センエース~経験値12000倍のチートを持つ俺が200億年修行した結果~(コミカライズ版の続きはBOOTHにて販売予定)

閃幽零×祝@自作したセンエースの漫画版(12話以降)をBOOTHで販売中

+-87952話 センエースの可能性に全てを賭ける。


 +-87952話 センエースの可能性に全てを賭ける。

「ここから先、切り返していくためには、相当な絶望を積む必要がある。お前にも手伝ってもらうぞ。覚悟はいいか? 俺は出来てる」

「ああ。センエース、お前だけが頼りだ。PとDを奪われてしまった今の私にできることは多くないが、しかし、できることは全部させてもらう」

「……俺は、お前ら『ソルの事情』ってやつをほとんど知らんが、ヨグと一つになったことで、最低限、お前らの『方向性』みたいなものは理解したつもりだ。……これまで、一人で、よく頑張ったな。すげぇよ、お前は」

「……」

 泣きそうな顔になるソル。
 だが、センに『泣き顔』を見せたくなかったソルは、
 グっとこらえて、センに対し、

「……余計な手を加えず、最初から、センエースにだけ全投資していればよかったんだ……というか、私は、最初から、ヌルなんて使うべきじゃないと思っていた……」

「後悔はいらねぇ。ここからどう巻き返すか、それだけに没頭しろ。俺は頭が悪いんだ。できれば、『戦略をたてる』ってのは、賢いやつに任せたい。というわけで、何か打開方法はあるか? 俺は、全部を取り戻したい。『大事なものを奪われたまま』って現状は一ミリたりとも許容できねぇ」

「……」

「さすがに厳しいか? まあ、『何も思いつかない』ってんなら、しゃーないから、自分で考えるが」

 ソルは、少しでも『センエースの助け』になろうと、
 頭をフル回転させて、

「……現状、私の『中』にある『虚数アルファ』以外は壊滅状態だ……ヌルはカスだが、本当に数値だけは大きい」

「ああ、そうだな。不意打ちとはいえ、俺に一発カマしてみせた、その力は恐怖に値する。だが、負けるとは思っちゃいねぇ。集中力も覚悟も、まったく切れてねぇ。俺を切れさせたら大したもんですよ」

「さいわい、『私の中の虚数アルファ』には、『オメガの因子』が残っている。それを依(よ)り代として使えば――」

「いや、オメガの依り代は使わない」

「は?」

「それよりも、『カスの器』を用意してくれ。できるだけボロボロの器を」

「……な、なぜ……」

「ヌルを叩き潰すには『あいつの心』を完全に殺さないとダメだ。あいつの鎧である『絶対的主人公補正』をぶち抜くために、超次元のジャイアントキリングをかます必要がある。というわけで、ソル、俺をとことん追い込め。ゼノの時よりも、さらにキツい舞台に俺をぶちこむんだ。能力と記憶だけじゃなく……今度は、戦闘力も奪い取れ。メンタルにもナーフをかけろ。なんだったら、家庭環境も最悪にしろ。『どこにも救いのない人生』に俺を堕とせ。さらに、ゼノの時よりもエグい『敵』と『時の牢獄』で俺を、とことん追い込むんだ。……それほどの『アリア・ギアス(不退転の縛り)』から這い上がれば、きっと、俺は、もう一段階、輝くことができる」

「……」

「この究極的に絶望的な状況下においても、一切、諦めていない『俺の覚悟』に呼応して、どうやら、俺のプラチナに革命が起きようとしている。……『おや、【不屈の魂魄】の様子が……』という状態だ」

 まだ、花開くには、かなりの地獄をつぎ込まなければいけないだろうが、
 しかし、この華が咲いた時、
 自分は間違いなくヌルを超えるだろう――と、センは確信している。

「根本的な話、オメガに頼るようじゃ、話にならねぇ。今度の面倒事は、あきらかに俺案件だ。不意打ちくらって泣き寝入りなんて、シャバいマネでは終わらせねぇ。俺一人で、きっちり、カタをつけてやる。ソル、現状、お前にしか出来ないことだから、『舞台作りだけ』は任せるが、それ以外は何もするな。ヌルにやったような介護なんざ絶対にお断りだ。俺のことは、容赦なく、千尋の谷に叩き落せ」

「わかった……一切、手を緩めないと誓う。センエースの可能性に、すべてを賭ける」

 互いに覚悟を固め合うと、
 そこで、ソルが、

「私の方で、『ヌルに奪われたすべて』のバックアップを確保しておく。センエース、お前は、ヌルを叩き潰すことのみに集中してくれ。あのカス野郎さえぶっ潰せれば、どうにか、すべてを、もとに戻すことも不可能ではないから」

 その頼みを受けたセンは、
 一度、厳(おごそ)かに目を閉じて、

「――ヌルを叩き潰し、すべてをもとに戻す――」

 反芻(はんすう)してから、
 カっと目を開き、
 世界を睨みつけ、





「ミッション、了解」





 自分の魂に、『自分のすべきこと』を刻み込む。

「――さてと、それじゃあ、はじめようか。『ほぼ全部終わった世界』で独り、ハードラックとエンドレスワルツとシャレこんでやる」

「……センエース、やはり、お前は最高だ。これだけの絶望的状況下だが、お前がいるから、光が消えない。お前が道標になってくれるから、私はまだ、前を向くことができる」

 あらためて、ソルは、センエースの可能性に心を惹かれる。

「センエース。お前のことは、誰よりも知っているという自信があるが、しかし、どうか、お前の口から教えてくれ。お前が、いったい、何者なのか」

 そう問われたセンは、
 この絶望的状況下で、
 あえて、ニっと、太陽みたいな笑顔を浮かべて、



「俺は究極超神の序列一位。神界の深層を統べる暴君にして、運命を調律する神威の桜華。舞い散る閃光センエース」



 完全に終わった世界で、
 それでも、かたくなに前を向くことをやめないヒーロー。

 『常軌を逸したキチ〇イ』の『狂い散らかした英雄譚』が、
 今、盛大に幕を開けようとしている。


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