてから、





「……ちっ」





 一度、舌打ちすると、

「大治癒ランク12」

 父と母、どちらにも、回復魔法をかける。
 二人の傷は、一瞬で癒えてしまった。

 実のところ、センは、『魔法が得意ではない』のだが、
 1億年も修行したので、世界最高峰の魔法も使い放題。
 もはや、『何でもありの完全生物』と言えた。

 けれど、『完全』なのは『能力』だけで、
 『心』の方は、1億年かけても不完全なまま。
 命は、永遠に、完成したりしない。


「……くそったれがぁ……」


 『傷だけは治ったが、気絶しているままの二人』を尻目に、
 センは、歯ぎしりしながら、
 自分の心と向き合う。
 『こいつらを、どうしたいのか?』
 という自分自身の問いかけに対し、
 センは答えを出すことが出来ない。

 だから、センは、
 まるで、問題から目をそらすように、


「…………ふぅ……」


 深いタメ息をつきながら、
 近くの椅子に腰をかける。

 両親二人が倒れている部屋で、
 独り、天上を見上げて物思いにふけるセン。


「一億年……しんどかったなぁ……長かったなぁ……」


 ボソボソと、

「よく耐えたな、俺……すげぇな……」

 一度、自画自賛してから、
 倒れている両親に目を向けて、

「……俺を虐待しつくしたこと。そして殺そうとしたこと。俺は、永遠に許しはしない」

 そう言いながら、親指を噛んで血を出すと、
 その血で、机に、

『お前らの生殺与奪(せいさつよだつ)の権利は俺が持つ。俺が殺したいと思った時が、お前らの死ぬときだ』

 そういう『血文字の脅しメッセージ』を残すと、

「一生、俺の影におびえて生きろ。それが、お前らカス夫婦に与える罰だ」

 そう言い捨てて、
 センは、生まれ育って家をあとにした。

 ――何も持たずに、外に飛び出したセン。
 彼が生まれた『大帝国』は、この世界において最大最強の大国。
 つまりは、この世界のほぼすべてが集まっている、強者にとっては最高の箱庭。



「俺はもう、完全に自由だ。これからは、大いに、自分の人生を楽しもう。やりたかったことを全部やってやるんだ。最初に叶える夢は決まっている。世界一の美女と結婚して、死ぬほどイチャイチャしてやるんだ! 無敵でバラ色の完璧な人生を、死ぬ気で謳歌(おうか)する!!」




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