センエース~経験値12000倍のチートを持つ俺が200億年修行した結果~(コミカライズ版の続きはBOOTHにて販売予定)
72話 10000年の重み。
72話 10000年の重み。
「実戦経験が少ないというだけで、根性がないわけじゃないな……安心したぜ。お前はクズじゃない。お前なら王になれる。すべての世界を『正しい光』へ導ける王に」
そう言いながら、
センは、さらに深いオーラを、丹田に集めて、
「今日から、お前も、俺の弟子だ。俺の全てを叩き込む。俺の全てを吸収し、完璧な王となり――ノコを守れ」
そう命じてから、
「――龍閃崩拳――」
最強の一撃を叩き込む。
そのまま打ったら、ゾメガの体が爆散してしまうので、
力を一点集中させて、ゾメガの臓器の合間を縫うようにして打ち込む。
そのついでに、破壊された肉体の周囲へは回復魔法を同時に送り込むという、常軌を逸した『離(はな)れ業(わざ)』まで披露する。
センの、『不可思議な一手』をうけたゾメガは、
無意識という一瞬の中で、即死を覚悟していたのだが、
しかし、何事もなかったかのように、その場に立っていた。
『自分の身』に『何』が起きたのか、
ソレを理解するのに、それなりの時間を必要としたが、
ゾメガは、バカではないので、
「……あ、あれだけの膨大なエネルギーを……これほどまで小さく集中させたのか……」
己の腹部、心臓付近に空いた穴をさすりながら、
「……いったい、どれだけの鍛錬をつめば……こんな神業ができるようになる……」
そんなゾメガの問いかけに、
センは、ニっと微笑み、
「10000年」
と、『自分の軌跡』を自慢する。
そこらの常識人どもは、『頭の悪い数字』だと揶揄するだろうが、
しかし、センの高みを知ったゾメガは、
「そうか……余はまだ、数十年しか生きていない」
ゾメガは、まだ生まれたばかりのツボミ。
魔王としては、まったく成熟できていない。
「……10000年か……遠いな……余も同じだけの時を積めば……貴様と同じ場所に立てるだろうか?」
「10000年もかけられちゃ困る。みたところ、お前は、間違いなく天才なんだから、数年前後で、俺と同じ場所にたってもらう」
「……無茶を言う……」
そう言って、笑ってから、
「教えてくれ、センエース」
「なにを?」
「余は敗北をしたことがない。余は常に絶対無敵だった。だから、敗者が何をすればよいのか皆目見当もつかない。貴様に敗れた私は、いったい、これから何をどうすればいい?」
「お前は今日から俺の弟子だ。というわけで、俺に対する態度をあらためろ。別に、敬ってほしいとは思っちゃいねぇが、『ナメている相手』の『言うこと』なんざ、耳に入らないだろ。俺を超えたら、好きにしてくれていいが、俺より弱い間は、俺に絶対服従でいろ」
その命令を受けたゾメガは、
一度、ゆっくりと目を閉じて、
深呼吸をして、
「比類なき強さを持つ者――絶対なる師よ。余はこれより、師の教えをたまわる者。伏してお願い申し上げる。余を高みへと導いていただきたい。この通りでございます」
そう言って、片膝をつき、完璧な臣下の姿勢をみせてくる。
「それでいい」
そう言いながらも、センは、心の中で、
(思わぬラッキー。ゾメガがいれば、いくつかの計画を前倒しにできる。『ノコを完璧に守れる部隊』が完成する日は近い)
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