センエース~経験値12000倍のチートを持つ俺が200億年修行した結果~(コミカライズ版の続きはBOOTHにて販売予定)

閃幽零×祝@自作したセンエースの漫画版(12話以降)をBOOTHで販売中

+-87931話 ご都合主義全開でヌルに奪われたソル。


 +-87931話 ご都合主義全開でヌルに奪われたソル。

「ソルPは! ソルPはどこにいったのですか?!」

「ソプラノドールを経由して、ヌルに奪われた。じきに俺も消える。いずれ、俺も、『12345(じゅーご)』を経由して、ヌルに全部を奪い取られるだろう」

「……そ、そんな……」

「それが、ヌルの怖さだ。『あいつ自身の怖さ』というより、『俺達のミス』と言った方が正確なんだろうが……」

 ヌル自身が強かったのではない。
 ヌルにそこまでの潜在能力はなかった。

 ただ、『蝉原の成長を促す』という目的で行われていた『ソルⅮの過剰な介護プログラム』が、『ヌルの無意識』により『逆探知』されてしまい、負の連鎖によって、『ソルを奪い取る』という『地獄の結果』に届いてしまった。

 『マイナス話』で巻き起こった『モンスターの強制進化』のような、『超異常バグ的シンギュラリティ』が、ヌルの中で、半自動的に巻き起きてしまったのだ。

 すべてはヌルにとっての『スーパーご都合主』が炸裂した結果。
 ただ、これは、ただの不運ではない。
 『ヌルに、ご都合主義が起きること』を『ソル』が『求めてしまった』から、起きてしまった地獄。
 まるで、『涼宮ハルヒ〇憂鬱』のように、あるいは『猿の手』のように、無自覚に『ゆがんだ空想』を現実化させようとする『イタズラな運命』が、盛大に暴れ散らしてしまったのだ。



 ――この世界は、レゾナンスを許容しない。
 ――新たな可能性という変革をみとめない。



「ようは、ヌルをナメすぎていたんだよ。というより、『管理できるはず』と驕(おご)っていた。もっと、慎重にことを運ぶべきだった」

 だんだんと、『ソルDの器』が溶けていくのを感じて、
 ソルAは、半身を失うような痛みを覚えた。

「ソルD……まってください。消えないで。私一人では何もできません――」

 そう懇願しても意味はなかった。
 ソルDは、もう、ヌルの手の中にある。

 終わりかけのソルDは、うなだれて、

「命に意味はなかった。世界はただの空虚な箱庭のまま。『理想の循環』など、夢のまた夢。……何もできないまま、世界は終わった……」

 諦観しているソルDに、
 ソルAは、

「ま、まだ、駒は残っています! オメガに……オメガセンエースに救援要請を送ります! あれは、オリジナルとセンエースのハイブリッド。じっくり育てようと思いましたが、もう、こうなったら、いますぐコードゲートをぶちこんで――」

 ソルAは、あわてて、『A型センエース・オメガ』の覚醒情報に触れようとするが、
 そんなソルAに、ソルDが、

「鼻息で蹴散らされるぞ。ヌルの存在値は『1京』に届いているんだ」

「……っ……いっ……けい……バカな……存在値のリミットは、まだ解除されていないはず……私たちですら……その領域にはいけない……そ、それが、運命のアリア・ギアスで……」

「いい加減、理解しろ。ソルA。ヌルは、『願い玉の暴走』の中核にいる。つまりは、『運命のアリア・ギアスの管理外』にいるんだ。それに、奴は、狡猾だ。田中トウシをも飲み込んだのは、システム全体にハックをかけるため。やつは、賢くないがバカじゃなかった。ちゃんと先を見て行動している」

「も、もし……本当に、あなたの話がすべて事実だったとしても……オメガセンは、まだ残っている……可能性は……まだ……」

「往生際が悪いな、お前。別に、オメガセンを覚醒させたかったら好きにしろよ。けど、オメガセンを覚醒させたとしても、現段階だと、まあ、10兆ぐらいが精々だろう。じっくりと鍛えこめば、500兆ぐらいまではすぐに行けるだろうが、それ以上となると、さすがに、手札が足りなさすぎる。ほとんどのリソースを奪っていったヌルには勝てない」

「……」

「理解しろよ、ソルA。世界は終わったんだ。もう、本当に終わったんだよ……俺たちは失敗した。すべてのプロジェクトは凍結。ヌルが世界を喰らい尽くして全部終了。――簡単に言えば、俺達は、センエースに期待しすぎた。その結果がこれだ。センエースに期待するべきじゃなかった。センエースではダメだったんだ」

「……」

「さあ、終わりにしよう。運命は殺せなかった。それが俺たちの結末だ」

 そこで、ソルAは、



「……た、助けて……」



 痛々しい表情で、うずくまり、

「助けて……助けて……助けて……嫌だ……こんな終わり方……絶対に嫌だ……セン、助けて……」


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